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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ とほとにも  きみがなげくと  ききつれば

    ねのみしなかゆ  あひおもふわれは

★遠い便りにもあなたが嘆いていると聞いたので

 しきりに泣かれてしまいます。同じ思いを抱く

 私は

                大伴家持

   巻19-4215

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★天地の 初めのときゆ うつそみの

 八十伴の男は 大君に  まつろふものと

 定まれる   司にしあれば  大君の

 命畏み  ひな離る  国を治むと

 あしひきの   山川隔り 風雲に

 言は問へど  直に逢はず 日の重なれば

 思ひ思ひ 気衝き居る  玉鉾の 道来る人の

 伝言に 我に語らく  愛しきよし

 君はこの頃  心さびて  嘆かひ坐す

 世の中の  憂けく辛けく 咲く花も

 時に移ろふ  うつせみも  常無くありけり

 垂乳根の  御母の命  何しかも

 時しかあらむを  真鏡  見れども飽かず

 珠の緒の  惜しき盛りに  立つ霧の

 失せゆく如く 置く露の   消ぬるが如く

 玉藻なす   靡き臥伏す  逝く水の

 留めかねつと  狂言や  人の言ひつる

 逆言に 人の告げつる  梓弓 

 爪ひく夜音の  遠音にも 聞けば悲しみ

 にはたづみ  流るる涙 留どみかねつも

★ あめつちの  はじめてときゆ うつそみの

  やそとものをは おほきみに まつろふものと

  さだまれる  つかさにしあれば  おおきみの

  みことかしこみ ひなさかる  くにをおさむと

  あしひきの  やまかわへなり  かぜくもに

  ことはかよへど  ただにはあはず ひのかさなれば

  おもひおもひに  いきづきをるに  たまほこの

  みちくるひとの   つてことに  われにかたらふ

  はしきよし    うらさびて  なげかひいます

  とのはかの    うけくつらけく  さくはなも

  ときにうつろふ  うつせみも   つれなくありけり

  たらちねの   みおやのみこと   なにしかも

  ときしはあらむを  まそかがみ  みれどもあかず

  たまのをの   おしきさかりに  たつきりの

  うせゆくごとく  おくつゆの  うせゆくごとく

  たまもなす  なびきこひふし  ゆくみずの

  とどみかねつと  きょうげんや ひとのいひつる

  さかごとを  ひとのつげつる  あずさゆみ

  つまひくよとの  とほとにも  きけばかなしみ

  にはたづみ  流るる涙 留みかねつも

                  大伴家持

   巻9-4213



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★ をとめらが  のちのしるしと  つげおぐし

   おひはかりおひて   なびきけらしも

★処女の後の記念として、黄楊小櫛は木となって、

 生えかわり、成長して風に靡いているよ

            大伴家持

   巻19-4212

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★古に ありける技の

 奇ばしく  事と言ひ継ぐ

 血沼壮士  うなひ壮士の

 うつせみの 名を争うと

 たまきはる  命も捨てて

 争ひに  妻問しける

 少女らが 聞けば悲しさ

 春花の   にほえ栄えて

 秋の葉の   にほひに照れる

 あたらしき  身の壮すら

 大夫の    言いたはしみ

 父母に   申し照れて

 家離り   海辺に出で立ち

 朝夕に  満ち来る潮の

 八重波に  靡く玉藻の

 節の間も  惜しき命を

 露霜の   過ぎましにけれ

 奥墓の   此処と定めて

 後の代の  聞き継ぐ人も

 いや遠に  思ひにせよと

 黄楊小櫛  しかし刺しけらし

 生ひて靡けり

★ いにしへに  ありけるいわの

  くさばしく  ことといひける

  ちぬまおおとこ  うなひおとこの

  うつせみの   なをあらそうふと

  たまきはる    いのちもすてて

  あらそひに    つまどひしける

  をとめらが    きけばかなしさ

  にほひさかえて   あきのはの

  にほひてれて    にほひにてれる

  あたらしき     みのさかりすら

  ますらおの      こといたはしみ

  ちちははの     まをしわかれて

  いへざかり     うみへにいでたち

  あさよひに     みちくるしおの

  やへなみに     なびくたまもの

  ふしのまも    おしきいのちを

  つゆしもの    すぎましにけれ

  おくつきの    こことさだめて

  ききつぎひとも  いやとおひ

  しのひにせよと  つげをぐし

  しかさしけらし  おひてなびけり

★ 昔あった事で不思議な事と栄えてきた。

  血沼壮士とうない壮士が世間の名誉を

  争うとて、たまきはる命も捨てて、争って

  求婚した少女の話は聞くと何と悲しいことよ。

  春花のように匂わしく栄えた、秋の葉のように

  美しく輝いた惜しい身の盛りにすら、大夫たちの

  ことばが心を悲しませるので、父母に暇乞いをし

  家を離れて海岸に出で立ち、朝夕に満ちてくる潮の

  八重波に靡く玉藻の節の間ほどに、短く惜しい命を

  露霜のように失ってしまった。そこで墓所をここと決めて

  後代に聞きつぐ人も  一層遠くしのぶよすがにせよとて

  黄楊の小櫛をこのように刺したらしい。それが、生い育って

  風に靡いているよ

       大伴家持
 
                   巻19-4211

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★ふじなみの  しげりはすぎぬ  あしひきの

   やまほととぎすの   などかきなかぬ

★藤波の花の盛りは過ぎました。あしひきの

 山ほととぎすはどうして鳴かないでしょう

            大伴家持


  巻19-4210

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