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天降りつく 神の香具山 うち靡く 春さり来れば 桜花 木の暗茂に 松風に 池波立ち
辺つ方には あぢ群騒き 沖辺には 鴨妻呼ばひ ももしきの 大宮人の 罷り出で 漕ぎける舟は
棹楫も なくてさぶしも 漕がむと思へど
★ あもふりつく かみのかぐやま うちなびく はるさりくれば さくらばな このくれしげに
まつかぜに いけなみたち へつへには あぢむらさわき おきへには かもつまよばひ
ももしきの おおみやびとの まかりいで こぎけるふねは さをかぢも なくてさぶしも
こがむとおもへど
■天から降ってきた聖なる香具山に、季節の息吹きが満ち満ちる春が来ると、桜の花は木の下が
暗くなるほどに繁り、松を吹き渡る風に池が波立ち、岸の方では味鴨の群れが騒ぎ、
沖の方では、鴨が妻を呼び鳴いている。ももしきの大宮人が、御前にまかり出で、漕いでいた
舟は、今は棹も楫もなく、淋しい事です。舟を漕ごうと思ってみても・・・・
巻3-260 ある本の歌
やすみしし 我ご大君 高光る 日の皇子 敷きいます 大殿の上に ひさかたの 天伝ひ来る
雪じもの 行き通ひつつ いや常世まで
★ やすみしし わごおおきみ たかひかる ひのみこ しきいます おほとののうへに ひさかたの
あまづたひくる ゆきじもの ゆきかよひつつ いやとこよまで
★ あまねく国土をお治めになれるわが大君、高く輝く日の皇子が統治しておられます御殿の上
に、遥かなる天の道を伝ってくる雪もように、そのように絶えず行き通い続けて、末永く永遠に
・・・・
巻3-261 柿本人麻呂
柿本人麻呂の新田部皇子に献(たてまつ)れる歌一首
この時代は大宝律令が作られ、皇室を中心とした形がつくられ固められる時代なので、宮廷
歌人であった柿本人麻呂は皇室賛美の歌が実に長歌に多い・・・今読むと、問題になりそうな
内容であると思いますが、この時代はそのように受け止めていたということでしょう。
この時代の奔放で恋多き女の代表のように言われている和泉式部・・・・彼女の心に添いながら、
私なりに読んでいきたいと思います。
恋仲であった、病亡した為尊親王の弟である敦道親王との恋のかけひきから、
この物語は始まります
一 夢よりもはかなき世の中
夢よりもはかなき世の中を嘆きわびつつ明かし暮らすほどに、四月十余日(とよひ)
にもなりぬれば、木(こ)の下くらがりもてゆく。築地(ついひぢ)の上の草あをやかなるも、
人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに 、近き透垣(すいがい)のもとに人
のけはひすれば、たれならんと思ふほどに、故宮にさぶらひし小舎人童(こどねりわらは)
なりけり。
★ はかないもののたとえである夢よりも、さらにはかない人の世を、今は亡き宮様との事を
嘆き悲しみながら日を送っているうちに、いつのまにか4月10日過ぎになってしまったの
で、木々が深く繁り、木陰は暗さを増してゆきます。築地の上の草が青々としているのも
、他人は殊更、気にも留めないものを、青々とするほどに余計人の世のはかなさを感じ
ている時に、近くの透垣の辺りに人の気配がするので、誰だろうと思っていると、亡き宮様
にお仕えしていた小舎人童でした。