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★ かけまくも ゆゆしきかも 言はまくも あやに畏き 明日香の 真神が原に ひさかたの
天つ御門を かしこくも 定めたまひて 神さぶと 磐隠ります やすみしし わご大君の
きこしめす 背面の国の 真木立つ 不破山越えて 高麗剣 和?が原の 行宮に
天降り座して 天の下 治め給ひ 食す国を 定めたまふと 鶏が鳴く 吾妻の国の
御軍士を 召し給ひて ちはやぶる 人を和せと 服従はぬ 国を治めと 皇子ながら
任し給へば 大御身に 大刀取り佩かし 大御手に 弓取り持たし 御軍士を あどもひたまひ
斉ふる 鼓の音は 雷の 声と聞くまで 吹き響せる 小角の音も 敵見たる 虎か吼ゆると
諸人の おびゆるまでに 捧げたる 幡の靡きは 冬ごもり 春さり来れば 野ごとに
着きてある火の 風の共 靡くがごとく 取り持てる 弓弭の騒 み雪降る 冬の林に
飃風かも い巻き渡ると 思ふまで 聞きの恐く 引き放つ 矢の繁けく 大雪の 乱れ来たれ
服従はず 立ち向かひしも 露霜の 消なば消ぬべく 行く鳥の あらそふ間に 渡会の
斎の宮ゆ 神風に い吹き惑はし 天雲を 日の目も見せず 常闇に 覆ひ給ひて
定めてし 瑞穂の国を 神ながら 太敷きまして やすみしし わご大君の 天の下
申し給へば 万代に 然しもあらむと 木綿花の 栄ゆる時に わご大君 皇子の御門を
神宮に 装ひまつりて 使はしし 御門の人も 白栲の 麻衣着 埴安の 御門の原に
茜さす 日のことごと 鹿じもの い葡ひ伏しつつ ぬばたまの 夕になれば 大殿を
ふり放け見つつ 鶉なす い匍ひもとほり 侍へど 侍ひ得ねば 春鳥の さまよひぬれば
嘆きも いまだ過ぎぬに 憶ひも いまだ尽きねば 言さへく 百済の原ゆ 神葬り
葬りいませて 麻裳よし 城上の宮を 常宮と 高くしまつりて 神ながら 鎮まりましぬ
然れども わご大君の 万代と 思ほしめして 作らしし 香具山の宮 万代に
過ぎむと思へや 天の如 ふり放け見つつ 玉襷 かけて偲はむ 恐くありとも
巻2-199 柿本人麻呂
天つ御門を かしこくも 定めたまひて 神さぶと 磐隠ります やすみしし わご大君の
きこしめす 背面の国の 真木立つ 不破山越えて 高麗剣 和?が原の 行宮に
天降り座して 天の下 治め給ひ 食す国を 定めたまふと 鶏が鳴く 吾妻の国の
御軍士を 召し給ひて ちはやぶる 人を和せと 服従はぬ 国を治めと 皇子ながら
任し給へば 大御身に 大刀取り佩かし 大御手に 弓取り持たし 御軍士を あどもひたまひ
斉ふる 鼓の音は 雷の 声と聞くまで 吹き響せる 小角の音も 敵見たる 虎か吼ゆると
諸人の おびゆるまでに 捧げたる 幡の靡きは 冬ごもり 春さり来れば 野ごとに
着きてある火の 風の共 靡くがごとく 取り持てる 弓弭の騒 み雪降る 冬の林に
飃風かも い巻き渡ると 思ふまで 聞きの恐く 引き放つ 矢の繁けく 大雪の 乱れ来たれ
服従はず 立ち向かひしも 露霜の 消なば消ぬべく 行く鳥の あらそふ間に 渡会の
斎の宮ゆ 神風に い吹き惑はし 天雲を 日の目も見せず 常闇に 覆ひ給ひて
定めてし 瑞穂の国を 神ながら 太敷きまして やすみしし わご大君の 天の下
申し給へば 万代に 然しもあらむと 木綿花の 栄ゆる時に わご大君 皇子の御門を
神宮に 装ひまつりて 使はしし 御門の人も 白栲の 麻衣着 埴安の 御門の原に
