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★白雲の 龍田の山の 露霜に 色づく時に うち越えて 旅行く君は
五百重山 い行きさくみ 敵守る 筑紫に至り 山のそき 野のそき見よと
伴の部を 班ち遣はし 山彦の 応へむ極み 谷ぐくの さ渡る極み
国形を 見したまひて 冬こもり 春さり行けば 飛ぶ鳥の 早く来まさね
龍田路の 岡辺の道に 丹つつじの にほはむ時の 桜花 咲きなむ時に
山たづの 迎へ参出む 君が来まさば
★しらくもの たつたのやまの つゆしもに いろづくときに うちこえて
たびゆくきみは いほへやま いゆきさくみ あたまもる つくしにいたり
やまのそき ののそきみよと とものべを あかちつかはし やまびこの
こたへむきはみ たにぐくの さわたるきはみ くにかたを めしたまひて
ふゆこもり はるさりゆけば とぶとりの はやくきまさね たつたぢの
をかへのみちに につつじの にほはむときの さくらばな さきなむときに
やまたづの むかへまゐでむ きみがきまさば
★ 白雲の沸く龍田の山が、秋の露や霜で一面に、黄葉するときに、山を越えて
旅行くあなたは、幾重もの山を、かき分けて進み、敵が守る筑紫に到着し
山を見渡し、野を見渡し、配下のものをあちこちに、遣わして、山霊(やま
びこ)の応える限り、谷のひきがえるの渡り行く限り、国土もさまを、ご覧
になって、ものみな籠る冬も終わり、春になったならば、飛ぶ鳥が早く来な
いか・・・龍田の道の岡辺の道に、赤いつつじが匂うとき、桜の花が 咲く
時に、山たづのようにお迎えに参りましょう。あなたがいらしたならば・・・
巻6-971 高橋連虫麻呂