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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★うなはらに  かすみたなびき  つるがねの

   かなしいよひは  くにへしおもほゆ

★海原に霞が立ち込めて鶴の鳴き声が悲しくひびく、宵は

 故郷がしのばれる

                   大伴家持

  巻20-4399

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★ 大君の  御言畏み

 妻別れ   悲しくはあれど

 大夫の  情ふり起し

 とり装ひ 門出をすれば

 たらちねの  母掻き撫で

 若草の  妻は取り付き

 平けく  われは斎はむ

 好去くて 早還り来と

 真袖を持ち 涙をぬぐい

 むせびつつ  言問いすれば

 群鳥の  出で立ちかてに

 滞り  帰り見しつつ

 いや遠に 国を来離れ

 いや高に 山を越え過ぎ

 難波に来居て 夕潮に

 船を受け据え 朝凪に

 へむけ漕がむと さもらふと

 わが居る時に 春霞

 島廻り立ちて 鶴が音が

 悲しく鳴けば 遥々に

 家を思ひ出  負征夫の

 そよと鳴るまで


★おおきみの  みことかしこみ

 つまわかれ  かなしくはあれど

 ますらをの  こころをふりおこし

 とりよそひ  かどでをすれば

 たらちねの  ははかきなで

 わかくさの  つまはとりつき

 たひらけく  われはいははむ

 まさきくて  はやかへりこと

 まそでもち  なみだをのごひ

 むせひつつ  こととひされば

 むらどりの  いでたちかてに

 とどこほり  かへりみしつつ

 いやとほに   くにをきはなれ

 いやたかに   やまをこえすぎ 

 あしがちる   なにはにきいて

 ゆふしおに   ふねをうけすゑ

 あさなぎに   へむけこがむと

 さもらふと   わがをるときに

 はるかすみ   しまにみちたちて

 たづがねの   かなしくなけば

 はらばろに   いへをおもひで

 おひそやはの  そよとなるまで

 なげきつるかも

★大君の命令を畏み妻との別れは

 悲しくはあるが、大夫の心をふるい起こし

 武装を固めて旅立ちすると、たらちねの母は

 頭を撫で、若草の妻は取りすがり「御無事にと

 私はお祈りしていましょう。つつがなく早く

 帰って来てください」と両袖で涙を拭い

 むせになきつつ語りかけるので、 群鳥

 のように出で立つこともできず、足も

 しぶりがちに、後ろを振り返る。そうしながら

 ますます故郷を離れ来、いっそう高く山を越えて

 来て、今蘆の花の散る難波に来ている。夕潮に

 の中に船を浮かべ据え、朝凪に舳先を見ていると

 春霞が島の廻りに立ちこめ、鶴が悲しい鳴き声を

 ひびかせるので、遥かに家郷を。思い出し

 背に負うた矢が音を立てるほどに、嘆いたことだ

            大伴家持

   巻20-4398

 

 

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★みわたせば  むかつをの  はなにほひ

  てりてたてる  いとしききみが

★見渡しと向かいの丘の上の花が輝き

 それに、照り映えてたっているのは

 誰の妻か

            大伴家持

  巻20-4397

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★ほりえより  あさしおみちに  よるこつみ

     かいにありせば   つとにせましも

★ひとりで掘江に浮かんでる木屑を見て美しい玉が

 こないことを残念がった

                大伴家持


   巻20-4396

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★ 大君の  畏かしこみ

  妻別れ   悲しくはあれど

  大夫の   情ふりおこし

  とり装い  門出をすれば

  たらちねの  母か撫で

  若草の  妻は取り付き

  平けく  我はいのらむ

  好去くて  早還り来りと

  真袖持ち 涙をのごひ

  むせひつつ  言問ひすれば

  群島の出で  たちかへに

  滞り     帰り見しつつ

  いや遠に   国を来離れ

  いや鷹に  山を越えすぎ

  蘆が来て  難波に来居て

  夕潮に船を  浮け据え

  朝凪に    へ向け漕がむと

  さもらふと  わが居る時に

  春霞     島廻に立ちて

  鶴が音の   悲しく鳴けば

  遥々に    家を思ひ出

  負征矢の   そよと鳴るまで

  鳴きつるかも

★ おおきみの  みことかしこみ

  つまわかれ  かなしくはあれど

  ますらをの   こころふりおこし

  とりよそおひ   かどでをすれば

  たらちねの   ははかきなで

  わかくさの   つまはとりつき

  たひらけく   われははむ

  まさきくて   はやかへりこと

  まそでもち  なみだをのごひ

  むせひつつ  ことひすれば

  むれどりの  いでたちかてに

  とどこほり  かへりみつつ

  いやとほに   くにをきはなれ

  いやたかに   やまをこえすぎ

  あしがちる   なにわにきいて

  ふゆしおに   ふねをうけすえ

  あさなぎに   へむけこがむと

  さもらふと   わがをるときに

  はるがすみ   しまみにたちて

  たづがねの   かなしくなけば

  はろばろに   いへをおもひで

  おひそやの  そよとなるまで

  なげきつるかも

★大君の御言畏み、妻との別れは

 悲しくはあるが、大夫の心を

 起こし、武装を固めて、旅立ちすると

 たらちねの母は、頭を撫で、若草の

 妻はとりすがり、「御無事にと私は

 していましょう。つつがなく早く帰って

 来てください。」と両袖で涙を拭い

 むせびなきつつ語りかけるので、群鳥
 
 のように、出でたつこともできず、

 足もしぶりがちに後ろを振り返り続ける

 そうしながら、ますます遠く故郷を離れて来、

 いっそう高く山を越えて来て、今蘆の花が

 散る難波に来ている。有潮中に船を置き

 据え、朝凪に舳先を向けて漕ぎ出そうと

 様子を見ていると、春霞が島のまわりにたちこめ

 鶴が悲しい鳴き声をひびかせるので

 遥かに  家郷を思い出し、背に負うた矢が

 音を立てるほどに、鳴いたことです。

        大伴家持

  巻20-4398

 

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