茜さす 日のことごと 鹿じもの い葡ひ伏しつつ ぬばたまの 夕になれば 大殿を
ふり放け見つつ 鶉なす い匍ひもとほり 侍へど 侍ひ得ねば 春鳥の さまよひぬれば
嘆きも いまだ過ぎぬに 憶ひも いまだ尽きねば 言さへく 百済の原ゆ 神葬り
葬りいませて 麻裳よし 城上の宮を 常宮と 高くしまつりて 神ながら 鎮まりましぬ
然れども わご大君の 万代と 思ほしめして 作らしし 香具山の宮 万代に
過ぎむと思へや 天の如 ふり放け見つつ 玉襷 かけて偲はむ 恐くありとも
巻2-199 柿本人麻呂
★ かけまくも ゆゆしきかも いはまくも あやにかしこき あすかの まがみがはらに
ひさかたの あまつみかどを かしこくも さだめたまひて かみさぶと いはがくります
やすみしし わごおおきみの きこしめす そとものくにの まきたつ ふはやまこえて
こまつるぎ わざみがはらの かりみやに あもりいまして あめのした をさめたまひ
をすくにを さだめたまふと とりがなく あづまのくにの みいくさを めしたまひて
ちはやぶる ひとをやはせと まつろはぬ くにをおさめと みこながら よさしたまへば
おほみみに たちとりはかし おほみてに ゆみとりもたし みいくさを あどもひたまひ
ととのふる つづみのおとは いかづちの おとときくまで ふきなせる くだのおとも
あたみたる とらかほゆると もろひとの おびゆるまでに ささげたる はたのなびきは
ふゆごもり はるさりくれば のごとに つきてあるひの かぜのむた なびくがごとく
とりもてる ゆはずのさわき みゆきふる ふゆのはやしに つむじかぜかも
いまきわたると おもふまで ききのかしこく ひきはなつ やのしげけく おおゆきの
みだれてきたれ まつろはず たちむかひしも つゆしもの けなばけぬべく
いくとりの あらそふはしに わたらひの いつきのみやゆ かむかぜに いふきまどはし
あまくもを ひのめもみせず とこみやに おほひたまひて さだめてし みづほのくにを
かむながら ふとしきまして やすみしし わごおほきみの あめのした まをしたまへば
よろづよに しかしもあらむと ゆふはなの さかゆるときに わごおおきみ みこのみかどを
かむみやに よそひまつりて つかはしし みかどのひとも しろたへの あさごろもき
はにやすの みかどのはらに あかねさす ひのことごと ししじもの いはひふしつつ
ぬばたまの ゆふへになれば おおどのを ふりさけみつつ うづらなす いはひもとほり
さもらへど さもらひえねば はるとりの さまよひぬれば なげきも いまだすぎぬに
おもひも いまだつきねば ことさへく くだらのはらゆ かむほふり ほふりいませて
あさもよし きのへのみやを とこみやと たかくしまつりて かみながら しづまりましぬ
しかれども わごおおきみの よろづよと おもほしめして つくらしし かぐやまのみや
よろづよに すぎむとおもへや あめのごと ふりさけみつつ たまだすき かけてしのはむ
かしこくありとも
巻2-199 柿本人麻呂
★ 口に出すのも、はばかられ、言葉に出して言うのもまことに、畏れおおいことですが、
明日香の真神の原に悠久の天の朝廷を尊くもお定めになり、神として岩戸にお隠れの
天武天皇、あまねく国土をお治めになったわが大君が、お治めになる北の方の国、美濃を
山深い不破山を越えて、高麗の剣の和?が原の行宮に、神々しくもお出ましになり、天下を
お治めになり、領国をお定めなると、鶏の鳴く東の国の群集をお召しになり、荒ぶる人々を
