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★大君の 任のまにまに
執り持ちて 仕ふる国の
年の内の 事かたね持ち
玉ほこの 道に出で立ち
岩根踏み 山越え野越え行き
都へに 参ゐしわが背を
あらたまの 年往き還り
月重ね 見ぬ日さまねみ
恋ふるそら 安くしあらねば
ほととぎす 来鳴き五月の
菖蒲草 蓬かづらき
酒宴 遊び慰れど
射水川 雪消溢ふて
行く水の いや増しにのみ
鶴が鳴く 奈呉江の菅の
ねもころに 思ひ結ばれ
嘆きつつ 吾が待つ君が
事をはり 帰りまかひて
夏の野の さ百合の花の
花咲に にふぶに笑みて
逢はしたる 今日を始めて
鏡なす かくし常見む
面変わりせず
★おおきみの まちのまにに とりもちて
つかふるとちの としのうちの ことかたねもち
たまほこの みちにいでたち いわねふみ
やまこへみやこへ みやこへに まゐしまにまに
あらたまの としゆきかへり つきかさね みぬひさまねみ
こふるそら やすくしあらば ほととぎす きなきさつきの
あやめぐさ よもぎかつらぎ さかみずき あそびなぐれど
おみずがは いみづがは ゆきげはふりて ゆくみずの いやましにのみ
なづがなく ねもころに おもひむすばれ なげきつつ
あがまつきみが ことをはり かへりまかりて なつののの
さゆりのはなの はなゑみに にふぶにえみて あはしたる
けふをはじめて かがみなす かくしつ見む 面変わりせせず
★天皇が命ぜらられるまにまに、役目に従ってお仕えする国の
一年の事を かためたずさえて 玉ほこの道に 出発をし
岩を踏みしめ越えて行って都に参上したあなたを、
あらたまの年も改まり月を重ねて見ない日が多くなったので
恋しく思う身も安からずあったから、ほととぎすが来て鳴く
五月の菖蒲草や蓬をかづらに巻き、酒宴を開いて遊び慰めだったのが
射水川のの雪解け水のみなぎらせて流れる水のように、一層恋しさが
つのり、鶴が鳴く菅の根のように、つくづくと心も結ばれ、嘆息しつつ
私は待っていたことだった。そのあなたが任おえて帰国し、夏の野の
さ百合の如く、にもやかに笑って姿をみせた。今日を始めてとして
鏡のようにいつもこうして見ていよう。様子も変わることなく
巻8-4116
執り持ちて 仕ふる国の
年の内の 事かたね持ち
玉ほこの 道に出で立ち
岩根踏み 山越え野越え行き
都へに 参ゐしわが背を
あらたまの 年往き還り
月重ね 見ぬ日さまねみ
恋ふるそら 安くしあらねば
ほととぎす 来鳴き五月の
菖蒲草 蓬かづらき
酒宴 遊び慰れど
射水川 雪消溢ふて
行く水の いや増しにのみ
鶴が鳴く 奈呉江の菅の
ねもころに 思ひ結ばれ
嘆きつつ 吾が待つ君が
事をはり 帰りまかひて
夏の野の さ百合の花の
花咲に にふぶに笑みて
逢はしたる 今日を始めて
鏡なす かくし常見む
面変わりせず
★おおきみの まちのまにに とりもちて
つかふるとちの としのうちの ことかたねもち
たまほこの みちにいでたち いわねふみ
やまこへみやこへ みやこへに まゐしまにまに
あらたまの としゆきかへり つきかさね みぬひさまねみ
こふるそら やすくしあらば ほととぎす きなきさつきの
あやめぐさ よもぎかつらぎ さかみずき あそびなぐれど
おみずがは いみづがは ゆきげはふりて ゆくみずの いやましにのみ
なづがなく ねもころに おもひむすばれ なげきつつ
あがまつきみが ことをはり かへりまかりて なつののの
さゆりのはなの はなゑみに にふぶにえみて あはしたる
けふをはじめて かがみなす かくしつ見む 面変わりせせず
