忍者ブログ
万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
[1003]  [1004]  [1005]  [1006]  [1007]  [1008]  [1009]  [1010]  [1011]  [1012]  [1013
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

PR

★ たびにして ものこいしきに やましたの あけのそほふね おきにこぐみゆ

★ 旅をしていて、なんとなくもの恋しさを感じているというのに、山の下のほうに赤丹(あかに)を

  塗った船を漕いで行くのが見えます。

                            巻3-270  高市連黒人(たけちのむらじくろひと)

繊細な表現だと思う・・・旅の旅愁に浸っている自分・・・山から下のほうの海を見る。

「あけ=赤」は明けが名詞に転成したものだというから、自分の心の暗さに対しての「赤のそ船」

の明るさである・・・・淋しい心の旅人には赤い船は目にまぶしかったのかもしれない・・・

拍手[0回]


★ わがせこが ふるへのさとの あすかには ちどりなくなり しままちかねて

★ あなたが元住んでおられた家のある明日香の里には、千鳥が鳴いているようです。

   邸が修復されるのを待ちかねて・・・・

                    巻3-268  長屋王 (ながやのおほきみ)

島ということばは、現代では向こう傷の入られた方々が、「おれらのしま・・・」などといわれるときに

使われるようですが、万葉時代は、泉水があり水鳥が遊ぶ庭園という意味でした。

草壁皇子の死後、明日香より藤原宮に遷った後に、この歌が詠まれたようです。

拍手[0回]


★ もののふの やそうぢがはの あじろぎに いさよふなみの ゆくへしらずも

★ もののふの数も多い八十の氏・・・その宇治川の網代の杭にさえぎられて、漂う波のように、

  人の世の来し方の計りかねることです


                                   巻3-264  柿本人麻呂


柿本朝臣人麻呂(かきのもとのあそみひとまろ)とも言います。

旧都である近江を後にして、複雑な思いで詠んだ歌だと思われます。

数多い八十の氏・・・・とは、官吏たちのことを歌っているようです。また、その氏を宇治川に

かけて、歌を詠んでいます。旧都の官吏たち・・・そして、今訪ねている宇治川にかけて歌うとは、

さすが人麻呂ですね・・・人の世ははかなく、そして図り難い事・・・・

拍手[0回]


★ うまないたく うちてないきそ けならべて みてもわがゆく しがにあらなくに

★ 馬をそんなに強く打って走るのではないぞ。幾日も日を並べて見続けていける志賀の地では

  ないのだから・・・・

                                 巻3-263  形部垂麻呂(おさかべのたりまろ)


その土地を旅するとき、必ずと言ってよいほど、土地褒めの歌が作られます。

それは、その土地にお邪魔する(横切る、もしくは訪ねる)よそ者としての、その土地の神様に対する

ご挨拶のようなものです。いまでも、地鎮祭というのを、土地を買って家を建てるときに、行います。

「このたび、この土地にお邪魔させていただきます。何卒宜しくお願い申し上げます」という、気持ちですね。

人の家に上がるのと同じ事です。そして、その土地を良く見て、歌を作り、土地褒めをするのです。

地霊賛歌とでもいいましょうか・・・・

拍手[0回]


★ やつりやま こだちもみえず ふりまがふ ゆきのさわける あしたたのしも

★ 矢釣山の木立も見えなくなるほどに降りまがい雪が乱れふる朝は楽しい事です

                               巻3-262  柿本人麻呂


奈良盆地は大雪が少ないので、大雪を楽しむという心のゆとりがあるのでしょう。

これが、大雪の地方でしたら、とてもではないですね・・・・

でも、現代は雪が降らない地域も「雪が降って楽しむ」と言う心のゆとりは失われました。

ゆとり教育などととんでもない嘘八百がありましたが、ゆとりとはそんなものではないと思います。

今降る雪を楽しむ心のゆとり・・・でしょう・・・きょうはゆとりの時間で~ス・・・なんて、ちゃんちゃら

おかしなお話です。

拍手[0回]

カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
辻友子
性別:
女性
自己紹介:
万葉を歌う歌手、辻友子のブログ。くわしくはホームページを!
Copyright © 万葉歌手辻友子 All Rights Reserved.
Designed by 10p
Powered by Ninja Blog

忍者ブログ [PR]