和ませて、従わない国々を治めなさいと、高市皇子に日の皇子として、命令なさると、皇子は
お体に建ちをお付けになり、御手に弓を取り持たれて、群集を率いる。
隊を整える鼓の音は雷鳴かと思われるほどで、吹き響かせる小角の音も敵を見た虎が
吼えるのかと人々が、おびえるほどで、高く掲げた旗の靡く事は、冬も終わって春が来て、
野焼きの火が、風と共に靡くように、兵士が手に取って持った弓の弭(弓の端)が動く事は、
み雪降る冬の林につむじ風が吹き巻き渡るかと思うほど、聞いていて恐ろしく、引き放つ矢が
激しく大雪の乱れ来るように飛んでくると、従わずに立ち向かって来た者は、
露や霜が消えるのなら消えるが如く、飛び去る鳥が右往左往している間に渡会の神の宮から
吹く神風によって、敵軍をを吹き迷わせ、天の雲を、太陽の光も見せぬまで、真っ暗に
めぐらして、敵軍を平定なされた。そして、隅々まで統治なさるわが大君が、このみのり豊かな
国に、神として君臨され、政治をお助けになったら、万年の後まで、このようであろうと、
木綿の花のように栄えている時だったのに、今、わが大君、皇子の御殿を、神の宮のとして
お飾り申し、お使いになった御殿の人々も、白布の麻の喪服をつけ、埴安の御殿の原に
茜色さす日は、ひねもす鹿のようにはらばい伏しつづけ、ぬばたまの黒々とした夜は
御殿を遠く見ながら、鵜面のようにはいまわっては、お仕えすることだ。だが、いつまでも
お仕えすることができないので、春鳥の声のように、あちこち行き来してしまう。
そこで、嘆きも新たになり、お慕いする心も失っていないので言も通わぬ百済の原を通って
、神々しくも葬り申し上げ、麻の裳もよい妃という城上の宮を永遠の宮として高々とお作り
申し上げて、皇子は神のまま鎮まりなさった。それにしても、わが大君が万年の後までもと
お考えになられて作られた香具山の宮は幾年の後までも、なくなることなど考えられようか
大空を仰ぐように望み見つつ、玉の襷をかけるように心にかけてお慕いもうしあげよう・・・
畏れ多い事ですが・・・・
巻2-199 柿本人麻呂
ひさかたの あまつみかどを かしこくも さだめたまひて かみさぶと いはがくります
やすみしし わごおおきみの きこしめす そとものくにの まきたつ ふはやまこえて
こまつるぎ わざみがはらの かりみやに あもりいまして あめのした をさめたまひ
をすくにを さだめたまふと とりがなく あづまのくにの みいくさを めしたまひて
ちはやぶる ひとをやはせと まつろはぬ くにをおさめと みこながら よさしたまへば
おほみみに たちとりはかし おほみてに ゆみとりもたし みいくさを あどもひたまひ
ととのふる つづみのおとは いかづちの おとときくまで ふきなせる くだのおとも
あたみたる とらかほゆると もろひとの おびゆるまでに ささげたる はたのなびきは
ふゆごもり はるさりくれば のごとに つきてあるひの かぜのむた なびくがごとく
とりもてる ゆはずのさわき みゆきふる ふゆのはやしに つむじかぜかも
いまきわたると おもふまで ききのかしこく ひきはなつ やのしげけく おおゆきの
みだれてきたれ まつろはず たちむかひしも つゆしもの けなばけぬべく
いくとりの あらそふはしに わたらひの いつきのみやゆ かむかぜに いふきまどはし
あまくもを ひのめもみせず とこみやに おほひたまひて さだめてし みづほのくにを
かむながら ふとしきまして やすみしし わごおほきみの あめのした まをしたまへば
