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★ 飛鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 石橋渡し 下つ瀬に 打橋渡す 石橋に 生ひ靡ける
玉藻もぞ 絶ゆれば生ふる 打橋に 生ひををれる 川藻もぞ 枯るればはゆる 何しかも
わご大君の 立たせば 玉藻のもころ 臥せば 川藻の如く 靡かひし 宜しき君が 朝宮を
忘れ給ふや 夕宮を 背き給ふや うつそみと 思ひし時 春べは 花折りかざし 秋立てば
黄葉かざし 敷栲の 袖たづさはり 鏡なす 見れども飽かず 望月の いや愛づらしみ
思ほしし 君と時々 幸して 遊び給ひし 御食向ふ 城上の宮を 常宮と 定め給ひて
あぢさはふ 目言も絶えぬ 然れかも あやに悲しみ ぬえ鳥の 片恋嬬 朝鳥の
通はす君が 夏草の 思ひ萎えて 夕星の か行きかく行き 大船の たゆたふ見れば
慰もる 情もあらず そこ故に せむすべ知れや 音のみも 名のみも絶えず 天地の
いや遠長く 思ひ行かむ み名に懸かせる 明日香河 万代までに 愛しきやし
わご大君の 形見かここを
★ とぶとりの あすかのかわの かみつせに いははしわたし しもつせに うちはしわたす
いははしに おひなびける たまももぞ たゆればおふる うちはしに おひををれる
かわももぞ かるればはゆる なにしかも わごおおきみの たたせば たまものもころ
こやせば かわものごとく なびかひし よろしききみが あさみやを わすれたまふや
ゆふみやを そむきたまふや うつそみと おもひしとき はるべは はなおりかざし
あきたてば もみぢばかざし しきたへの そでたづさはり かがみなす みれどもあかず
もちづきの いやめづらしみ おもほしし きみとときどき いでまして あそびたまひし
みけむかふ きのへのみやを とこみやと さだめたまひて あぢさはふ めこともたえぬ
しかれかも あやにかなしみ ぬえとりの かたこいづま あさとりの とおはすきみが
なつくさの おもひしなえて ゆふつつの かいきかくいき おおふねの たゆたふみれば
まぐさもる こころもあらず そこゆえに せむすべしれや おとのみも なのみもたえず
あめつちの いやとほながく しのひいかむ みなにかかせる あすかがは よろづよまでに
はしきやし わごおおきみの かたみかここを
★ 飛ぶ鳥の明日香河の、川上には石の橋を作り、川下には木を渡して橋をかける。
石の橋に生えて靡く美しい藻は、無くなればまた、生える。
木の橋に豊かに生える川藻も、枯れたら、また、生える。
なのに、わが皇女は お立ちになると、美しい藻のよう、身を横たええると川藻のように、
靡いてむつみ合った夫君の朝の宮をお忘れになったのだろうか・・・・・夕べの宮をお去りに
なるのだろうか・・・この世の人として 思っていたときは、春には花を折りかざし、秋になると
黄葉をかざして 重なり合った美しい衣の袖をたずさえて、鏡のように見飽くことなく、
満月のように、ますます慕わしくお思いになっていた夫君とともに、時々お出でになり、
遊ばれた御食を捧げる城の上の宮を、永遠の宮殿とお決めになり、目で見ることも
口で言う事も無くなってしまった。だからでしょうか・・・・いいようもなく悲しみ、ぬえ鳥のように
片恋する夫君・・・朝鳥のように、お通いになる皇子が、夏の草のように悲しみにしおれ、
夜の星が移り行き、大船が揺れるように動揺して不安定になっておられるのを見ると
お慰めする心も失われてゆく・・・どうしたらよいのだろうか・・・・今は、皇女の噂だけでも、
