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★ 天照らす 神の御代より
安の川 中に隔てて
向かい立ち 袖振り交し
息の緒に 嘆かす子ら
渡守 船も設けず
橋だにも 渡してあらば
その上ゆも い行き渡らし
携はり うながけり居る
思ほしき 事も語らひ
慰むる 心はあらむを
何しかも 秋にしあらねば
言問の 乏し子ら
うつせみの 世の人われも
ここをしも あやに奇しも
ゆき変わる 毎年ごとに
天の原 振りさけ見つつ
言ひ継ぎにすれ
★あまてらす かみのみよより
やすのかわ むかひへだてて
むかひたち そでふりかへし
いきのをに なげかすこら
わたりもり ふねももうけず
はしだにも わたしてあらば
そのへゆも いゆきわたらし
たずさはり うながけりいて
おもほしき こともかたらひ
なぐさむる こころはあらむを
なにしかも あきにしあらねば
ことどひの ともしきこら
うつせみの よのひとあれも
ここをしも あやにくすしみ
ゆきかわる まいとしごとに
あまのはら ふさけみつつ
いひつぎすれ
★ 天照大御神の御世以来、安の川を中に
おいて 向きあい 袖振り交わして
命にかけて 溜息をついている者たちよ
渡守りは 船も用意せず 橋だけでも
渡してあるなら その上を通って渡って行き
手を取り合い 肩に手を取りあって
心を慰めることもあるだろうに
その橋もなく 何としたことか
秋ではないので 語り合うことも
少ない者たち 現世の人たる私も
そこをいぶかしんで めぐり来る年ごとに
天上を仰ぎ見つつ 語りつぐことよ
巻11-4125
安の川 中に隔てて
向かい立ち 袖振り交し
息の緒に 嘆かす子ら
渡守 船も設けず
橋だにも 渡してあらば
その上ゆも い行き渡らし
携はり うながけり居る
思ほしき 事も語らひ
慰むる 心はあらむを
何しかも 秋にしあらねば
言問の 乏し子ら
うつせみの 世の人われも
ここをしも あやに奇しも
ゆき変わる 毎年ごとに
天の原 振りさけ見つつ
言ひ継ぎにすれ
★あまてらす かみのみよより
やすのかわ むかひへだてて
むかひたち そでふりかへし
いきのをに なげかすこら
わたりもり ふねももうけず
はしだにも わたしてあらば
そのへゆも いゆきわたらし
たずさはり うながけりいて
おもほしき こともかたらひ
なぐさむる こころはあらむを
なにしかも あきにしあらねば
ことどひの ともしきこら
うつせみの よのひとあれも
ここをしも あやにくすしみ
ゆきかわる まいとしごとに
あまのはら ふさけみつつ
いひつぎすれ
★ 天照大御神の御世以来、安の川を中に
おいて 向きあい 袖振り交わして
命にかけて 溜息をついている者たちよ
渡守りは 船も用意せず 橋だけでも
渡してあるなら その上を通って渡って行き
手を取り合い 肩に手を取りあって
心を慰めることもあるだろうに
その橋もなく 何としたことか
秋ではないので 語り合うことも
少ない者たち 現世の人たる私も
そこをいぶかしんで めぐり来る年ごとに
天上を仰ぎ見つつ 語りつぐことよ
巻11-4125
★ 天皇の 敷きます国を
天の下 四方の国には
馬のつめ い尽くす極み
船のへの い泊まるまでに
古よ 今の現に万調
奉る国と 作りたる
その農の 雨降らず
日の重なれば 植ゑし田も
蒔きし畠も 蒔きし畠も
朝ごとに しぼみ枯れ行く
そを見れば 心を痛み
緑児の 乳乞ふが如く
天つ水 仰ぎてそ待つ
あしひきの 山をたをりに
この見ゆる 天の白雲
海神の 沖つ宮辺に
立ち渡り との曇り合ひて
雨も賜はね
★ すめろきの しきますくにの
あめのした よもくにには
いつくすきはみ ふなのへの
いはつるまでに いにしへよ
いまのうつつに よろづつき
まつるつかさと つくりたる
そのなりあわいを あめふらず
ひのかさなれば うえしはたも
まきしはたも あさごとに
しぼみかれゆく そをみれば
こころをいたみ みどりごの
ちこふがごとく あまつみず
あふぎてそまつ あしひきの
やまのたをりに このみゆる
あまのしらくも わたつみの
おきのみやへに たちわたり
とのぐもりあひて あめもたまはね
★天皇が治めておられる国の天下において、
四方への道では馬の蹄の至る果てまで
海上では港にとめる果てまで
昔から今までの最高の調物の最高の
物ものとして、耕作してきた、その農作物だのに
雨が降らないと日が重なると稲をを植えた田も
種子を蒔いた畠も 日一日としぼみ枯れてゆく
それを見ると赤子が乳を乞うように天なる水を
仰ぎ待つことだ。あしひきの山の窪みに見ゆる
白雲よ。海神の沖の宮殿あたりまで、立ち渡って
雲一面を曇らせて、雨を与えて欲しい。
大伴家持
蒔18-4122
天の下 四方の国には
馬のつめ い尽くす極み
船のへの い泊まるまでに
古よ 今の現に万調
奉る国と 作りたる
その農の 雨降らず
日の重なれば 植ゑし田も
蒔きし畠も 蒔きし畠も
朝ごとに しぼみ枯れ行く
そを見れば 心を痛み
緑児の 乳乞ふが如く
天つ水 仰ぎてそ待つ
あしひきの 山をたをりに
この見ゆる 天の白雲
海神の 沖つ宮辺に
立ち渡り との曇り合ひて
雨も賜はね
★ すめろきの しきますくにの
あめのした よもくにには
いつくすきはみ ふなのへの
いはつるまでに いにしへよ
いまのうつつに よろづつき
まつるつかさと つくりたる
そのなりあわいを あめふらず
ひのかさなれば うえしはたも
まきしはたも あさごとに
しぼみかれゆく そをみれば
こころをいたみ みどりごの
ちこふがごとく あまつみず
あふぎてそまつ あしひきの
やまのたをりに このみゆる
あまのしらくも わたつみの
おきのみやへに たちわたり
とのぐもりあひて あめもたまはね
★天皇が治めておられる国の天下において、
四方への道では馬の蹄の至る果てまで
海上では港にとめる果てまで
昔から今までの最高の調物の最高の
物ものとして、耕作してきた、その農作物だのに
雨が降らないと日が重なると稲をを植えた田も
種子を蒔いた畠も 日一日としぼみ枯れてゆく
それを見ると赤子が乳を乞うように天なる水を
仰ぎ待つことだ。あしひきの山の窪みに見ゆる
白雲よ。海神の沖の宮殿あたりまで、立ち渡って
雲一面を曇らせて、雨を与えて欲しい。
大伴家持
蒔18-4122