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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ 草枕 旅の憂へを 慰もる 事もあはれと

  筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付くの田居に

  雁がねも 寒く来鳴き 新治の 鳥羽の淡海 秋風に

  白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長きけに

  思ひ積み来し 憂へは息みぬ

★ くさまくら たびのうれへを なぐさもる こともあはれと

  つくはねに のぼりてみれば をばなちる しつくのたゐに

  かりがねも さむくきなきぬ にひばりを とばのあふみも

  あきかぜに しらなみたちぬ つくばねの よけくもみれば

  ながきけに おもひつみこし うれへはやみぬ


★ 草を枕の旅のつらさもなおることがあるかと筑波嶺に登って

  見ると ススキの穂が散る師付の田には 雁も寒々と来ては

  鳴いていた。新しく懇いた鳥羽の湖も秋風に白波が立っていた。

  筑波嶺のよい眺めを見ると 長い日々を物思いの中に重ねて来た

  つらさもいえたこです。

      巻9-1757   高橋虫麻呂

  ・草枕→枕詞

  

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★ かききらし あめのふるよを ほととぎす 

   なきてゆくなり あはれそのとり

★ 夜空もくらくして雨の降る夜を 霍公鳥は

  鳴いていくようです。ああ、その鳥よ

    巻9-1756  高橋虫麻呂

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★ 鶯の 生卵の中に 霍公鳥 独り生まれて 己が父に

  似ては鳴かず 卯の花の 咲き野辺ゆ 飛びかけり

  来鳴き響もし 橘の花を居散らし 終日に 鳴けど聞くよし

  幣はせむ 遠ほくな行きそ わが屋戸の 花橘に 住み渡れ


★ うぐひすの かひこのなかに ほととぎす ひとりうまれて

  ながちちに にてはなかず ながははに にてはなかず

  うのはなの さきたるのへゆ とびかけり きなきとよもし

  たちばなの はなをゐちらし ひねもすに なけどききよし

  まひはせむ とほくなゆきそ わがやどの はなたちばなに

  すみわたれ


★ 鶯の中に 生卵の中にまじって、霍公鳥は一羽だけ生まれる

  お前の父のはずの鶯に似ては鳴かずお前の母たる鶯に似ては鳴かず

  卯の花の咲いている野べから飛びかけり来て鳴き声を響かせ、

  橘の花を枝にとまっては散らし、一日中鳴くけれど聞くと快い。
 
  贈り物をしよう。だから遠くに行くな。私の家の花橘にずっと

  居つづけるよ。鳥よ。

    巻9-1755   高橋虫麻呂

  

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★ けふのひに いかにかしかむ つくはねに

   むかしのひとの きけむそのひも

★ 今日の日にどうして及ぼうか。筑波嶺に

  昔の人が来たという その日にしても

    巻9-1754  高橋虫麻呂

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★ 衣手は 常陸の国に 二並ぶ 筑波の山を 見まく欲り

  君に来ませりと 熱けくに 汗かきなけ 木の根を取り

  うそむき登り 峯の上を 君に見すれば 男の神も

  許し賜ひ 女の神も ちはひ給ひて 時となく 雲居に雨降る

  筑波嶺を 清やかに照らし いふかりし 国のま秀らを

  委曲に 示し賜へば 歓しみと 紐の緒を解きて 家の如

  解けてそ遊ぶ うち靡く 春見ましゆは 夏草の 茂くはあれど

  今日の楽しさ


★ ころもでに ひたちのくにに ふたならぶ つくはのやまを

  みまくほり きみにきませりと あつけくに あせかきなけ

  このねとり うそむきのぼり をのうへの きみにみすれば

  をのかみを ゆるしたまひ めのかみも ちはひたまひて

  ときとなく くもいあめふる つくはねを さやかにてらし

  いふかりし くにのまほらを つばらかに しめしたまへば

  うれしみと ひものをときて いへのごと とけてそあそぶ

  うちなびく  はるみましゆは なつくさの しげくはあれど

  けふのたのしさ


★ 衣手を ひたす常陸に 二山が並び筑波の山を見たいと欲して

  あなたがいらっしゃったので、暑い日を 汗を掻き辛い思いを

  しつつ、木の根にすがっては息づき登り 頂上をあなたに

  みせると、 男岳もの神もお許しなさり 、女岳の神も加護を

  くださって ふつうならいつも雲がかり雨の降る筑波の山を

  今日晴ればれと照らし 今まで十分に見ることもなかった

  国のすぐれた様子をはっきりとお示しくださったので、嬉しく

  思って衣の紐を解いて、家にいるように心も解けて遊んだ。

  霞こめる春に眺めるのもよいでしょうが、夏草が茂ってはいても

  春の野遊びにもまして 今日は楽しいことです

     巻9-1753   高橋虫麻呂

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