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★ 天皇の 敷きます国を
天の下 四方の国には
馬のつめ い尽くす極み
船のへの い泊まるまでに
古よ 今の現に万調
奉る国と 作りたる
その農の 雨降らず
日の重なれば 植ゑし田も
蒔きし畠も 蒔きし畠も
朝ごとに しぼみ枯れ行く
そを見れば 心を痛み
緑児の 乳乞ふが如く
天つ水 仰ぎてそ待つ
あしひきの 山をたをりに
この見ゆる 天の白雲
海神の 沖つ宮辺に
立ち渡り との曇り合ひて
雨も賜はね
★ すめろきの しきますくにの
あめのした よもくにには
いつくすきはみ ふなのへの
いはつるまでに いにしへよ
いまのうつつに よろづつき
まつるつかさと つくりたる
そのなりあわいを あめふらず
ひのかさなれば うえしはたも
まきしはたも あさごとに
しぼみかれゆく そをみれば
こころをいたみ みどりごの
ちこふがごとく あまつみず
あふぎてそまつ あしひきの
やまのたをりに このみゆる
あまのしらくも わたつみの
おきのみやへに たちわたり
とのぐもりあひて あめもたまはね
★天皇が治めておられる国の天下において、
四方への道では馬の蹄の至る果てまで
海上では港にとめる果てまで
昔から今までの最高の調物の最高の
物ものとして、耕作してきた、その農作物だのに
雨が降らないと日が重なると稲をを植えた田も
種子を蒔いた畠も 日一日としぼみ枯れてゆく
それを見ると赤子が乳を乞うように天なる水を
仰ぎ待つことだ。あしひきの山の窪みに見ゆる
白雲よ。海神の沖の宮殿あたりまで、立ち渡って
雲一面を曇らせて、雨を与えて欲しい。
大伴家持
蒔18-4122
天の下 四方の国には
馬のつめ い尽くす極み
船のへの い泊まるまでに
古よ 今の現に万調
奉る国と 作りたる
その農の 雨降らず
日の重なれば 植ゑし田も
蒔きし畠も 蒔きし畠も
朝ごとに しぼみ枯れ行く
そを見れば 心を痛み
緑児の 乳乞ふが如く
天つ水 仰ぎてそ待つ
あしひきの 山をたをりに
この見ゆる 天の白雲
海神の 沖つ宮辺に
立ち渡り との曇り合ひて
雨も賜はね
★ すめろきの しきますくにの
あめのした よもくにには
いつくすきはみ ふなのへの
いはつるまでに いにしへよ
いまのうつつに よろづつき
まつるつかさと つくりたる
そのなりあわいを あめふらず
ひのかさなれば うえしはたも
まきしはたも あさごとに
しぼみかれゆく そをみれば
こころをいたみ みどりごの
ちこふがごとく あまつみず
あふぎてそまつ あしひきの
やまのたをりに このみゆる
あまのしらくも わたつみの
おきのみやへに たちわたり
とのぐもりあひて あめもたまはね
★天皇が治めておられる国の天下において、
四方への道では馬の蹄の至る果てまで
海上では港にとめる果てまで
昔から今までの最高の調物の最高の
物ものとして、耕作してきた、その農作物だのに
雨が降らないと日が重なると稲をを植えた田も
種子を蒔いた畠も 日一日としぼみ枯れてゆく
それを見ると赤子が乳を乞うように天なる水を
仰ぎ待つことだ。あしひきの山の窪みに見ゆる
白雲よ。海神の沖の宮殿あたりまで、立ち渡って
雲一面を曇らせて、雨を与えて欲しい。
大伴家持
蒔18-4122