御名だけでも、いつまでも、天地とともに、ずっとずっとお慕い申し上げて行くしかない。
お名前に関わる明日香河は、万年の後まで愛しい皇女の形見であろうか・・・この場所は・・・
巻2-196 柿本人麻呂
玉藻もぞ 絶ゆれば生ふる 打橋に 生ひををれる 川藻もぞ 枯るればはゆる 何しかも
わご大君の 立たせば 玉藻のもころ 臥せば 川藻の如く 靡かひし 宜しき君が 朝宮を
忘れ給ふや 夕宮を 背き給ふや うつそみと 思ひし時 春べは 花折りかざし 秋立てば
黄葉かざし 敷栲の 袖たづさはり 鏡なす 見れども飽かず 望月の いや愛づらしみ
思ほしし 君と時々 幸して 遊び給ひし 御食向ふ 城上の宮を 常宮と 定め給ひて
あぢさはふ 目言も絶えぬ 然れかも あやに悲しみ ぬえ鳥の 片恋嬬 朝鳥の
通はす君が 夏草の 思ひ萎えて 夕星の か行きかく行き 大船の たゆたふ見れば
慰もる 情もあらず そこ故に せむすべ知れや 音のみも 名のみも絶えず 天地の
いや遠長く 思ひ行かむ み名に懸かせる 明日香河 万代までに 愛しきやし
わご大君の 形見かここを
★ とぶとりの あすかのかわの かみつせに いははしわたし しもつせに うちはしわたす
いははしに おひなびける たまももぞ たゆればおふる うちはしに おひををれる
かわももぞ かるればはゆる なにしかも わごおおきみの たたせば たまものもころ
こやせば かわものごとく なびかひし よろしききみが あさみやを わすれたまふや
ゆふみやを そむきたまふや うつそみと おもひしとき はるべは はなおりかざし
あきたてば もみぢばかざし しきたへの そでたづさはり かがみなす みれどもあかず
もちづきの いやめづらしみ おもほしし きみとときどき いでまして あそびたまひし
みけむかふ きのへのみやを とこみやと さだめたまひて あぢさはふ めこともたえぬ
しかれかも あやにかなしみ ぬえとりの かたこいづま あさとりの とおはすきみが
なつくさの おもひしなえて ゆふつつの かいきかくいき おおふねの たゆたふみれば
まぐさもる こころもあらず そこゆえに せむすべしれや おとのみも なのみもたえず
あめつちの いやとほながく しのひいかむ みなにかかせる あすかがは よろづよまでに
はしきやし わごおおきみの かたみかここを
★ 飛ぶ鳥の明日香河の、川上には石の橋を作り、川下には木を渡して橋をかける。
石の橋に生えて靡く美しい藻は、無くなればまた、生える。
木の橋に豊かに生える川藻も、枯れたら、また、生える。
なのに、わが皇女は お立ちになると、美しい藻のよう、身を横たええると川藻のように、
靡いてむつみ合った夫君の朝の宮をお忘れになったのだろうか・・・・・夕べの宮をお去りに
なるのだろうか・・・この世の人として 思っていたときは、春には花を折りかざし、秋になると
黄葉をかざして 重なり合った美しい衣の袖をたずさえて、鏡のように見飽くことなく、
満月のように、ますます慕わしくお思いになっていた夫君とともに、時々お出でになり、
遊ばれた御食を捧げる城の上の宮を、永遠の宮殿とお決めになり、目で見ることも
口で言う事も無くなってしまった。だからでしょうか・・・・いいようもなく悲しみ、ぬえ鳥のように
片恋する夫君・・・朝鳥のように、お通いになる皇子が、夏の草のように悲しみにしおれ、
夜の星が移り行き、大船が揺れるように動揺して不安定になっておられるのを見ると
お慰めする心も失われてゆく・・・どうしたらよいのだろうか・・・・今は、皇女の噂だけでも、
御名だけでも、いつまでも、天地とともに、ずっとずっとお慕い申し上げて行くしかない。
