×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
PR
この時代の奔放で恋多き女の代表のように言われている和泉式部・・・・彼女の心に添いながら、
私なりに読んでいきたいと思います。
恋仲であった、病亡した為尊親王の弟である敦道親王との恋のかけひきから、
この物語は始まります
一 夢よりもはかなき世の中
夢よりもはかなき世の中を嘆きわびつつ明かし暮らすほどに、四月十余日(とよひ)
にもなりぬれば、木(こ)の下くらがりもてゆく。築地(ついひぢ)の上の草あをやかなるも、
人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに 、近き透垣(すいがい)のもとに人
のけはひすれば、たれならんと思ふほどに、故宮にさぶらひし小舎人童(こどねりわらは)
なりけり。
★ はかないもののたとえである夢よりも、さらにはかない人の世を、今は亡き宮様との事を
嘆き悲しみながら日を送っているうちに、いつのまにか4月10日過ぎになってしまったの
で、木々が深く繁り、木陰は暗さを増してゆきます。築地の上の草が青々としているのも
、他人は殊更、気にも留めないものを、青々とするほどに余計人の世のはかなさを感じ
ている時に、近くの透垣の辺りに人の気配がするので、誰だろうと思っていると、亡き宮様
にお仕えしていた小舎人童でした。