×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
PR
★ もだをりて さかしらするは さけのみて ゑひなきするに なほしかずけり
★ 黙って賢そうにみせるよりも 酒を飲んで、酔っ払い泣くことにはやはり及ばない事です
巻3-350 大伴旅人
旅人は、60歳を過ぎて、九州の大宰府に左遷されました。生まれ育った奈良の都を離れて、
遠く九州に島流しされような気持ちだった事でしょう・・・・現在でも60歳を過ぎての引越しは
大変な事です。九州は博多の地に(その当時は筑紫)なじむことなく、帰京されたのなら、博多
出身の私としては、淋しい事ですが、大宰府に来て翌年、大切な妻を亡くし、その淋しさは
あまりあります。お酒を飲んで、酔っ払い、男泣きに泣いた事も、一度や二度ではないでしょう・・
黙して語らず・・・などと格好つけたところで、たとえようのない寂寥感は、無くならないことを
身をもって知っていたのでしょうね・・・・旅人は万葉集の最終的な編纂者である、大伴家持の
父でも有ります。万葉集には、旅人の歌は、56首ほど・・・その中でたった3年間赴任した
大宰府で詠まれた歌が39首・・・楽しさより淋しさが人に歌を詠ませるものなのでしょうね・・・
第6首>
★ なかなかに 人とあらずは 酒壺に なりにてしかも 酒に染みなむ
★ なかなかに ひととあらずは さかつぼに なりにてしかも さけにしみなむ
★ 中途半端に人でいるよりは、酒壺になって、酒に染みたいものです
巻3-343
呉の鄭泉(ていせん)が死ぬ時に、自分の遺体が、土と化して酒壺の土として使われ、酒壺にな
れるように、陶家の横に遺体を埋めてくれと遺言したという・・・・呉志の故事によります。
人となる事の難しさを痛感しているこの歌・・・・・酒壺であれば、色々悩まずとも、酒が
自然に染み渡っていくであろうに・・・・という思いでしょうか?
今も昔も人として生きることは悩み多きことなのですね・・・・