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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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秋山の したへる妹 なよ竹の とをよる子らは

いかさまに 思ひ居れか 栳(たく)縄の 長き命を

露こそば 朝(あした)に置きて 夕へは 消(き)ゆといへ

霧こそば 夕へに立ちて 朝は 失すといへ

梓弓 音聞く我も おほに見し こと悔しきを 敷栳の 手枕まきて

剣大刀 身に添へ寝けむ 若草の その夫(つま)の子は

寂(さぶ)しみか 思ひて寝(ぬ)らむ 悔しみか 思ひ恋ふらむ

時ならず 過ぎにし子らが 朝露のごと 夕霧のごと

意訳>

秋山の様に美しく色づいたあの人、なよ竹の様に、しなやかな
あの子は、どのように思ったのか 栳縄のような長い命なのに
露ならば朝に置いて夕方には消える言うけれど
霧ならば夕方に立って朝には消えると言うけれど
梓弓の美しい音を聞くように噂を聞いていた私も
ぼんやりとしか見ていないことが、悔しいのに、ましてや
手枕をを交わして剣大刀のように添い寝した若草の相手の方は
どれほど寂しく思って寝ているだろう・・
どんなに心残りをして思い慕っているだろう・・
思いもかけず死んでしまったあの子の事を・・
朝露の如くに・・・夕霧の如くに・・・

短歌二首

・去年見てし 秋の月夜は 照らせども 相見し妹は いや年離る
 こぞみてし あきのつくよは てらせども あひみしいもは いやとしさかる

 去年見た秋の月夜は、今年も同じように照らしているけれど、その月を共に
 見た妻は、年月と共にますます遠ざかる

・衾道を 引手の山に 妹を置きて 山道を往けば 生けりともなし
 ふすまぢを ひくてのやまに いもをおきて やまぢをゆけば いけりともなし

 衾道よ、引手の山の中に妹を置いて、山道を帰ると 生きた心地もしない



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