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★ かき数ふ 二上山に 神さびて
立てる栂の木 本も枝も
同じ常磐に 愛しきよし
わが背の君を 逢ひて
言問ひ 夕去れば
手携わりて 射水川の
清き川内に 出で立ちて
わが立ち見れば 東の風
いたくし吹けば 水門には
白波高み 妻呼ぶと
洲鳥は騒く 葦刈ると
海人の小船は 入り江漕ぐ
味の音をし そこをしも
あやにともしみ 思ひつつ
遊ぶ盛りを 天皇を
食す国なれば 命持ち
立ち別れなば 後れたる道はあれども
玉ほこの 道行く我は
白雲の たなびく山を
磐踏み 越え隔りなば
恋しけく 日の長けむそ
そこ思へば 心し痛し
ほととぎす 声にあへ貫く
玉にもが 手にまき持ちて
朝夕に 見つつ行かむを
置きて行かば惜し
★かきかぞふ ふたがみやまに
かむさびて たてるつがのき
もともえも おなじときはに
はしきよし わがせのきみを
あささらず あひてことどひ
ゆふされば いたづさわりて
いみずがは きよきかふちに
いでたちて わがたちみれば
あゆのかぜ いたくしふけば
みなとには しらなみたかみ
つまよぶと すどりはさわく
あしかると あまのをぶねは
いりえこぐ かぢのおとたかし
そこをしも あやにともしみ
しのひつつ あそぶさかりを
すめろぎの をすくになれば
みこともち たちわかれなば
おくれたる きみはあれども
たまほこの みちゆくわれは
しらくもの たなびくやまを
いはねふみ こえへなりなば
こひしけく けのながけむそ
そこもへば こころしいたし
ほととぎす こへにあへぬく
たまにもが てにまきもちて
あさゆうに みつつゆかむを
おきていかばをし
★一、二と数えて二つの頂を持つ
二上山に、神々しく生える栂の木
の、根本も元も等しく変わらないように
いつも変わらず親しく思うあなたを
であるものを。朝も夜も常に逢っては
語り合い、手をとりあって、射水川の
清らかな流れのほとりに出で立って見ると
東の風が強く吹くにつれて、水門には
白波が高い。それに驚いて洲にいる鳥たちは
妻を呼び合って騒ぐ。また、葦を刈るとて
漁師の小舟が入江のを請いでゆく梶の音の
が高く聞こえる。その景色にそぞろひかれて
景色を愛でつつ楽しみを極めていたことだ。
ところがここも天皇が支配なさる国なので、
その命令によって都へとあなたと別れて
旅立つ事なった。風光美しいなたと別れて
旅立つことになった。風光美しいこの国に
残るなたはともかく、玉ほこの道行く私は
白雲のたなびく山よ。岩踏み越えて
遠ざかり行くと後ろ髪をひかれる日も
長い事だろう。想像だに心が痛む
あなたは、ほととぎすはが鳴き声で
合わせ通す玉であって欲しい。
そうしたら、わが手にその玉を持って
いて、朝も夜も見ながら
行けるものを。あなたを残して
行くのが心残りだろう
大伴家持
巻17-4006
立てる栂の木 本も枝も
同じ常磐に 愛しきよし
わが背の君を 逢ひて
言問ひ 夕去れば
手携わりて 射水川の
清き川内に 出で立ちて
わが立ち見れば 東の風
いたくし吹けば 水門には
白波高み 妻呼ぶと
洲鳥は騒く 葦刈ると
海人の小船は 入り江漕ぐ
味の音をし そこをしも
あやにともしみ 思ひつつ
遊ぶ盛りを 天皇を
食す国なれば 命持ち
立ち別れなば 後れたる道はあれども
玉ほこの 道行く我は
白雲の たなびく山を
磐踏み 越え隔りなば
恋しけく 日の長けむそ
そこ思へば 心し痛し
ほととぎす 声にあへ貫く
玉にもが 手にまき持ちて
朝夕に 見つつ行かむを
置きて行かば惜し
★かきかぞふ ふたがみやまに
かむさびて たてるつがのき
もともえも おなじときはに
はしきよし わがせのきみを
あささらず あひてことどひ
ゆふされば いたづさわりて
いみずがは きよきかふちに
いでたちて わがたちみれば
あゆのかぜ いたくしふけば
みなとには しらなみたかみ
つまよぶと すどりはさわく
あしかると あまのをぶねは
いりえこぐ かぢのおとたかし
そこをしも あやにともしみ
しのひつつ あそぶさかりを
すめろぎの をすくになれば
みこともち たちわかれなば
おくれたる きみはあれども
たまほこの みちゆくわれは
しらくもの たなびくやまを
いはねふみ こえへなりなば
こひしけく けのながけむそ
そこもへば こころしいたし
ほととぎす こへにあへぬく
たまにもが てにまきもちて
あさゆうに みつつゆかむを
おきていかばをし
★一、二と数えて二つの頂を持つ
二上山に、神々しく生える栂の木
の、根本も元も等しく変わらないように
いつも変わらず親しく思うあなたを
であるものを。朝も夜も常に逢っては
語り合い、手をとりあって、射水川の
清らかな流れのほとりに出で立って見ると
東の風が強く吹くにつれて、水門には
白波が高い。それに驚いて洲にいる鳥たちは
妻を呼び合って騒ぐ。また、葦を刈るとて
漁師の小舟が入江のを請いでゆく梶の音の
が高く聞こえる。その景色にそぞろひかれて
景色を愛でつつ楽しみを極めていたことだ。
ところがここも天皇が支配なさる国なので、
その命令によって都へとあなたと別れて
旅立つ事なった。風光美しいなたと別れて
旅立つことになった。風光美しいこの国に
残るなたはともかく、玉ほこの道行く私は
白雲のたなびく山よ。岩踏み越えて
遠ざかり行くと後ろ髪をひかれる日も
長い事だろう。想像だに心が痛む
あなたは、ほととぎすはが鳴き声で
合わせ通す玉であって欲しい。
そうしたら、わが手にその玉を持って
いて、朝も夜も見ながら
行けるものを。あなたを残して
行くのが心残りだろう
大伴家持
巻17-4006