★天皇が命ぜらられるまにまに、役目に従ってお仕えする国の
一年の事を かためたずさえて 玉ほこの道に 出発をし
岩を踏みしめ越えて行って都に参上したあなたを、
あらたまの年も改まり月を重ねて見ない日が多くなったので
恋しく思う身も安からずあったから、ほととぎすが来て鳴く
五月の菖蒲草や蓬をかづらに巻き、酒宴を開いて遊び慰めだったのが
射水川のの雪解け水のみなぎらせて流れる水のように、一層恋しさが
つのり、鶴が鳴く菅の根のように、つくづくと心も結ばれ、嘆息しつつ
私は待っていたことだった。そのあなたが任おえて帰国し、夏の野の
さ百合の如く、にもやかに笑って姿をみせた。今日を始めてとして
鏡のようにいつもこうして見ていよう。様子も変わることなく
巻8-4116
★ 大君の 遠の朝廷と
任き給ふ 官のまにまに
み雪降る 越しに下り来
あらたまの 年の五年
敷栲の 手枕分かず
紐解かず 丸寝をすれば
いぶせみと 情慰に
石竹花を 屋戸に蒔き生し
夏野の野 さ百合引き植ゑて
咲く花を 出で見るごとに
石竹花が その花妻に
さ百合花 後も逢はむと
慰むる 心し無くは
天離れる ひなに一日も
あるべくもあれや
★ おおきみの とほのみかどと
まきたまふ つかさのまにま
みゆきふる こしにくだりき
あらたまの としのいつとせ
しきたへの たまくらまかず
ひもとかず まるねをすれば
こころなぐさに いぶせみと
なでしこを やどにまきおほし
なつののの さゆりひきうゑて
さくはなを いでみるごとに
なでしこが そのはなづまに
さゆりばな ゆりもあはむと
なぐさむる こころしなくは
あまざかる ひなひひとひも
あるべくもあれや
★ 天皇の遠い政庁のとて、ここに
任命なさった役目のままに、雪も
深い越しに下って来て、あらたまの
年を五年間も柔らかな手枕をすることもなく
紐も解かぬ丸寝をしていると
こころもうっとうしい。
そこで心を慰めるべく石花竹を我が家に
蒔き育てたり、夏の野から百合の花を
取って来ては庭に植える。
それらの花を庭に出て見る度に
石竹花の花のような妻に、百合の花の
名の如く、後に逢おうと心を慰める
そんな気持も持たずにこの天離るひなに
一日とていられるものだろうか
巻18-4113
任き給ふ 官のまにまに
み雪降る 越しに下り来
あらたまの 年の五年
敷栲の 手枕分かず
紐解かず 丸寝をすれば
いぶせみと 情慰に
石竹花を 屋戸に蒔き生し
夏野の野 さ百合引き植ゑて
咲く花を 出で見るごとに
石竹花が その花妻に
さ百合花 後も逢はむと
慰むる 心し無くは
天離れる ひなに一日も
あるべくもあれや
★ おおきみの とほのみかどと
まきたまふ つかさのまにま
みゆきふる こしにくだりき
あらたまの としのいつとせ
しきたへの たまくらまかず
ひもとかず まるねをすれば
こころなぐさに いぶせみと
なでしこを やどにまきおほし
なつののの さゆりひきうゑて
さくはなを いでみるごとに
なでしこが そのはなづまに
さゆりばな ゆりもあはむと
なぐさむる こころしなくは
あまざかる ひなひひとひも
あるべくもあれや
★ 天皇の遠い政庁のとて、ここに
任命なさった役目のままに、雪も
深い越しに下って来て、あらたまの
年を五年間も柔らかな手枕をすることもなく
紐も解かぬ丸寝をしていると
こころもうっとうしい。
そこで心を慰めるべく石花竹を我が家に
蒔き育てたり、夏の野から百合の花を
取って来ては庭に植える。
それらの花を庭に出て見る度に
石竹花の花のような妻に、百合の花の
名の如く、後に逢おうと心を慰める
そんな気持も持たずにこの天離るひなに
一日とていられるものだろうか
巻18-4113