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★ 真葛延ふ 春日の山は うち靡く 春さり行くと 山の上に
霞たなびき 高円に 鶯鳴きぬ もののふの 八十伴の男は
雁がねの 来継ぐこのころ かく継ぎて 常にありせば
友並めて 遊ばむものを 馬並めて 行かまし里を
待ちかてに 我がする春を かけまくも あやに畏く
言はまくも ゆゆしくあらむと あらかじめ かねて知りせば
千鳥鳴く その佐保川に 岩に生ふる 菅の根取りて しのふ草
祓へてましを 行く水に 禊ぎてましを 大君の 命畏み
ももしきの 大宮人の 玉桙の 道にも出でず 恋ふるこのころ
★ まくずはふ かすがのやまは うちなびく はるさりゆくと
やまのうへに かすみたなびき たかまとに うぐひすなきぬ
もののふの やそとものをは かりがねの きつぐこのころ
かくつぎて つねにありせば ともなめて あそばむものを
うまなめて ゆかましさとを まちかてに あがするはるを
かけまくも あやにかしこく いはまくも ゆゆしくあらむと
あらかじめ かねてしりせば ちどりなく そのさほがはに
いわにおふる すがのねとりて しのふくさ はらへてましを
ゆくみずに みそぎてましを おほきみの みことかしこみ
ももしきの おおみやひとの たまほこの みちにもいでず
こふるこのころ
★ 美しい葛の這い広がる春日の山は、ものみな生気に満ちる春が
やってくると、山の上には霞がたなびき、高円のあたりでは
鶯が鳴くようになった。氏々の多くの、延臣たちは、北に帰る
雁が次々とやって来ては、飛び去る姿の見える今日この頃、
そのように、ずっと続けて処罰を受けずにいられたのなら、
友と連れ立って遊ぶはずだったのに、馬を並べていくはずの里
だったのに、そうして、待ち遠しく私が思っていた春だったのに
口にするのも畏れ多い、言葉にするのも忌み憚られる事態になろう
と、前もって既に知っていたなら、千鳥の鳴くその佐保川で岩に
生える菅の根を取って、春に引かれる心の種を祓っておけば
よかったものを、流れ行く水で禊をしておけばよかったものを
大君のご命令を恐れ畏れて、ももしきの大宮人たちは、玉鉾の道に
出ることもなく、春を恋うている今日この頃です。
巻6-948 ??
★ 真葛延ふ 春日の山は うち靡く 春さり行くと 山の上に
霞たなびき 高円に 鶯鳴きぬ もののふの 八十伴の男は
雁がねの 来継ぐこのころ かく継ぎて 常にありせば
友並めて 遊ばむものを 馬並めて 行かまし里を
待ちかてに 我がする春を かけまくも あやに畏く
言はまくも ゆゆしくあらむと あらかじめ かねて知りせば
千鳥鳴く その佐保川に 岩に生ふる 菅の根取りて しのふ草
祓へてましを 行く水に 禊ぎてましを 大君の 命畏み
ももしきの 大宮人の 玉桙の 道にも出でず 恋ふるこのころ
★ まくずはふ かすがのやまは うちなびく はるさりゆくと
やまのうへに かすみたなびき たかまとに うぐひすなきぬ
もののふの やそとものをは かりがねの きつぐこのころ
かくつぎて つねにありせば ともなめて あそばむものを
うまなめて ゆかましさとを まちかてに あがするはるを
かけまくも あやにかしこく いはまくも ゆゆしくあらむと
あらかじめ かねてしりせば ちどりなく そのさほがはに
いわにおふる すがのねとりて しのふくさ はらへてましを
ゆくみずに みそぎてましを おほきみの みことかしこみ
ももしきの おおみやひとの たまほこの みちにもいでず
こふるこのころ
★ 美しい葛の這い広がる春日の山は、ものみな生気に満ちる春が
やってくると、山の上には霞がたなびき、高円のあたりでは
鶯が鳴くようになった。氏々の多くの、延臣たちは、北に帰る
雁が次々とやって来ては、飛び去る姿の見える今日この頃、
そのように、ずっと続けて処罰を受けずにいられたのなら、
友と連れ立って遊ぶはずだったのに、馬を並べていくはずの里
だったのに、そうして、待ち遠しく私が思っていた春だったのに
口にするのも畏れ多い、言葉にするのも忌み憚られる事態になろう
と、前もって既に知っていたなら、千鳥の鳴くその佐保川で岩に
生える菅の根を取って、春に引かれる心の種を祓っておけば
よかったものを、流れ行く水で禊をしておけばよかったものを
大君のご命令を恐れ畏れて、ももしきの大宮人たちは、玉鉾の道に
出ることもなく、春を恋うている今日この頃です。
巻6-948 ??