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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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☆讃岐の安益郡に幸ししときに、軍王の山を見て作れる歌

★ 霞立つ 長き春日の 暮れにける

  わづきも知らず 村肝の 心を痛み

  ぬえ子鳥 うらなけ居れば

  玉襷  懸けのよろしく 遠つ神

  わご大君の 行幸の 山越す風の

  独り居る わが衣手に

  朝夕に 返らひぬれば 丈夫と 思うへるわれも

  草枕 旅にしあれば 思ひ遣る

  たづきを知らに 網の裏の 海処女らが

  焼く塩の 思ひそ焼くる わが下ごころ        巻1-5


☆ さぬきのくにのあやぐんにいでまししときに、 いくさのおほきみやまをみてつくれるうた

★ かすみたつ ながきはるひの くれにける 

  わづきもしらず  むらぎもの こころをいたみ

  ぬえこどり  うらなけおれば 

  たまだすき かけのよろしく とおつかみ    

  わごおおきみの いでましの やまこすかぜの

  ひとりおる わがころもでに  

  あさゆうの  かえらひぬれば ますらおと おもへるわれも

  くさまくら たびにしあれば おもひやる

  たづきをしらに あみのうらの あまおとめらが

  やくしおの おもひそやくる わがしたごころ     


長歌です。長い歌って事ですね。ははは

難しい事は考えずに、ただ、声に出して読んでみてください。

ほら・・なんとなぁく・・・いい感じ・・・・


★  霞が立ち込める、長い春の日が暮れていくように、 

   なんということもなく心の芯が傷むので

   ぬえ鳥のように 忍び泣いていると

   美しい襷を かけるように立派な 遠くは神であらせられた

   天皇がお出ましになっている山を 越していく風で

   朝夕に、独り身の私の袖がひるがえる

   自分では 立派な男だと思っている私も

   旅に出ると 心の憂いを晴らす方法も知らなくて

   網の浦の海女をしている少女たちが

   焼いている塩のように  わたしの物思いも 燃えてくる 私の心の底にある思いが・・・・・

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★ かみつけの あそのまそむら かきいだき ぬれどあかぬを などかあがせむ

                                           あずまうた  巻14-3404

★ 麻の束をかき抱くように、 あなたをいくたび抱いても、抱いても抱いても

  抱き足りない・・・・一体わたしは、このやるせない思いを どうしたらよいのだろうか・・・・

                                            東歌(東国庶民の歌)


   今までの、貴族、天皇家を取り巻く歌人の歌とは、うって変わった

   庶民、農民・・・・労働するものの恋の歌です。


   ・万葉集の他の和歌集に見られない素晴らしい特性の一つに、

   読みびと知らず、農民、漁師、そして、天皇、又その回りを取り巻く方々など、

   ありあらゆる階層の人たちの素晴らしい歌が、思いが詰まっている・・と言う事があります。


   例えばこの歌は、

   まず地名が明かされています。これは今の栃木県の安蘇郡というところです。

   ここは、最近まで麻を作っていて、刈り取りして、

   大きな麻の束を、ヨイショッと抱えあげるのですが、

   それを、恋する女性を抱く心にたとえているわけ・・・・


   なんと大胆かつ、少し粗野で、そして正直で素朴な表現でしょうか?

   でも、あまりに素直なので、下品に感じられない・・

   彼女の事が好きで好きでたまらない・・・・という気持ちが率直に伝わってきます。


   ぎゅっと抱きしめて食べてしまいたい・・・といった感じでしょうか?

