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★天降りつく 天の香具山 霞立つ 春に至れば 松風に 池波立ちて 桜花 木の晩茂に
奥辺には 鴨妻呼ばひ 辺つ方に あぢむら騒き 百磯城の 大宮人の 退ち出て
遊ぶ船には 梶棹も 無くて不楽しも 漕ぐ人無しに
★ あもりつく あめのかぐやま かすみたつ はるにいたれば まつかぜに いけなみたちて
さくらばな このくれしげに おきへには かもつまよばひ へつかたに あぢむらわさき
ももしきの おおみやびとの まかりいで あそぶふねには かぢさをも
なくてさぶしも こぐひとなしに
★ 天から降りてきた天の香具山は、霞が立つ春ともなれば、松の風に、池が波立ちて、
桜の花は、木の下が暗くなるほど咲き誇り、沖のほうでは鴨が妻を呼んで鳴き、岸の方では
味鴨の群れが騒いで居るが、ももしきの大宮人が、宮中を下がって遊んだ舟には、梶も棹も
無くて淋しい事よ・・・漕ぐ人もいないし・・・
巻3-257 鴨君足人(かものきみのたりひと)