★　わぎもこに　こひてすべなみ

　　　しろたへの　そでかえししは　いめにみえきや

★　私のいとしいあの子に、恋をしてもどうしようもなく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　白栲の袖を折り返して寝たけれど、あの子の夢には

　　見えただろうか？

　　　　　　巻11－2812

　・白栲の→枕詞

　・すべなみ→すべ→手段・方法

　・「袖返ししは夢に見えきや」→袖口を裏返して寝ると

　　　　　　　　　　　　　　　　恋する相手が夢に出るという

　　　　　　　　　　　　　　　　俗説があった。

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★　このことを　きかむとならし　まそかがみ

　　　てれるつきよも　やみのみにみつ

★　この悲しい言葉を聞こうとしてそうだったのでしょう。

　　真澄鏡のように照った月夜も闇のみに見てきました。

　　　　巻11－2811

・真澄鏡→枕詞

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★　おとのみを　ききつつこひむ　まそかがみ　

　　　ただめにあひて　こひまくもいたし

★　噂ばかりを聞いて恋していましょうか。

　　真澄の鏡のように　直接に逢って恋することも

　　大変辛いので・・・

　　　　　巻11－2810

　・真澄鏡→枕詞

　「いたし」→いたく→程度の甚だしいこと

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★　けふなれば　はなひはなひし　まゆかゆみ

　　おもひしことは　きみにしありけり

★　おいでが今日なればこそ、何度もくしゃみをし

　　眉が痒く思ったことはあなたのせいだったのですね

　　　　巻11－2809

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★　まよねかき　はなひひもとけ　まてやりも

　　　いつかもみむと　こひこしわれを

★　眉を掻き、くしゃみをし、紐も解けて待っているだろうか

　　いつ逢えるかと恋してきた私を

　　　　巻11－2808

　　・鼻ひ→くしゃみのこと

　　「問答」に入ります。二首一組の男女の問答

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