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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★ はるはなの  うつろふまでに  とおけども

  こころしゆけば  いめにみえけり


★ 春の花が散る時期まで逢えないので、別れ住む

  月日を数えつつ妻は待っているだろうよ

        大伴家持

    巻17-3982

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★ あしひきの  やまへなりて  とおけども

   こころしいけば   いめにみえけり


★ あしひきの山を間に距てて遠いけれども
  
  心が通ってゆくので夢に見えたのだなあ

          大伴家持

   巻17-3981

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★ ぬばたまの  いめにはもとな あひみれど

    ただにあらねば   こひやまずけり


★ ぬばたまの夜の夢は空しく見えるけれども

  じかにではないので 恋心は止まないことです

       ・ぬばたまの→枕詞

           大伴家持

   巻17-3070

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★ あらたまの  としかげるまで  あひみねば

   こころもしのに   おもほゆるかも

★ あらたまの年が改まるまでに逢わないので
  
  心もしなえるように慕われることよ

        大伴家持

   巻17-3979

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★ 妹もわれも  心は同じ 腹へれど

  いや懐しく  相見れば 常夏花に

  心ぐし めぐしもなしに 愛しけやし

  吾が奥妻  大君の 命畏み

  あしひきの  山声越え野行き

  天離る ひな治めにと 別れ来しの 

  その日の極み あらたまの年行き返り

  春花の 移ろふまでに 相見ねば 

  いたもすべし  敷栳の 袖返しつつ

  寝る夜落ちず 夢には見れど 現にし

  直にあらねば 恋しけく 千重に積もりぬ

  近くあらば  帰りだにも 打ち行きて

  妹が手枕 指し交へて 寝てもこましも

  玉ほこの  路はし遠く 関さへに

  隔りて あれこそ よしゑやし

  縁はあらむそ ほととぎす 来鳴かむ月に

  いつしかも  早くなりぬる 卯の花に

  にほへる山に 外のみも 振り放け見つつ

  近江路に  い行き渡る 青丹よし

  奈良の吾家に ぬえ鳥の うら嘆しつつ

  下恋に 思ひうらぶれ 門に立ち 

  夕占しつつ 吾を待つと 寝すらむ妹を

  逢ひて早見む

★ いももわれも  こころはおなじ たぐへれど

  いやなつかしく あひみれば  とこはつはなに

  こころぐし  めぐしもなしに  はしけやし

  あがおくづまの  おおきみの みことかしこみ

  あしひきのやまこへぬいき  あまざかる
   
  ひなおさめにと わかれこし そのひのきはみ

  あらたまのとしゆきかへり はるはなの 

  うつろふまでに  あひみねば いたもすべなみ

  しきたへの そでかへしつつ  ぬるよにおちず

  いめにはみれど うつつぬし ただにあらねば

  こひしけく  ちへにつもりぬ ちかくあらば

  かえりだにも  うちいきて  いもがたまくら

  さしかへてねてもこましを  たまほこの みちはしとおく

  せきさへにへなりてありこそ よしゑやし よしはあらむそ

  ほととぎす きなかむつきに いつしかも

  はやくなりなむ  うのはなの にほへるやまを  

  よそのみも  ふりさけみつつ おふみぢに

  いゆきのちたち あおによし ならのわがへに

  ぬえどりの うらなげしつつ したこひに

  おもいうらぶれ  かどにたち ゆうけとひつ

  あをまつと なすらむいもを  あひてはやみむ

★妻も私も心は同じである。いっしょにいてもますます

  心ひかれ、心いぶせく恋に苦しむこともなく愛らしい

 、わが心の妻よ。大君の御命令が恐れ多く、あしひきの山を

  越え野を行き天遠いひなを治めに来たその日を最後に

  あらたまの年も改まり、春の花が散ってゆくまで

  逢うこともないので、恋しさは幾重にも積もった

  都が近かったらちょっと帰ってでも行って

  妹の手枕にさしかわして寝ても来ようものを

  玉ほこの路を 遠く関所までに間にへだてていることだ。

  ままよ、何か良い手段があるのだろう。

  ほととぎすが来て鳴くのは月はいつか

  早くなって欲しい。卯の花の美しく

  咲く山を外に見ながら、近江路を

  辿っていって、青丹ように 美しい

  奈良のわが家に渡り到り ぬえ鳥のように

  下心に嘆きつつ、心の中に恋に侘しく

  思いつつ門にでては 夕占を

  問いながら 私を待っているだろう

       大伴家持

  巻17-3978

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