★しらたまの　　つつみてやらば　　あやめぐさ

　　　はなたちばなに　　あへもぬくがへ

★真珠を包んで贈るために、沖の島にある真珠が欲しいよ

　　　　　　　　　　　　　　　大伴家持

　　　　巻11－4102

[0回]

★　珠洲の海人の　沖つ御神に

　　い渡りて　　潜き採ると言ふ

　　鰒玉　　　五百ちもがも

　はしきよし　　妻の命も

　衣手の　　別れし時よ

　ぬばたまの　　夜床片さり

　朝寝髪　　　搔きもけづらず

　出でて来し　　月日数みつつ

　嘆くらむ　　心慰に

　ほととぎす　来鳴く五月の

　菖蒲草　　　花橘に　

　貫き交へ　　かづらにせよと

　包みて遣らむ

★すすのあまの　　おきつみかみに

　いわたりて　　かずきとりといふ　

　あはびたま　　　いほちもがも

　はしきよし　　つまのみことも

　ころもでの　　わかれしときよ

　ぬばらたまの　　よどこかたさち

　あさねがみ　　　かきもけづらず

　いでてこし　　　つきひよみつつ

　なげくらむ　　こころなぐさに

　ほととぎす　　きなくさつきの

　あやめぐさ　　はなたちばなに

　ぬきまじへ　　　かづらにせよと

　つつみてやらむ

★珠洲の漁師が　沖遠い神の島に渡って

　もぐっては採ると言う鰒の珠を五百個も

　ほしい。いとしい妻と袖を分かって以来

　ぬばたまの夜の床も独りで一人片端に寝て

　朝の寝乱れ髪を櫛ですくこともなく

　私が旅立って来た月日を数えながら

　嘆いているだろう妻の慰めに、ほととぎすが

　来て鳴く菖蒲草や花橘に交え通して

　かづらにするように　鰒玉を包んで贈ろう

　　　　　　大伴家持

　　　巻18－4101

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★もものふの　やそうじひとも　　よしのがわ

　　たゆることなく　　つかへまつる

★多くの延臣たちも吉野川の絶ゆることのないように

　お仕えしつつ見ることだろう

　　　　　　　　　　　　　大伴家持

　　巻18－4100

[0回]

★　いにしへに　　おおもほすらしも　　わごおおきみ

　　　　よしののみやを　　　ありかよひみす

★遠い昔をお忍びになるらしい。わが大君は吉野の宮を

　通い続けてご覧になる

　　　　　　　　　　　　　大伴家持

　　　巻18－4099

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★　高御坐　天の日嗣と　天の下

　　知らしめしける　　皇祖の

　　神の命も　畏くも　始め給ひて

　　貴とくも　定め給ひて

　　み吉野の　この大宮に

　　あり通ひ　　見し給ふらし

　　物部の　　八十伴の緒も

　　己が負へる　己がなし名負う負う

　　大君の　　負けを任く任く

　　この川の　絶ゆることなく

　　この山の　いやつぎつぎに

　　かくしこそ　仕へ奉らめ

　　いや遠永に

★　たまみくら　　あめのひつぎと

　　あめのした　　しらしめしたる

　　すめろきの　　かみのみことも

　　かしこくも　　はじめたまひて

　　たふとくも　　さだめたまへる

　　みよしのの　　このみやに

　　ありがよひ　　めしたまふらし

　　もののふの　　やそとものをも

　　おのがおへる　　おのがなをおふおふ

　　おおきみの　　　まけのまくまく

　　このかわの　　　たゆることなく

　　このやまの　　いやつぎつぎに

　　かくしこそ　　　つかへまつる

　　つかへまつらめ　いやとおながに

★　高見坐にあって、　天日もうけつぐものとして

　　天下をお治めになった遠い天子が

　　畏れ多くも始めなさり　お定めにあった

　　このみ吉野のこの大宮に　わが大君が

　　通ひ続けて風景を御覧になるらしい

　　多くの延臣たちも、それぞれの氏の名に

　　絶えず背かず、大君の任の　任く任く

　　この川の　絶ゆることなく　　この山の

　　いやつぎつぎに　かくしこそ

　　仕へ奉らめ　　いや遠い永い

　　　　　　　　巻１８－４０９８

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