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★ 天皇の 遠き御代にも
押し照る 難波の国に
知らしめしきと 今の緒に
絶えず言ひつつ 懸けまくも
あやに畏み 神ながら
わご大君の うちなびく
春の初は 八千草に
花咲き匂ひ 山見れば
見のともしく 川みれば
川見れば 見の清けく
物ごとに 栄ゆる時と
見し給ひ 明らめ給ひ
敷きませる 難波の宮は
聞し食す 四方の国より
奉る 貢の船は
掘江より 水脈引きしつつ
朝凪に 楫引き沂り
夕潮に 棹さし下り
あぢ群の 騒ぎ給ひて
浜に出でて 海原見れば
白波の 八重折るが上に
海人小船 はららに浮きて
大御食に 仕へ奉ると
遠近に 漁り釣りけり
そぎなきも おろぎなきかも
こきばくも ゆたけきかも
ここ見れば うべし神代ゆ
始めけらしも
★ すめろきの とおきみよにも
おして なにわのくにに
あめのした しらしめしきと
いまのをに たえずいひつつ
かけまくも あやにかしこし
かみながら わごおほきみの
うちなびく はるのはつは
やちぐさに はなさきほほひ
やまみれば みのともしく
かわみれば ものさやけく
ものごとに さかゆるときと
めしたまひ あきらめたまひ
しきませる なにはのみやは
きこしめす よものくにより
たてまつる みつきのふねは
みびきしつつ あさなぎに
かぢひきのぼり ゆふしおに
さをさしくだり あぢむらの
さわききそいて はまにいでて
しらなみが やえおるがうへに
あまこぶね はららにうきて
おおみけに つかへまつると
をちこちに いざりつりけり
そきだくも おぎろなきかも
こきばくも ゆたけきかも
ここみれば うべしかみよゆ
はじめけらしも
★遠い天皇の御代にも、太陽が輝く
難波の国に天下を支配なさったと、
現在まで絶えず言ひつづけ、口に
だしても恐れ多い、神の身たるわが大君。
霞が全てを包む春の初めは色とりどりに
花が咲き輝き、山を見るといつも見たいと
思い、川を見るとさやかに望まれ、物みながら栄えて
居る時だとご覧になり、お心を明らかになさって支配される
難波の宮よ。この宮は支配される四方の国々から、献上
される貢物の船はが、掘江に水脈を引きながら、
朝凪の折は楫を引いてさかのぼり、
夕潮の中では棹をし下し、あじ鴨の群のように
騒ぎ争っている。掘江から浜に出て海原を見ると
しらなみの八重のかさなりの上に、漁師の小船が
点々と浮かんで、天皇のお食事に奉仕しようと
あちこちに 漁をし釣をしている。
どこまでも広大なことよ。無限に豊かなことよ。
これを見るとなるほどもっともなことだ。
神代から天下の宮に天下を支配なされたらしいよ
大伴家持
巻20-4360
押し照る 難波の国に
知らしめしきと 今の緒に
絶えず言ひつつ 懸けまくも
あやに畏み 神ながら
わご大君の うちなびく
春の初は 八千草に
花咲き匂ひ 山見れば
見のともしく 川みれば
川見れば 見の清けく
物ごとに 栄ゆる時と
見し給ひ 明らめ給ひ
敷きませる 難波の宮は
聞し食す 四方の国より
奉る 貢の船は
掘江より 水脈引きしつつ
朝凪に 楫引き沂り
夕潮に 棹さし下り
あぢ群の 騒ぎ給ひて
浜に出でて 海原見れば
白波の 八重折るが上に
海人小船 はららに浮きて
大御食に 仕へ奉ると
遠近に 漁り釣りけり
そぎなきも おろぎなきかも
こきばくも ゆたけきかも
ここ見れば うべし神代ゆ
始めけらしも
★ すめろきの とおきみよにも
おして なにわのくにに
あめのした しらしめしきと
いまのをに たえずいひつつ
かけまくも あやにかしこし
かみながら わごおほきみの
うちなびく はるのはつは
やちぐさに はなさきほほひ
やまみれば みのともしく
かわみれば ものさやけく
ものごとに さかゆるときと
めしたまひ あきらめたまひ
しきませる なにはのみやは
きこしめす よものくにより
たてまつる みつきのふねは
みびきしつつ あさなぎに
かぢひきのぼり ゆふしおに
さをさしくだり あぢむらの
さわききそいて はまにいでて
しらなみが やえおるがうへに
あまこぶね はららにうきて
おおみけに つかへまつると
をちこちに いざりつりけり
そきだくも おぎろなきかも
こきばくも ゆたけきかも
ここみれば うべしかみよゆ
はじめけらしも
★遠い天皇の御代にも、太陽が輝く
難波の国に天下を支配なさったと、
現在まで絶えず言ひつづけ、口に
だしても恐れ多い、神の身たるわが大君。
霞が全てを包む春の初めは色とりどりに
花が咲き輝き、山を見るといつも見たいと
思い、川を見るとさやかに望まれ、物みながら栄えて
居る時だとご覧になり、お心を明らかになさって支配される
難波の宮よ。この宮は支配される四方の国々から、献上
される貢物の船はが、掘江に水脈を引きながら、
朝凪の折は楫を引いてさかのぼり、
夕潮の中では棹をし下し、あじ鴨の群のように
騒ぎ争っている。掘江から浜に出て海原を見ると
しらなみの八重のかさなりの上に、漁師の小船が
点々と浮かんで、天皇のお食事に奉仕しようと
あちこちに 漁をし釣をしている。
どこまでも広大なことよ。無限に豊かなことよ。
これを見るとなるほどもっともなことだ。
神代から天下の宮に天下を支配なされたらしいよ
大伴家持
巻20-4360