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藤岡さんに習い始めた初期のころ、ブライアン・アサワのCDを貸してくれました。
「僕、この人の歌をコンサートで聞いて、カウンターテナーになろうと思ったんだよ」と、言って・・・
次のレッスンの時、感想を求められたので、
「とても、上手くて、声も素敵ですね。低音部から高音部までなめらかで、完成度が高いとおもいます。でも、3曲目で飽きてしまったんです。」と、答えました。
「そうなんだよね。飽きちゃうんだよね。僕もそう思った」
飽きない・・・
これこそ、本物の定義のひとつであると私は思います。
ブライアン・アサワの歌声に飽きた藤岡宣男さんの歌声を、私は飽きることなく毎日のように聞いています。
何度聞いても飽きないから・・何度聞いても気持ちいいから・・
クラシック音楽に全く興味の無い私とは異人種のような私の娘も藤岡さんの歌は評価していました。
何故なのか・・・何故飽きないのか・・・・そこに、藤岡宣男の歌声の秘密の一つが隠されています。
歌い手の声がホールの一番後ろでどのように聞こえるのか確かめるために、
最後部の座席に座りました。
力むことの無くホールに満ちていく藤岡さんの昇り立つような美しい歌声・・・・・
この人、ただものじゃない。頭もかなりいいい。舞台マナーも素晴らしい。
日本にいるんだ、こんな凄い歌い手が・・・
私は興奮しました。
一人で聴きに来ていたので、休み時間にどうしてもこの感動を誰かに伝えたくなり、
ロビーに立っていた先程の和服姿の男の方に
「素晴らしいですね~びっくりしました」と、告げた。
「もし宜しければそこに感想とお名前と住所を書いていってください」
何かのちらしの裏を半分に切った紙が置かれていた。
感想と住所を書くと2部を聞くためにホールに入った
もうひとつ確かめたいことがあった。
以前、付いていた先生が、ドイツのフッスラーの唯一の日本の弟子と言われる木下先生に
習っていたのだが、それに近い発声の様な気がしたのだ。
確かめたくて今度は真ん中より少し前に座りじっくりと体の動きを観察した
やはり、そのような気がする(後に藤岡さんに聞いたらやはりそうだった)
言葉では言い表せない興奮を覚え会場を出ると、
先程の和服姿の方が
「もう少ししたら本人が出てきますから、感想を伝えていいですよ」と言ってくださった
追っかけの若い女の子に混じって隅のほうで待っていたら、やっと回りに人が殆ど居なくなった
たくさん話したいことがあった
まず、感動を伝えたかった
自分の音楽歴も話したかった
歌の話をしたかった・・・なのにあのホールはやたら時間に煩くて出て行ってくださいという
藤岡さんを前にして思わず私の口をついて出た自分でも吃驚した言葉は
「ボイストレーニングをしていただけないでしょうか?」
あの(心の唄)のライブCDのコンサートだった
帰りに携帯で友人に告げた
「私の歌の神様をみつけたよ」
私が、師匠である藤岡さんに出会ったのは、ヤマハの楽譜売り場のコンサートちらしの棚でした。
そのころ、酷いウツを患っていたので何故、横浜の楽譜売り場まで行けたのか、
またそのころのことは断片的にしか覚えていなせん。
派手なクラシックのチラシの中に、地味な藤岡さんのちらしがありました。
何故、コンサートに出向いたかと言うと、まず、
★下手でもカウンターテナーだったらソプラノと違って叫ばないからうるさくないだろうということ
★ちらしに記された演奏曲目が全て、私の好きな曲であったこと、
★写真がちょっとかっこよさそうだったこと、
★派手なちらしじゃないところに、逆に何か自信のようなものを感じたこと、などでした。
2002年2月19日(火)みなとみらい小ホール7時開演でした。
高校の音楽の非常勤をして合唱部の指導もしていたので、
開演ぎりぎりに、すべり込みでホールにかけこみました。
受付には和服姿の男性が微笑みを浮かべて立っていました。
「開演を5分遅らせていますから、そんなにあせらなくても大丈夫ですよ」と
その和服姿の方は言われました。いい人だなと、思いながら客席の一番後ろに座りました。
その出会いが私の人生を変えることになるとはその時の私は知りませんでした。