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むらさきの にほへるいもを にくくあらば ひとづまゆゑに われこひめやも
大海人皇子(おおあまのみこ)
おおあまのみこが、恋するぬかたのおおきみのことを歌ったものです。
これには、最初に
あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る
あかねさす むらさきのいき しめのいき のもりはみずや きみがそでふる
額田王(ぬかたのおおおきみ)
紫草の生い茂ったあなたさまの御料地を、人妻である私に向かって袖を振るあなた・・
野の番人にみつけられたらどうするのですか・・・
と、いう女性の歌に対して、後に皇太子であるおおあまのみこが答えたものです。
それに対して、なんと大胆な返歌でしょうか・・・・
実はおおあまのみこはその当時の天智天皇の弟で、額田王の元夫なのです。
元妻に、送る大胆な歌
紫草のようにあでやかに香るあなたのことがもし憎かったら、
人妻であるあなたをこんなに恋い慕うであろうか・・・・
今だと、メールで「気をつけないと、みんなが居る時に私に笑いかけたりしないほうがいいわよ」
それに対して「だって君のことが今でも好きなんだもん」
なんて調子かな・・・なぁんだ、不倫じゃん、と思うかもしれないけれど、
私が言いたいのは、恋する思いを歌に昇華させていく、万葉びとの教養の深さです。
恋・・・人はこれに悩み苦しみ傷つく・・そして、いいようのない幸福感を味わう
なつののの しげみにさけるひめゆりの しらえぬこいはくるしきものそ
大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)
人知れぬ恋・・打ち明けることの出来ない恋心・・片思い・・友人の彼氏を好きになってしまった・・・
隣の旦那さんに心を惹かれてしまう・・恋しても事情があって友達にも打ち明けられない・・・・
そういう恋の苦しさを歌った和歌です。
百合と言うと外来種の派手な百合を想像されるかもしれません。
私も外来種の白百合など好きです。
けれど、ここに歌われている姫百合は身の丈20cmぐらいの小さくて赤い可憐な花です。
回りに雑草が覆い茂っていたら見えなくなりそう・・・・・・
でも、その、小さな赤い花は決して隠れそうで隠れない・・想いの強さを感じさせます。
密やかで、控えめだけれど、決して咲く事をあきらめない花・・・あきらめない恋の想い
・・・恋だけではありません。
決してあきらめない想い・・・ありますか?
他の花々を圧倒して咲く訳ではないけれど、潰される事無く、意志の強さを感じさせる赤い花・
・・・姫百合の花・・・憧れます。
野火と見るまで もゆる火を いかにと問へば 玉桙の 道来る人の 泣く涙 小雨に降り
白栲の 衣ひづちて 立ち留まり 我に語らく 何しかも もとな?ふ 聞けば 哭のみし泣かゆ
語れば 心そ痛き 天皇の 神の御子の いでましの 手火の光そ ここだ照りたる
★ あずさゆみ てにとりもちて ますらおの さつやたばさみ たちむかふ たかまどやまに
はるのやく のびとみるまで もゆるひを なにかととへば たまほこの みちくるひとの
なくなみだ こさめにふり しらたへの ころもひづちて たちとまり われにかたらく
なにしかも もとなとふ きけば ねのみしなかゆ かたれば こころそいたき すめろきの
かみのみこの いでましの たびのひかりそ ここだてりたる
巻2-230 不詳