×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
PR
★ 大君の 命畏み あしひきの
山の障らず 天は離る ひなも収むる
大夫や 何ものか思ふ 青丹よし
奈良路来通ふ 玉梓の 使えめや
籠り恋ひ 息づき渡り 下思よ
嘆かふわが背 古ゆ 言ひ継ぎ来らし
世間は 数なかきものそ 慰もる
事もあらむと 里人の 吾に告ぐらく
山傍には 桜花散り かほとりの
間なくしば鳴く 春の野に
菫摘むと 白妙の 袖折り返し
紅の 赤裳裾引き 少女らが
思ひ乱れて 君待つと
うら恋ひすなり 心ぐし
いざ見に行かな 事はたゆたひ
★やまのさわらず てんはなる ひなもおさむる
ならぢきかよふ いきづきわたり したおもよ
なげかふわがせ いいにしへゆ いひつぎくらし
よのなかは かずなきものそ なぐさもる
やまかたはらには さくらばなちり
かほとりの まなくしばなく はるののに
すみれつむと しろたへの そでおりかへし
くれないの あかもすそひき をとめらが
おもひみだれて きみまつと うらこひすなり
こころぐし いざみにゆかな ことはたゆひ
★ 大君の御命令を尊んで、あしひきの山も野も越えて
天とひなにをも治める勇ましい男子たるあなたは
どうしても野を思いましょう。青丹美しい奈良路へ行ききする
玉梓の使いがどうして絶えましょう。家に籠もって恋に苦しみ嘆息
しつつ下心に嘆く背よ。昔から語りつづけて来たように、世間は取る
にたらないもののようです。私の紀が安まる事もあるだろうと里の者が
私に告げるには「山べには桜花が散り、郭公が絶えず鳴きしきります。
春の野に菫を摘もうと白妙の袖を折り返し、紅の赤裳の裾を引いて
少女たちは心乱れてあなたを待つとて心から恋しているようです」
と、家にいることは うっとうしいことです。
もう事はすっかり決まっているのでしょう。
大池地主
巻17-3793
山の障らず 天は離る ひなも収むる
大夫や 何ものか思ふ 青丹よし
奈良路来通ふ 玉梓の 使えめや
籠り恋ひ 息づき渡り 下思よ
嘆かふわが背 古ゆ 言ひ継ぎ来らし
世間は 数なかきものそ 慰もる
事もあらむと 里人の 吾に告ぐらく
山傍には 桜花散り かほとりの
間なくしば鳴く 春の野に
菫摘むと 白妙の 袖折り返し
紅の 赤裳裾引き 少女らが
思ひ乱れて 君待つと
うら恋ひすなり 心ぐし
いざ見に行かな 事はたゆたひ
★やまのさわらず てんはなる ひなもおさむる
ならぢきかよふ いきづきわたり したおもよ
なげかふわがせ いいにしへゆ いひつぎくらし
よのなかは かずなきものそ なぐさもる
やまかたはらには さくらばなちり
かほとりの まなくしばなく はるののに
すみれつむと しろたへの そでおりかへし
くれないの あかもすそひき をとめらが
おもひみだれて きみまつと うらこひすなり
こころぐし いざみにゆかな ことはたゆひ
★ 大君の御命令を尊んで、あしひきの山も野も越えて
天とひなにをも治める勇ましい男子たるあなたは
どうしても野を思いましょう。青丹美しい奈良路へ行ききする
玉梓の使いがどうして絶えましょう。家に籠もって恋に苦しみ嘆息
しつつ下心に嘆く背よ。昔から語りつづけて来たように、世間は取る
にたらないもののようです。私の紀が安まる事もあるだろうと里の者が
私に告げるには「山べには桜花が散り、郭公が絶えず鳴きしきります。
春の野に菫を摘もうと白妙の袖を折り返し、紅の赤裳の裾を引いて
少女たちは心乱れてあなたを待つとて心から恋しているようです」
と、家にいることは うっとうしいことです。
もう事はすっかり決まっているのでしょう。
大池地主
巻17-3793