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★ わぎもこに こひつつあらずは あきはぎの さきてちりぬる はなにあらましを
★ 愛しいあの方を恋慕って苦しんでばかりいないで、秋に咲く萩の花のように
美しく咲いて、見事に散って生きたいものですね
弓削皇子 巻2-120
恋・・・勿論、現代の恋の成り行きや交際の仕方など、様々な差異はあるでしょうが、
恋の持つ本質は変わらないのでは・・・・・
弓削皇子の紀皇女に捧げた2首目です。
最後の4首まで恋の本質を探ってみましょう
[0回]
★ ゆうさらば しほみちきなむ すみのえの あさかのうらに たまもかりてな
★ 夕暮れになると、潮が満ちてくるでしょう。その前に、住吉の浅鹿の浦で
玉藻を刈り取ってしまいたい・・・玉の藻のような私の恋する人を・・・
巻2-121
玉・・・というものは、美しいもの大切なものに通ずる言葉であり、また、魂と同義語のような
ものです。玉のような藻とは、最高の恋する相手への賛美です。
信濃なる 千曲の川の さざれいし 君し踏みては 玉と拾はむ
という万葉和歌と一緒です。
[1回]
★ ますらおや かたこひせむと なげけども しこのますらお なほこひにけり
★ 日本男児たるもの片思いなどするものかと嘆いてはみるが、ふがいないわが身はやはり
恋に苦しんでしまう
舎人皇子 巻2-117
天武天皇の皇子で、一番長生きしたと言われています。
しこということばは、醜い(みにくい)ということではなくて、男児としてふがいないとという内面的なものと思います。
繊細な心情表現ですね・・・殿方のほうが繊細なお心をお持ちなのでしょうか・・・・
★ なげきつつ ますらをのこの こふれこそ わがかみゆひの ひぢてぬれけれ
★ りっぱな男子である貴方さまが、深い溜め息をついてまで、私の事を恋しく思ってくださるので
私の結んだ髪が、霧となったあなたの熱い息に濡れほどけてしまった・・・
舎人娘子 巻2-118
霧を息と感じる感性のすごさ・・・そしてそこに、かれの熱い思いを感じ取る感受性・・・
何と豊かなすてきな恋物語でしょうか・・・・
メールしたのに、何で返事を返さないのよ!と喧嘩になる今の恋??物語とは、ずいぶんと
かけ離れているような・・・・
巻2-118は巻2-117との相聞歌です。
また、巻2-118の舎人皇女の歌の読みは、「・・・ひぢてねれけれ」・・ではな「く・・・、ひぢてぬれけれ」です。