お名前に関わる明日香河は、万年の後まで愛しい皇女の形見であろうか・・・この場所は・・・
巻2-196 柿本人麻呂
★ 飛鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 生ふる玉藻は 下つ瀬に 流れ触らばふ 玉藻なす
か寄りかく寄り 靡かひし 嬬の命の たたなづく 柔膚すらを 剣刀 身に副へ寐ねば
ぬばたまの 夜床も荒るらむ そこ故に 慰めかねて けだしくも 逢ふやと思ひて
玉垂の 越智の大野の 朝露に 玉裳はひづち 夕霧に 衣は沾れて 草枕 旅宿かもする
逢はぬ君ゆゑ
★ とぶとりの あすかのかわの かみつせに おふるたまもは しもつせに ながれふらばふ
たまもなす かよりかくより なびかひし つまのみことの たたなづく にきはだすらを
つるぎたち みにそへねねば ぬばたまの よどこもあるらむ そこゆえに なぐさめかねて
けだしくも あふやとおもひて たまだれの おちのおおのの あさつゆに たまもはひづち
ゆふぎりに ころもはぬれて くさまくら たびねかもする あはぬきみゆゑ
★ 飛ぶ鳥の明日香川の川上に、生えている美しい藻は川下に流れて、触れ合う・・・・・
その美しい藻のように様々に寄り添い靡きあった夫であるあなたは、
重ねあった柔らかな肌でさえ、剣や太刀のように、身にそえて寝ていないので、漆黒の
闇の夜は、寝床も荒れていることでしょう・・・そう思うと、私の心は慰めかねて、
きっとお会いできるだろうと思って、玉を垂らす糸の緒の越智の大野の、朝の露に
美しい裳裾は濡れて、草を枕の旅のやどりをすることです・・・・
もう生きては逢えないあなたゆゑに・・・・
巻2-194 柿本人麻呂
柿本人麻呂が、川島皇子薨時(お亡くなりになられた)に、川島妃である泊瀬部皇女
(はつせべのひめみこ)に奉る忍坂部皇子(おさかべのみこ)の歌を、
人麻呂が代作したもの・・と、言われています。和歌の主体は川島妃です。
ややこしぃ~
か寄りかく寄り 靡かひし 嬬の命の たたなづく 柔膚すらを 剣刀 身に副へ寐ねば
ぬばたまの 夜床も荒るらむ そこ故に 慰めかねて けだしくも 逢ふやと思ひて
玉垂の 越智の大野の 朝露に 玉裳はひづち 夕霧に 衣は沾れて 草枕 旅宿かもする
逢はぬ君ゆゑ
★ とぶとりの あすかのかわの かみつせに おふるたまもは しもつせに ながれふらばふ
たまもなす かよりかくより なびかひし つまのみことの たたなづく にきはだすらを
つるぎたち みにそへねねば ぬばたまの よどこもあるらむ そこゆえに なぐさめかねて
けだしくも あふやとおもひて たまだれの おちのおおのの あさつゆに たまもはひづち
ゆふぎりに ころもはぬれて くさまくら たびねかもする あはぬきみゆゑ
★ 飛ぶ鳥の明日香川の川上に、生えている美しい藻は川下に流れて、触れ合う・・・・・
その美しい藻のように様々に寄り添い靡きあった夫であるあなたは、
重ねあった柔らかな肌でさえ、剣や太刀のように、身にそえて寝ていないので、漆黒の
闇の夜は、寝床も荒れていることでしょう・・・そう思うと、私の心は慰めかねて、
きっとお会いできるだろうと思って、玉を垂らす糸の緒の越智の大野の、朝の露に
美しい裳裾は濡れて、草を枕の旅のやどりをすることです・・・・
もう生きては逢えないあなたゆゑに・・・・
巻2-194 柿本人麻呂
柿本人麻呂が、川島皇子薨時(お亡くなりになられた)に、川島妃である泊瀬部皇女
(はつせべのひめみこ)に奉る忍坂部皇子(おさかべのみこ)の歌を、
人麻呂が代作したもの・・と、言われています。和歌の主体は川島妃です。
ややこしぃ~