★　はるのはな　いまはさかりに　　にほふらむ

　　　おりてかざさむ　　てぢからがも


★　春の花は今を盛りに咲き誇っているでしょう。

　折って挿頭しにする手力をがほしいことです


　　　　　　　　　大伴家持

　　　　巻17－3965

[0回]

★やまかわの　　そきへをとおみ　　はしきよし

　　　いもをあひみず　　　かくやなげかむ


★　山や川の果てが遠いので、いとしい妻もなく

　　逢うこともなく、このように嘆くだろうか

　　　　　　　　　　　大友家持

　　　巻17－3964

[0回]

★　よのなかは　　かずなきものか　　はるはなの

　　　ちりのまがひに　　しぬべきおもへば


★　世間は数えるほどもなく、はかないものか。
　　
　　春の花の散りにまぎれて死ぬべきことを思うと

　　　　　　　　　　　　　大友家持

　　　　　巻17－3963

[0回]

★　大君の　任まけまけに　丈夫の　心振り越し

　　あしひきの　山坂越えて　天離る　鄙に下り来

　　息だにも　　いまだ休めず　年月も　いくらもあらぬに

　　うつせみの　世の人なれば　うち靡き　床に臥伏し

　　痛けくし　日に異に益さる　たらちねの　母の命は

　　大船の　　ゆくらゆくらに　下恋に　何時しかと

　　嘆かすらむそ　　妹も背も　若き児どもが

　　彼此に　騒き泣くらむ　玉ほこの　道をた遠み

　　間使も　遣るよしも無し　思ほしき　言伝て遣らず

　　恋ふるに　情は燃えぬ　たまきはる　命惜しけど

　　為むすべの　たどきを知らに　かくしてや　荒し男すらに

　　嘆き伏せらむ

★　おおきみの　　まけのまけまけに　ますらをの　こころふりこし

　　あしひきの　　やまさかこへて　　あまざかる　　ひなくだりき

　　いきだにも　　いまだやすめず　　ねんげつも　　いくらもあらぬに

　　うつせみの　　よのひとなれば　　うちなびき　　ゆかにこいふし

　　いたけくし　　ひにけにまさる　　たらちねの　　ははのいのちは

　　おおふねの　　　ゆくらゆくらに　　したこひに　　いつしかと

　　ここにさわきなくらむ　　たまほこの　　みちをたとおみ

　　まづかひも　　やるもよし　　おもほしき　　ことづてならぬ

★　大君の御命令に随って、丈夫の心を振りたてあしひきの

　　山坂越えて　天遠い鄙に下って来て　、息さえまだ休めず

　　年月もいくらもたっていなのに、　現実の世の人間だから身を

　　横たえて床に伏せる身となり　苦痛は日一日と　まさってゆく。

　　たらちねの母上が大船の揺れるように気持も定まらず私を恋い、

　　早く帰ってくれるようと待っておられるだろう心さびしく

　　いとしい妻も、夜が明けると門に倚り立って、衣の袖を、

　　折り返しながら、　また、夜になると床の上ををきよめ、

　　ぬばたまの黒髪を靡かせて何時おいでかと、嘆いているのだろうよ

　　妹も兄も、若いこどもたちがあちこちで泣き騒いでいるだろう。

　　玉ほこの道が遠いので、使者をやるすべもない。心の内を

　　言ひ伝えることも　できず恋していると、心は熱くなる、

　　たまきはる命は惜しいのだが、どのようにもすべきてだても

　　知らず、このようにして勇ましい男の私までも嘆き伏しているのだか

　　　　　　　　　　　　　　　　　　大伴家持

　　　　　　　　　　巻17－3962

[0回]

★しらなみの　よするいそめぐり　こぐふねの

　　かぢとるまもなく　　おもほえしきみを


★　庭に降る雪は千重に降り積もっています。

　　しかしそんな程度だけに思ってあなたを

　　お待ち申しているのではありません

　　　　　　巻17－3861

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