よろづよに しかしもあらむと ゆふはなの さかゆるときに わごおおきみ みこのみかどを
かむみやに よそひまつりて つかはしし みかどのひとも しろたへの あさごろもき
はにやすの みかどのはらに あかねさす ひのことごと ししじもの いはひふしつつ
ぬばたまの ゆふへになれば おおどのを ふりさけみつつ うづらなす いはひもとほり
さもらへど さもらひえねば はるとりの さまよひぬれば なげきも いまだすぎぬに
おもひも いまだつきねば ことさへく くだらのはらゆ かむほふり ほふりいませて
あさもよし きのへのみやを とこみやと たかくしまつりて かみながら しづまりましぬ
しかれども わごおおきみの よろづよと おもほしめして つくらしし かぐやまのみや
よろづよに すぎむとおもへや あめのごと ふりさけみつつ たまだすき かけてしのはむ
かしこくありとも
巻2-199 柿本人麻呂
★ 口に出すのも、はばかられ、言葉に出して言うのもまことに、畏れおおいことですが、
明日香の真神の原に悠久の天の朝廷を尊くもお定めになり、神として岩戸にお隠れの
天武天皇、あまねく国土をお治めになったわが大君が、お治めになる北の方の国、美濃を
山深い不破山を越えて、高麗の剣の和?が原の行宮に、神々しくもお出ましになり、天下を
お治めになり、領国をお定めなると、鶏の鳴く東の国の群集をお召しになり、荒ぶる人々を
和ませて、従わない国々を治めなさいと、高市皇子に日の皇子として、命令なさると、皇子は
お体に建ちをお付けになり、御手に弓を取り持たれて、群集を率いる。
隊を整える鼓の音は雷鳴かと思われるほどで、吹き響かせる小角の音も敵を見た虎が
吼えるのかと人々が、おびえるほどで、高く掲げた旗の靡く事は、冬も終わって春が来て、
野焼きの火が、風と共に靡くように、兵士が手に取って持った弓の弭(弓の端)が動く事は、
み雪降る冬の林につむじ風が吹き巻き渡るかと思うほど、聞いていて恐ろしく、引き放つ矢が
激しく大雪の乱れ来るように飛んでくると、従わずに立ち向かって来た者は、
露や霜が消えるのなら消えるが如く、飛び去る鳥が右往左往している間に渡会の神の宮から
吹く神風によって、敵軍をを吹き迷わせ、天の雲を、太陽の光も見せぬまで、真っ暗に
めぐらして、敵軍を平定なされた。そして、隅々まで統治なさるわが大君が、このみのり豊かな
国に、神として君臨され、政治をお助けになったら、万年の後まで、このようであろうと、
木綿の花のように栄えている時だったのに、今、わが大君、皇子の御殿を、神の宮のとして
お飾り申し、お使いになった御殿の人々も、白布の麻の喪服をつけ、埴安の御殿の原に
茜色さす日は、ひねもす鹿のようにはらばい伏しつづけ、ぬばたまの黒々とした夜は
御殿を遠く見ながら、鵜面のようにはいまわっては、お仕えすることだ。だが、いつまでも
お仕えすることができないので、春鳥の声のように、あちこち行き来してしまう。
そこで、嘆きも新たになり、お慕いする心も失っていないので言も通わぬ百済の原を通って
、神々しくも葬り申し上げ、麻の裳もよい妃という城上の宮を永遠の宮として高々とお作り
申し上げて、皇子は神のまま鎮まりなさった。それにしても、わが大君が万年の後までもと
お考えになられて作られた香具山の宮は幾年の後までも、なくなることなど考えられようか
大空を仰ぐように望み見つつ、玉の襷をかけるように心にかけてお慕いもうしあげよう・・・
畏れ多い事ですが・・・・
巻2-199 柿本人麻呂