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★ 級照る 片足羽川の さ丹塗の 大橋の上ゆ
紅の 赤裳裾引き 山藍もち 摺れる衣着て
ただ独り い渡らす児は 若草の 夫かあるかむ
かしの実の 独りか寝らむ 独りか寝らむ
問はまくも 欲しき我妹が 家の知らなく
★ しなてる かたはしがは さにぬりにの
おおはしのうへゆ くれなゐの あかもすそひき
やまあいもち すれるきぬきて ただひとり
いわたらすこは とはまくの ほしきわぎもが いへしらなく
★ しなてる片足川の丹塗りの大橋の上を、紅の赤裳裾引き
山藍で すり染めにした衣を着て ただ一人渡っておられる
娘子は 若草のような夫がいるのでしょうか?
それもかしの実のように 一人で寝ているのだろうか。
求愛の言葉をかけてみたいとあの子の家がわからないことです
巻9-1742 高橋虫麻呂
・しなてる→枕詞
紅の 赤裳裾引き 山藍もち 摺れる衣着て
ただ独り い渡らす児は 若草の 夫かあるかむ
かしの実の 独りか寝らむ 独りか寝らむ
問はまくも 欲しき我妹が 家の知らなく
★ しなてる かたはしがは さにぬりにの
おおはしのうへゆ くれなゐの あかもすそひき
やまあいもち すれるきぬきて ただひとり
いわたらすこは とはまくの ほしきわぎもが いへしらなく
★ しなてる片足川の丹塗りの大橋の上を、紅の赤裳裾引き
山藍で すり染めにした衣を着て ただ一人渡っておられる
娘子は 若草のような夫がいるのでしょうか?
それもかしの実のように 一人で寝ているのだろうか。
求愛の言葉をかけてみたいとあの子の家がわからないことです
巻9-1742 高橋虫麻呂
・しなてる→枕詞
★ 春の日の 霞める時に 墨古の 岸に出でて
釣船のとらをふ見れば 古の 事そ思ほゆる
水江の 浦島の子が 堅魚釣り 鯛釣りほこりを
七日まで 家にも来ずて 海界を 過ぎて行くに
海若の 神の女に たまさかに い漕ぎ向かひ
相誂ひ こと成りしかば かき結び 常世に至り
海若の 神の宮の 内の重の 妙なる殿に 携はり
二人入り居て 老いもせず 死にもせずして 永き世に
ありけるものを 世の中の 愚人の 吾妹子に 告げて語らく
須しくは 家に帰りて 父母に 事も告らひ 明日のごと
われは来なむと 言ひければ 妹がいへらく 常世辺に
また帰り来て 今のごと 逢はむとならば このくしげ
開くなゆめと そこらくに 堅めし言を 墨吉に
還り来りて 家見れど 里を見かねて あやしみと
そこに思はく 家ゆ出でて 三歳の間に 垣も泣く
家滅せめやと この箱を 開きてみれば もとの如
家はあらむと 玉くしげ 少し開くと 白雲の
箱より出でて 常世辺に 棚引きぬれば 立ち走り
叫び袖降り 反則び 足ずりしつつ たちまちに
情消失せるぬ 若かりし 膚も皺みぬ 黒かりし
髪も白けぬ ゆなゆなは 気さへ絶えて 後つひに
命死にける 水江の 浦島の子が 家地見ゆ
★ はるのひの かすめるときに すみのえの きしにいでいて
つりふねの とをらふみれば いにしへの ことそおもほゆる
みづのえの うなさかを すぎてこぎゆくに わたつみの
かみのをとめに ことなりしかば かきむすび たづさはり
ふたりいりいて おいもせず しにもせずして ながきよに
ありけるものを よのなかの おろかひとの わぎもこに
つれてかたらく しましくは われはきなむと しましくは
いえにかへりきて ちちははに ことものらひ あすのごと
われはきなむと いひければ いもがいへらく とこのへに
またかへりきて いまのごと あはむとならば このくしげ
ひらくなゆめと そこらくに かためしことを すみのえに
かへりきたりて いえみれば いへもみかねて さとみれど
さともみかねて あやしむと そこにおもはく いえゆいでて
みとせのほどに かきもなく いえうせめやと このはこを
ひらきてみれば もとのごと いへはあらむと たまくしげ
すこしひらくに しらくもの はこよりいでて とこよへに
たなきびきぬれば たちはしり さけにそでふり こいまろび
あしずりしつつ たちまちに こころけうせぬ わかかりし
はだもしわみぬ くろかりし かみもしらけぬ ゆなゆなは
いきさへたえて のちつひに いのちしらける いのちしらける
みずのえの うらしまのこが いへどころみに
巻9-1740 高橋虫麻呂
釣船のとらをふ見れば 古の 事そ思ほゆる
水江の 浦島の子が 堅魚釣り 鯛釣りほこりを
七日まで 家にも来ずて 海界を 過ぎて行くに
海若の 神の女に たまさかに い漕ぎ向かひ
相誂ひ こと成りしかば かき結び 常世に至り
海若の 神の宮の 内の重の 妙なる殿に 携はり
二人入り居て 老いもせず 死にもせずして 永き世に
ありけるものを 世の中の 愚人の 吾妹子に 告げて語らく