   ここには、自然の中で暮らす人間という・・・すくすく伸びていく木の枝のような人の思いが

   感じられますね・・・・・

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先の歌の返歌

★ たまきはる うちのおおのに うまなめて あさふますらむ そのくさふかの

                                     じょめいてんのう

★ たましいの力のみなぎる宇智の広々とした野原に、馬を連ねて、その草深い野を

  踏んでおられる事でしょう。                 舒明天皇


舒明天皇は女性です。この時代は様々な理由で、一時的に女性が天皇になりました。

正式なこの時代の名称は中皇命(なかつすめらのみこと)です。

 

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★ やすみしし わご大君の 

   朝には とり撫でたまひ 夕には い縁せ立たしし

   御執らしの 梓の弓の 中はずの 音すなり 

   朝猟に 今立たすらし 暮猟に 今立たすらし 

   御執らしの 梓の弓の 中はずの 音すなり   巻1-3


★ やすみしし わごおおきみの 

   あしたには とりなでたまひ ゆうべには いよせたたしし

   みとらしの あずさのゆみの なかはずの おとすなり

   あさかりに いまたたすらし ゆふかりに いまたたすらし

   みとらしの あずさのゆみの なかはずの おとすなり


★ あまねく国土をお治めになっておられる我が大君が

  朝は手に取って大切に撫でておられる、夕方はお取り寄せになり立たれる

  ご愛用の梓の弓の 中はずの響く音が 聞こえてくるようです
 
  朝も夕も、すぐにでも猟に立たれる様です。

  ご愛用の梓の弓の 中はずの 音が聞こえてきます。


天皇陛下に捧げたまふ御歌です。

現代では詠んではいけない歌かもしれませんね・・・・

学校によっては、国旗掲揚と国歌斉唱を拒むという、今や変わったお国柄ですから・・・

専門家ではないので、確かな事はわかりませんが、

天皇は国民あっての私とお考えになり、国民は天皇をお手本として奉る・・・・・

私流解釈では、お互いを尊ぶからこそ、まずはお互いを尊重する・・・そして、その時に

全ての事が、あらゆる人々に、出来うる限りのいい形になっていく・・・と言った感じでしょうか・・・


相手の立場を、相手の心を思いやると言うのは、言葉で言うのは簡単ですが、

行為として実現するのは、かなり難しい事だと思います。

世の中は複雑になり過ぎました。

人として大切な事は何なのか・・・・根本を考え直したいものです・・・私も・・・・

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★ 籠もよ み籠持ち ふ串もよ みぶ串持ち 

 この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね 

 そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ

 しきなべて われこそ座せ

 われこそは 告らめ 家をも名をも        雄略天皇 (巻1-1)


★ こもよ みこもち ふくしもよ みぶくしもち

 このおかに なつますこ いえきかな なのらさね

 そらみつ やまとのくには おしなべて われこそおれ 

 しきなべて われこそませ

 われこそは のらめ いえをもなをも    ゆううりゃくてんのう


★ 籠を持っているね  いい籠ですね 菜を摘む鎌も持っているね  いい鎌を持ってますね

この丘に来て、若菜を摘んでいるお嬢さん、 どちらの家の人ですか、名前は何と言うんですか?

大和の国は 全て 私が治めています

どこもかかしこも 私が居る所です

私は言いますよ、家も名も・・・・・       雄略天皇


これは、プロポーズの歌です。

万葉集の一番最初に記してあります。

万葉の特徴がとても良く表れていると思います。


まず、躍動するリズム感が感じられます。

非常に直情的であり、雄雄しい感じがします。

ますらお・・・とはこういうものではないのでしょうか・・・・・

繰り返しが多いところも、万葉ですね・・・繰り返す事で 気持ちが高まっていく・・・・

まず、自分の気持ちを表す、そして、率直にプロポーズ・・・・・

これが、プロポーズ??って、思われるかもしれませんが、あの時代は、殿方に、名前を

明かすというのは、プロポーズを受けると言う事なんです。


何か今の時代では信じられない感覚ですよね・・・・・・

雄略天皇という名前からも、又、お家柄は天皇家ですから、自信満々なのは

当たり前かもしれないけれど・・・・・・男らしくてステキ

今時の男性諸君、頑張ってくださいね

 

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