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★ たまくしげ おほみをやすみ あけていなば きみがなはあれど わがなしおしも
★ 大切な櫛を入れるしまい箱に蓋をするように、人の噂に立っていない事をいいことに
夜が明けてからお帰りになると、いつか人に知られてしまいます。
あなたはそれで宜しいかもしれませんが、わたしは困ります。
鏡王女 巻2-93
この歌は、藤原鎌足が、鏡王女の元を、夜訪ねた時に、鏡王女が、詠んだ歌です。
昔は、男の方は、好ましく思う女性の家を夜の内に訪ね、夜が明ける前に、帰るのが
慣わしでした。
返歌
■ 玉くしげ みむまど山の さなかづら さ寝づはつひに ありかつましじ
■ たまくしげ みむまどやまの さなかづら さねづはつひに ありかつましじ
■ 大切な櫛をしまうしまい箱の蓋を開けてみましょう、みむまど山のさな葛のような、共寝を
しないでいるこなど私にはできません。
藤原鎌足は意外と色好みでしょうか・・・・失礼。
「さ」・・・・さなかづら→さ寝づ・・・と続きます。
ばれちゃってもいいじゃん、幸せならば・・・・ということかしらん
★ きみがいく けながくなりぬ やまたづね むかへかいかむ まちにかまたむ
★ あなたが旅にいかれてから、随分と月日が立ちました。
山路を辿ってお迎えにまいりましょうか・・・それとも、このまま、待ち続けましょうか・・・
磐姫皇后 巻2-85
いよいよ、私の好きな相聞歌です。
お互いに歌を交し合うのです。ただし、恋人同士だけでなく、親子、友人など、様々です。
でも、何と言っても、恋の相聞歌ですよね・・・・
さて、この磐姫皇后は「激しい嫉妬の人」として、有名です。
仁徳天皇の奥様で、側室に嫉妬をした話が伝わっています。
待ちにか待たむ・・・というところなどは、確かに儚さや、可愛げというよりは、石のように動かぬ
強い思いが伝わってきますね。
★ いあかして きみをばまたむ ぬばたまの わがくろかみの しもはふるとも
★ 眠らずにあなたを待ちましょう。 ぬばたまの実のように黒い髪に、霜が降りても・・・・
黒髪に霜が降りるとは、白髪になるまでとも、考えられます。どちらにしても、そうまでしても
あなたさまを待ちます・・・という気持ちの表れです。
秋の田の 穂の上に霧らふ 朝霞 何処辺の方に わが恋ひ止まぬ
お友やん (2009年9月21日 08:53) | コメント(0) | トラックバック(0)
★ あきのたの ほのへにきらふ あさがすみ いつへのかたに わがこひやまぬ
★ 秋の田んぼの実った穂の上にかかる朝の霞のように、どのようにしても、私の恋の思いが
晴れる事はない
磐姫皇后 巻2-88
う~ん・・・・・・仁徳天皇のご寵愛をそんなに受けられなかったのでしょうか・・・
この4首は、磐姫皇后がお作りになったというよりは、嫉妬心で名高い磐姫皇后は、きっと
このようなお心もちであったにちがいないと言う事で、民謡のように歌い継がれてきたものを
磐姫皇后の作とした、という説もあります。
確かに、4首はまるで芝居の4幕のように繋がっていきます。
最初は、あなたを待ち続けるという思いが、山で石を枕に死んでしまいたいという思いから、
いや、ずっと待っていよう・・・白髪になるまでとなり、田の上の霞のように私の恋の思いは
晴れる事とてない・・・と、歌っています。
もし、全てが磐姫皇后の歌でないとしても、皇后が嫉妬深い人であったことは間違いないでしょう。