須しくは 家に帰りて 父母に 事も告らひ 明日のごと
われは来なむと 言ひければ 妹がいへらく 常世辺に
また帰り来て 今のごと 逢はむとならば このくしげ
開くなゆめと そこらくに 堅めし言を 墨吉に
還り来りて 家見れど 里を見かねて あやしみと
そこに思はく 家ゆ出でて 三歳の間に 垣も泣く
家滅せめやと この箱を 開きてみれば もとの如
家はあらむと 玉くしげ 少し開くと 白雲の
箱より出でて 常世辺に 棚引きぬれば 立ち走り
叫び袖降り 反則び 足ずりしつつ たちまちに
情消失せるぬ 若かりし 膚も皺みぬ 黒かりし
髪も白けぬ ゆなゆなは 気さへ絶えて 後つひに
命死にける 水江の 浦島の子が 家地見ゆ
★ はるのひの かすめるときに すみのえの きしにいでいて
つりふねの とをらふみれば いにしへの ことそおもほゆる
みづのえの うなさかを すぎてこぎゆくに わたつみの
かみのをとめに ことなりしかば かきむすび たづさはり
ふたりいりいて おいもせず しにもせずして ながきよに
ありけるものを よのなかの おろかひとの わぎもこに
つれてかたらく しましくは われはきなむと しましくは
いえにかへりきて ちちははに ことものらひ あすのごと
われはきなむと いひければ いもがいへらく とこのへに
またかへりきて いまのごと あはむとならば このくしげ
ひらくなゆめと そこらくに かためしことを すみのえに
かへりきたりて いえみれば いへもみかねて さとみれど
さともみかねて あやしむと そこにおもはく いえゆいでて
みとせのほどに かきもなく いえうせめやと このはこを
ひらきてみれば もとのごと いへはあらむと たまくしげ
すこしひらくに しらくもの はこよりいでて とこよへに
たなきびきぬれば たちはしり さけにそでふり こいまろび
あしずりしつつ たちまちに こころけうせぬ わかかりし
はだもしわみぬ くろかりし かみもしらけぬ ゆなゆなは
いきさへたえて のちつひに いのちしらける いのちしらける
みずのえの うらしまのこが いへどころみに
巻9-1740 高橋虫麻呂
★ しなが鳥 安房に継ぎたる 梓弓 周准の珠名は
胸分けの 広き我妹 腰頬の すがる娘子の
その姿の 端正しきに 花の如 笑みて立てれば
玉ほこの 道行く人は 己が行く 道は行かずて
召ばなくに 門に至る さし並ぶ 隣の君は あらかじめ
己妻離れて 乞はなくに 鍵さへ奉る 人並みの
かく迷へれば 容艶に よりてそ妹は たはれありける
★ しながどり あはにつぎたる あづさゆみ すえのたまなは
むなわけの ひろきわぎも こしぼその すがるをとめの
そのすがたの きらきらしたきに はなのごと えみてたてれば
たまほこの みちいくみちは おのがいくみちは みちはいかずて
よばさくに かどにいたりぬ さしならぶ となりのきみは
あらかじめ おのづまかれて こはなくに かぎさへまつる
ひとみなの かくまとへれば かほよきに よりてそいもは
たはれてありける
★ しなが鳥の安房につづく、梓弓の末ー周准の珠名は
胸の広い女で、腰の細いスガル蜂のような少女であった
その姿の美しいままに花のように笑ってたつと玉ほこの道を
行く道は行かずに呼ぶもしないのに珠名の名門にやって来た
家つづきの隣のあるじは 前も持って妻と別れて 頼みもしないのに
家の鍵をまで珠名にたてまつるほどであった。人とがみんな、こんなに
心を迷わしたのは、美貌に珠名は うつつをぬかしていたことよ
巻9-1740 高橋虫麻呂
胸分けの 広き我妹 腰頬の すがる娘子の
その姿の 端正しきに 花の如 笑みて立てれば
玉ほこの 道行く人は 己が行く 道は行かずて
召ばなくに 門に至る さし並ぶ 隣の君は あらかじめ
己妻離れて 乞はなくに 鍵さへ奉る 人並みの
かく迷へれば 容艶に よりてそ妹は たはれありける
★ しながどり あはにつぎたる あづさゆみ すえのたまなは
むなわけの ひろきわぎも こしぼその すがるをとめの
そのすがたの きらきらしたきに はなのごと えみてたてれば
たまほこの みちいくみちは おのがいくみちは みちはいかずて
よばさくに かどにいたりぬ さしならぶ となりのきみは
あらかじめ おのづまかれて こはなくに かぎさへまつる
ひとみなの かくまとへれば かほよきに よりてそいもは
たはれてありける
★ しなが鳥の安房につづく、梓弓の末ー周准の珠名は
胸の広い女で、腰の細いスガル蜂のような少女であった
その姿の美しいままに花のように笑ってたつと玉ほこの道を
行く道は行かずに呼ぶもしないのに珠名の名門にやって来た
家つづきの隣のあるじは 前も持って妻と別れて 頼みもしないのに
家の鍵をまで珠名にたてまつるほどであった。人とがみんな、こんなに
心を迷わしたのは、美貌に珠名は うつつをぬかしていたことよ
巻9-1740 高橋虫麻呂