忍者ブログ
万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
[1027]  [1028]  [1029]  [1030]  [1031]  [1032]  [1033]  [1034]  [1035]  [1036]  [1037
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

PR
★ つのさはふ 石見の海の 言さへく 韓の崎なる 海石にそ 深海松生ふる 荒磯にそ

  玉藻は生ふる 玉藻なす 靡き寐し児を 深海松の 深めて思へど さ寝し夜は

  いくだもあらず 這ふ蔦の 別れし来れば 肝向かふ 心を痛み 思ひつつ かへりみすれど

  大船の 渡の山の 黄葉の 散りの乱ひに 妹が袖 さやにも見えず 嬬隠る 屋上の山の

  雲間より 渡らふ月の 惜しけども 隠ろひ来れば 天つたふ 入日さしぬれ 丈夫と

  思へるわれも 敷栲の 衣の袖は 通りて濡れぬ


★ つのさはふ いはみのうみの ことさへく からのさきなる いくりにそ ふかみるおふる

   ありそにそ たまもはおふる たまもなす なびきねしこを ふかみるの ふかめておもへど

   さねしよは いくだもあらず はふつたの わかれしくれば きもむかふ こころをいたみ

   おもひつつ かへりみすれど おおふなの わたりのやまの もみぢばの ちりのまがひに

   いもがそで さやにもみえず つまごもる やがみのやまの くもまより わたらふつきの

   おしけども かくろひくれば あまつたふ いりひさしぬれ ますらおと おもへるわれも

   しきたへの ころものそでは とおりてぬれぬ

  
★ 角ばった岩の石見の海の、声も届かぬような荒涼とした韓という崎の海中の岩石には

  海の底深く、松も生える。荒れた磯にも 美しい藻が生える・・その美しく漂う藻のように

  靡いて添い寝した娘を、深い海に生える松のように深く愛しんできたのだのに、夜を

  共にした日も僅かに、伸びた蔦の葉のように別れてきたので、体の中に宿る心も痛んで

  その度に、振り返り見るのですが、大船の渡りの山の黄葉が目の前に乱れ散り、

  妻の振る袖も見えない。二人で夜を過ごした屋上の山にかかる雲の間から、空を渡って

  行く月が隠れるように、妻の居る家も隠れてしまった。天を渡る太陽が落日ともなると

  日本男子だと自負していた私も、美しい衣の袖を妻を思う涙で濡らしてしまう事です。

                                         巻2-135

  妻を思い慕う気持ちをここまで言い表すこの時代の「ますらお」の素直さに驚きます。

  女性に対して素直に心を表現するのはけして、「ますらお」ではないということではないと

  私は思います。むしろ、なんと魅力的でしょうか・・・こういうことを素直に表現できるのは

  むしろ、自信があるということかもしれない。


  大切な事は、相手が本当に辛い時に助けてあげられる「ますらお」であるかというこではない   でしょうか?

  男も女も弱いところも強いところもあります。

  大切な事は、相手を尊重できるかどうか・・・自分とは違う性の特色を持つ相手を思いやれる

 人間でありたいですね・・・・柿本人麻呂がそうであったとまでは言いませんが・・・・・

  

拍手[0回]

★ ささのはは みやまもさやに さやげども われはいもおもふ わかれきぬれば

★ 小さい竹林の葉は、山道でざわざわと風に鳴っていますが、私の心も、

  その竹林のさやぎのように、不安で乱れ貴女を思います・・・今、別れてきたから・・・・

                                       巻2-123 柿本人麻呂


竹林のざわめきに、自分の心を投影しています。

自然と心が一つになり、現在の彼の、妻と別れてきた心を言い表しています。

自然と一体・・・

拍手[1回]

★ いはみなる たかつのやまの このまゆも わがそでふるを いもみけむかも

★ 石見の高角山の木の間を通して、私が袖を振っているのを 妻は見ただろうか・・・・

                                       巻2-134


別の本に載っている巻2-132と同じ意味の歌

拍手[0回]

★ 石見の海 角の浦廻を 浦なしと 人こそ見らめ 潟なしと 人こそ見らめ よしゑやし

  浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも 鯨魚取り 海辺を指して 和多津の 荒磯の上に

  か青なる 玉藻沖つ藻 朝はふる 風こそ寄せめ 夕はふる 浪こそ来寄せ 浪の共

  か寄りかく寄る 玉藻なす 寄り寝し妹を 露霜の 置きてし来れば この道の 八十隈毎に
 
  万たび かへりみすれど いや遠に 里は放りぬ いや高に 山も越え来ぬ 夏草の

  思ひ萎えて 偲ふらむ 妹が門見ぬ 靡けこの山


★  いはみのうみ つののうらみを うらなしと ひとこそみらめ かたなしと ひとこそみらめ

    よしゑやし うらはなくとも よしゑやし かたはなくとも いさなとり うみへをさして 

   にきたづの ありそのうえに かあおなる たまもおきつも あさはふる かぜこそよせめ

   ゆふはふる なみこそきよせ なみのむた かよりかくよる たまもなす よりねしいもを

   つゆしもの おきてしくれば このみちの やそくまごとに よろづたび かへりみすれど

   いやとほに さとはさかりぬ いやたかに やまもこえきぬ なつくさの おもひしなえて

   しのふらむ いもがかどみむ なびけこのやま


★  石見の海の津野の浦には、舟を寄せるような良い浦がないと、人はみるでしょう。

   藻を取る遠浅の潟もないと人はみることでしょう。

   たとえ、浦がなくても、たとえ、浅瀬の藻を取る潟がなくても、よいのです。

   鯨も取れる海に向けて、和多津の荒磯のほとりに 、青々とした美しい藻、朝は朝で新鮮な

   空気溢れる風が吹いてきます。夕方は、美しい波が押し寄せてきます。

   この波とともにゆらゆらと寄り添ってきた愛しい我が妻を、露や霜のように置いてきたので

   この旅路の曲がり角毎に、何度となく、振り返って見るのですが、本当に遠くに妻のいる里を

   離れてきてしまいました。高い山を越え、夏の日にあたりしなえてしまう草のように、恋しさに

   心が萎えているこでしょう。心から慕うわが妻よ・・・貴女の居る家の門を見たい・・・

   靡いてくれよ、この山々よ・・・


                                            巻2-131  柿本人麻呂

  久しぶりの長歌でござんす。

  是非、声に出して、深くか考えず、繰り返し呼んでみてくださいね・・・

   考えると、嫌になっちゃうから

拍手[0回]

★ いはみのや たかつのやまの このまより わがふるそでを いもみつらむか

★ 石見の、高角山の木々の間から、愛しい貴女に向けて振る袖を、貴女は見ていますか・・・

                                        巻2-132   柿本人麻呂


山の木々の間から振る袖など、妻の居る里から実際はみえるはずもない・・・・けれど、敢えて

そのように詠い、自分が妻を思う気持ちを表そうとしています。

万葉びとの想像力の豊かさを感じます

拍手[0回]

カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
辻友子
性別:
女性
自己紹介:
万葉を歌う歌手、辻友子のブログ。くわしくはホームページを!
Copyright © 万葉歌手辻友子 All Rights Reserved.
Designed by 10p
Powered by Ninja Blog

忍者ブログ [PR]