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★ なゆ竹の とをよる皇子 さ丹つらふ 我ご大君は 隠りくの 泊瀬の山に 神さびに
斎きいますと 玉梓の 人そ言ひつる 逆言か 我が聞きつる 狂言か 我が聞きつるも
天地に 悔しきことの 世間の 悔しきことは 天雲の そくへの極み 天地の 至れるまでに
杖つきも つかずも行きて 夕占問ひ 石占もちて 我が屋戸に みもろを立てて 枕辺に
斎瓮を据ゑ 竹玉を 間なく貫き垂れ 木綿たすき かひな懸けて 天なる ささらの小野の
七節菅 手に取り持ちて ひさかたの 天の川原に 出で立ちて 禊ぎてましを 高山の
巌の上に いませつるかも
★ なゆたけの とをよるみこ さにつらふ わごおほきみは こもりくの はつせのやまに
かむさびに いつきいますと たまづさの ひとそいひつる およづれか わがききつる
たはごとか わがききつるも あめつちに くやしきことの よのなかの くやしきことは
あまくもの そくへのきはみ あめつちの いたれるまでに つゑつきも つかずもゆきて
ゆふけとひ いしうらもちて わがやどに みもろをたてて まくらへに いはひへをすゑ
たかたまを まなくぬきたれ ゆふたすき かひなにかけて あめなる ささらのおのの
ななふすげ てにとりもちて ひさかたの あまのかはらに いでたちて みそぎてましを
たかやまの いはほのうへに いませつるかも
★ なゆ竹のように たおやかな皇子、紅映える我が大君は、隠りくの泊瀬の山に、神々しくも
祭られて玉梓の使いのものが言った。人を惑わす言葉なのか、たわけた言葉なのか、
いつわりの言葉なのか・・・私が聞いた言葉は・・・・。
この天地において、わたしが悔しい事は、、世の中の悔しい事は、天の雲の去っていく
極み、天地の至り尽くすその果てにまで、杖をつこうとつくまいと、何としてでも行って、
夕方の占い、石占いをして、私の家に、依り代を立てて、枕の方角に、神酒を入れた
瓶を据えて、竹玉を隙間も無いように垂らして、木綿の襷を腕にかけて、天にある
神聖なる小さな野の、七節の菅を手に取り持って、遥か彼方の天の川原に、
出で立ちて、禊をするはずだった。それなのに、高い山の巌の上におまつり
申し上げた事です。
巻3-420 丹生王