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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ つのさはふ 石見の海の 言さへく 韓の崎なる 海石にそ 深海松生ふる 荒磯にそ

  玉藻は生ふる 玉藻なす 靡き寐し児を 深海松の 深めて思へど さ寝し夜は

  いくだもあらず 這ふ蔦の 別れし来れば 肝向かふ 心を痛み 思ひつつ かへりみすれど

  大船の 渡の山の 黄葉の 散りの乱ひに 妹が袖 さやにも見えず 嬬隠る 屋上の山の

  雲間より 渡らふ月の 惜しけども 隠ろひ来れば 天つたふ 入日さしぬれ 丈夫と

  思へるわれも 敷栲の 衣の袖は 通りて濡れぬ


★ つのさはふ いはみのうみの ことさへく からのさきなる いくりにそ ふかみるおふる

   ありそにそ たまもはおふる たまもなす なびきねしこを ふかみるの ふかめておもへど

   さねしよは いくだもあらず はふつたの わかれしくれば きもむかふ こころをいたみ

   おもひつつ かへりみすれど おおふなの わたりのやまの もみぢばの ちりのまがひに

   いもがそで さやにもみえず つまごもる やがみのやまの くもまより わたらふつきの

   おしけども かくろひくれば あまつたふ いりひさしぬれ ますらおと おもへるわれも

   しきたへの ころものそでは とおりてぬれぬ

  
★ 角ばった岩の石見の海の、声も届かぬような荒涼とした韓という崎の海中の岩石には

  海の底深く、松も生える。荒れた磯にも 美しい藻が生える・・その美しく漂う藻のように

  靡いて添い寝した娘を、深い海に生える松のように深く愛しんできたのだのに、夜を

  共にした日も僅かに、伸びた蔦の葉のように別れてきたので、体の中に宿る心も痛んで

  その度に、振り返り見るのですが、大船の渡りの山の黄葉が目の前に乱れ散り、

  妻の振る袖も見えない。二人で夜を過ごした屋上の山にかかる雲の間から、空を渡って

  行く月が隠れるように、妻の居る家も隠れてしまった。天を渡る太陽が落日ともなると

  日本男子だと自負していた私も、美しい衣の袖を妻を思う涙で濡らしてしまう事です。

                                         巻2-135

  妻を思い慕う気持ちをここまで言い表すこの時代の「ますらお」の素直さに驚きます。

  女性に対して素直に心を表現するのはけして、「ますらお」ではないということではないと

  私は思います。むしろ、なんと魅力的でしょうか・・・こういうことを素直に表現できるのは

  むしろ、自信があるということかもしれない。


  大切な事は、相手が本当に辛い時に助けてあげられる「ますらお」であるかというこではない   でしょうか?

  男も女も弱いところも強いところもあります。

  大切な事は、相手を尊重できるかどうか・・・自分とは違う性の特色を持つ相手を思いやれる

 人間でありたいですね・・・・柿本人麻呂がそうであったとまでは言いませんが・・・・・

  

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