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★にきたつに ふなのりせむと つきまてば しおもかなひぬ いまはこぎいでな
額田王(ぬかたのおおきみ)
・熟田津から 船出をしようと 山の端から月が出てくるのを 今か今かと待っていた
いよいよ、潮もちょうど良い具合だ。さぁ、今こそ漕ぎ出だそう
意味だけ読んでしまうと何のことは無い感じですが、
私はこの句の字余りの最後の句「いまはこぎいでな」がとても好きです。
なんだか、胸がわくわくしてくるんです。
この和歌は前回書いた和歌の作者であるあの額田王です。
大海人皇子(おおあまのみこ)の奥さんになって、十市皇女(とおちのひめみこ)を生みました。
あの薬狩りのときに
★あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖ふる
を、詠った方です。
前夫(大海人皇子)に送ったあの大胆な歌からも、額田王の女としての器を感じます。
だから、これは多分舟遊びのようなものではないと思います。
だって、月あかりを待って海に出るなんて、余程の事だと思います。
そういう緊張感がこの歌には感じられます。
そして、最後の「な」というたった一つの字余りの音が、
この句に凄く生き生きとした緊張感を与えているように思います。
声に出して、読んでみてください
☆にきたつに ふなのりせむと つきまてば しおもかなひぬ いまはこぎいでな
ねっ、なんだか、今からいくさにでも行くような血沸き立つ感じでしょ!