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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ 石見の海 津の浦を無み 浦無しと 人こそ見らめ 潟無しと 人こそ見らめ よしゑやし

  浦は無くとも よしゑやし よしゑやし 潟は無くとも 勇魚取り 海辺を指して 柔田津の

  荒磯の上に か青なる 玉藻沖つ藻 明け来れば 浪こそ来寄せ 夕されば 風こそ来寄せ

  浪の共 か寄りかく寄る 玉藻なす 靡きわが宿し 敷?の 妹が手本を 露霜の 

  置きてし来れば この道の 八十隈ごとに 万度 かへり見すれど いや遠に 里放り来ぬ

  いや高に 山も越え来ぬ 愛しきやし わが嬬の児が 夏草の 思ひ萎えて 嘆くらむ

  角の里見む 靡けこの山

★ いはみのうみ つのうらをなみ うらなしと ひとこそみらめ かたなしと ひとこそみらめ

  よしゑやし うらはなくとも よしゑやし かたはなくとも いさなとり うみべをさして 

  にきたづの ありそのうえに かあおなる たまもおきつも あけくれば なみこそきよせ

  ゆうされば かぜこそきよせ なみのむた かよりかくよる たまもなす なびきわがねし

  しきたへの いもがたもとを つゆしもの おきてしくれば このみちの やそくまごとに

  よろづたび かへりみすれど いやとおに さとさかりきぬ いやたかに やまもこえきぬ

  はしきやし わがつまのこが なつくさの おもひしなえて なげくらむ つののさとみむ

  なびけこのやま

★ 石見の海には舟を寄せる良い浦が無いと、人は見るでしょう。藻を刈る遠浅の潟も無いと

  人は見るでしょう。浦が無くても、潟がなくても、それでも良いのです。

  鯨の取れるような海を目指して、和田津の荒磯の上に青々と美しく生える藻、また、

  海深く生える藻が、夜が明ければ、波が次から次と押し寄せて、夕暮れになると、

  海風も吹き寄せ、波とともに、寄り添ってくる美しい藻の様に、私に靡き寄って寝た

  愛しい妻の着物の袂を露や霜降る中に置いてきてしまった。この道中を、道の曲がり角ごとに

  何度も何度も振り返り、妻の居る里から遠く離れて来てしまいました。

  高い山も越えて・・・愛しき妻は、夏の草が萎えてしまうように、嘆いているだろう・・・・

  妻の居る里を、遠くに見ることだ。靡いてくれ・・この山よ・・・

                                      巻2-138

この長歌は、巻2-131と同じ内容の歌です。

巻2-138の方が先に作られたらしく、評判がよいので、手を加えて残されたようです。

長歌は頭でわかろうとせずに、音(おん)にして繰り返し読むうちに、

何か伝わってくるような気がします。

音の拍動や母音の響きの繰り返しなど・・・・・

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