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★ やまとには なきてかくらむ よぶこどり きさのなかやま よびそこゆなる
★ 大和では、今頃かっこうが鳴いて来ているだろうか?
象の山を、私の心を映すがごとく人を呼ぶように鳴いて渡っていくことだ
高市黒人 巻1-70
■ 大和恋ひ 眠の寝らえぬに 情なく この渚崎廻に 鶴鳴くべしや
■ やまとこひ いのねらえぬに こころなく このすさきみに たづなくべしや
■ 妻のいる大和を恋慕って、まんじりともせずに夜を過ごしている私に、渚崎の周りを
いたずらに鶴が鳴きながら飛んでいる・・・ますます、家への思慕が高まる事だ・・・
巻1-71
旅がテーマの歌が並びました。
旅というのは、じっくりと人生を考えさせてくれるものですね・・・現代の旅は、娯楽が主の旅が
多いですが・・・それでも、我が家を離れて、空気や水の違う場所で過ごすことは、家をそして、
家族や・・・愛しい人の大切さを感じさせてくれます。
旅→家→妻・・・・万葉の旅はこれに尽きるようです。
電気もない、長い夜を旅先で・・・鳥の鳴声を聞きながら過ごす・・・家に残した妻を思って・・・
鳥の鳴声は、家に通じるものと考えられていたようです。
鳥の鳴声に、自分の思いを託したのでしょうね・・・
★ おおともの みつのはまにある わすれがい いえにあるいもを わすれておもへや
★ 大伴の御津の浜辺にある忘れ貝よ・・・恋を忘れると伝えられているけれど、
家に居る妻の事を忘れる事があろうか・・・そんなことは、全くない・・・
巻1-68
★ 草枕 旅行く君と 知らませば 岸の埴生に にほはさましを
★ くさまくら たびいくきみと しらませば きしのはにふを にほはさましを
★ 草を枕として旅寝をするあなたと、知っておりましたら この岸の黄土で、
あなたをお包みもうしあげましたのに・・・・
巻1-69
草を枕に対して、黄土は妻の居る土地の土の事・・草を枕にするにぐらいなら、私のいる
この場所の土で彩ってあげたい・・・という思いですね・・・
旅して、愛する妻と離れ離れになってしまう・・・・これが、最も辛い事です・・
でも、だからこそ、万葉の人は深く自分の思いについて考える力を持っていたのでしょう。
考えることなく、あらゆる情報が飛び込んでくる現代は、
日本人が本来持つ素晴らしい心性を、駄目にしてしまっているのかもしれませんね。