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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ 冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 

山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 

秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてそ嘆く 

そこし恨めし 秋山われは     額田王

☆ ふゆごもり はるさりくれば なかざりし とりもきなきぬ さかざりし はなもさけれど 

やまをもみ いりてもとらず くさふかみ とりてもみず 

あきやまの このはをみては もみちをば とりてそしのふ あおきをば おきてそなげく  

そこしうらめし あきやまわれは                 ぬかたのおおきみ


春と秋とどっちが良いか、歌で論争したみたいですね。

そこで、額田王の言い分というわけ・・・・・


● 春がやってくると 鳴かなかった鳥も 飛んできて鳴き始める、咲かなかった花も 咲くけれど

山は葉が茂り、入って行っても取れないし 草が深く茂っていて手折って見ることも出来ない

ところが、秋の山は木の葉が黄色く色づいたのを 手にとって愛でて 青い葉は そのままにして

黄葉するのを楽しみにため息をつく・・・そのうらはらな所が心引く やはり秋山が好き 私は


女心と秋の空・・・でしょうか・・・私も秋の山のほうが好きかなぁ・・・

額田王は天皇家の兄弟をそれぞれ夫にした女性・・かなり魅力的な方だったのではないかしらん

普通の女性には中々経験できない恋の駆け引きや遍歴をした女性なら、

みんなが浮かれる春よりも・・・うらはらな秋のほうが心惹かれるのは当然のことでしょう。

 それにしても・・和歌のリズム感ってステキ・・声に出して読むともっとステキ


額田王といえば・・・このブログにも記した歌があります。

★あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖ふる

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ふたりいけど いきすぎがたき あきやまを いかにかきみがひとりこゆらむ

                                       大伯皇女(おほくのひめみこ)

ふたりで行っても あまりに寂しい秋の山を あなたはたった独りでどんな気持ちで越えていることでしょう

天武天皇と大田皇女の間に生まれた、弟である大津皇子(おおつのみこ)と大伯皇女(おほくのひめみこ)は二人姉弟で、姉7つ、弟5つの時に母を亡くします。

そして、大津皇子は天武天皇の跡継ぎ問題で謀反の疑いをかけられ、死刑になってしまうのです。

最後の逢瀬となった姉弟・・その時ははっきりとはわからないけれど、虫の知らせのようなものを

姉は感じたのではないでしょうか?

伊勢斎宮であった姉の所を久しぶりに訪ね、弟は何を姉に話したのでしょうか?

父である天武天皇が九月九日にお亡くなりになり、後継者問題は当然その前からあったはず・・・

自分が天皇につきこの国を治めるという決心を話したのでしょう。たった一人の姉に・・・・

夜半に伊勢を発つ弟を見送る姉・・・何か悪い予感のようなものがするけれど、何も出来ない自分が辛かったに違いありません。


我が背子を大和へ遣るとさ夜深けて 暁露に わが立ち濡れし    

わがせこを やまとへやると さよふけて あかときつゆに わがたちぬれし  

                                          大伯皇女

愛しいあなたを大和に帰すと、夜も深けて、やがて明け方の露に濡れるまで私は立っていました


案の定、謀反発覚。父である天武天皇が崩御されて一ヶ月も経たぬ10月3日に、大津皇子は24歳という若さで、死刑になってしまいました。


百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ

ももつたふ いはれのいけに なくかもを けふのみみてや くもがくりなむ

                                  
                      大津皇子(辞世の句・・・死の直前に詠む歌の事 )

磐余(いはれ)の池でいつも鳴いている鴨を、今日を最後に見て、私は死んでいってしまう


この話は色々な説があります。私は大津皇子は真っ直ぐで男らしい性格のようですから、そそのかされてしまったのではないかと思うのです。
姉もそのような弟の性格を知っていたからこそ、悪い予感がしたのでは・・・

大切な弟を失った姉の悲しみは余りあります。

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うつそみの ひとにあるわれや あすよりは ふたかみやまを いろせとわがみむ

                                          大伯皇女

この世の人である私は、明日から 二上山を弟と思うことに致します

24歳で死刑になった弟、大津皇子・・・姉の大伯皇女(おおくのひめみこ)はどれほどにか悔しかった事でしょう

愛しい弟の理不尽な死・・・哀(かな)しび傷(いた)みて作りませる御歌・・・


磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと言はなくに

いそのうえに おふるあしびを たをらめど みすべききみが ありといはなくに

岸のところに咲く馬酔木の花を手折ってあなたに見せたい・・・でも、見せるあなたはもうこの世にはいない


白くて気品のある馬酔木の花・・・大津皇子にふさわしい花だと思います。

この二首には、姉の弟への気高く深い愛情が感じられます。

何故なら、大伯皇女は伊勢の斎宮です・・男の方との交わりは許されない、そして特別の霊感を持つ方です。

そのような方がたった一人の離れて暮らしている弟の事を想う・・・そして、24歳という若さでの死を悼む・・・その辛い思いはたとえようがないものでしょう。

今も昔も理不尽な死はあるのですね

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大和には群山あれど 取りよろふ天の香具山

登り立ち国見をすれば  国原は煙立ち立つ 海原は鴎立ち立つ

うまし国そ 蜻蛉島 大和の国は     舒明天皇


やまとにはむらやまあれど とりよろふあまのかぐやま  

のぼりたちくにみをすれば くにはらはけぶりたちたつ うなはらはかもめたちたつ

うましくにそ あきづしまやまとのくには

 

大和の国にはたくさん色々な山々がありますが、その中でもあらゆるものが揃ったこのすばらしい

あまのかぐやまに、登り、国を見渡すと・・あちらこちらに煙りが立ち上っている。

湖にはゆりかもめが飛び回っている・・・なんという美しい国であろう・・大和の国は・・


私の大好きな歌の一つです。


わが国をほめる・・・・わが子をほめる・・・・最近、中々出来なくなってきたこと。

なんと素直で大らかなほめ言葉だろう・・・・清き明き直き心・・きよきあかきなおきこころ

自分も子供たちも社会も国もこのように素直に褒めたたえたら、少しは何か変わるかもしれませんね・・・

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娘がヨーロピアンピアノを弾かせてもらったそうです。

6年前、プレイエル・ザウター・べヒシュタインの中古と新品の音色の違いを聞く講習会に渋る娘と行きました。

プレイエルはショパンの愛用していたピアノです。不思議なことにプレイエルで弾くだけでショパンらしい音色に変化します。

私はべヒシュタインの響きが好きでした。

中古はつや消しだったと思います。

新品のべヒシュタインは覚えていませんが、つや有り(ヤマハのピアノのようなの)だったように記憶しています。

べヒシュタインは響きがふっとピアノから浮き上がり球状の音色を出します。

古い方は地味だけれど柔らかな音色でした。

あの頃、精神的にとても疲れていた私は古い方のべヒシュタインの音色に魅かれたことを思いだします。

今だったら・・・どうかな・・べヒシュタインは好きだけれど、新しいほうの音色のほうが好みかもしれないな・・・

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