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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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娘は家を出た・・・と言っても、其のころは殆ど家にいなかったけれど・・・

其のころの事は断片式にしか覚えていない。最初は、向こうのお母さんと同居していた

のだが、いつごろからか、おんぼろアパートの一階で二人は生活を

始めた。娘はいつのまに覚えたのか料理を作り、彼は働きにでた。

傍若無人に10代を過ごした二人の生活。覚えているのは、玄関を開けた土間に

冷蔵庫が置いてあり、隙間風がヒューヒューと吹き込むような部屋だった事。

馬鹿なことばかりするから・・・こんな目にあって・・・と思っていた。

娘は人生の中で始めてそういう家に住んだのだ。

ところが、意外に、悲壮感もなく、友人たちがなんやかや見繕って、

家電も揃っていた。

私は、何とか主人の承諾を得る思案を始め、其の傍ら、食べ物や何やかにや

心配で車で何度も届けた。

娘のおなかは日増しに大きくなる。




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次は、父親と言う難関である。

娘が生みたいと言っている、其の娘は13の年から、さまざまな苦労を重ねてきた。

今ここで、無理やりに堕胎させることは、彼女を否定することになると思った。

そうしたら、彼女は自分の人生を取り戻せなくなるかもしれない・・・・

私にだって、人並みに世間体もあり、大学まで進むのは当たり前と言う環境で

育ってきた。見栄もあれば、体裁もあった・・・決断はしたものの、悩んだ。


父親は男だし、しかも九州男児の封建的な家庭で育っている。

今までの彼女だって、とんでもないことなのに、更にこれは、「家」に関わる

問題であり、彼の社会的な立場もある。

当然ながら、反対された。17と20の見通しも何も持たない、若造である。

彼女の反抗心はすさまじく「一人でも、育てる」と、大声で叫び、父親は「それなら

勘当だ」と言った。

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この記述に関しては、父親・本人・娘・娘の彼の気持ちは私の推定でしかないので

私の主観で書いている。

だから、違う角度から見れば、全く違う出来事になるかもしれません。


彼は、親としては非常に好ましからざる経歴と家庭環境を持っていた。

何ひとつとても、好ましからざるものばかり・・・・彼は、凄く、緊張していた。

なのに・・・ひとつだけ・・・瞳がまっすぐ私を見ていた。

それだけで、馬鹿な私は「わかった」と、答えていたのだった。

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「彼が親に会いたいと言うから、まず、ママが会ってくれない」と言われた。

いきなりの事で、私は、当然ながら動揺したが、それまで、娘の酷いいじめから、

登校拒否症状、そして、転校しても、うまくいかない切羽詰まった状況、

そこで、やっと友達になった、親としてはありがたくない友人たち・・・

そういう中でのことだった。

私は、「わかった」と言い、彼と会った。

「すみません。責任とりたいと思います」と彼はいい、娘と結婚したいと言った。

娘も其のつもりだと言う。

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「話がある」と、長女から告げられた。嫌な予感がした。

予感は見事的中。

「妊娠した。生みたい」

彼も、娘と結婚したいといっているから、一度会ってくれない?と、言われた。

昔、金八先生で15歳の母シリーズと言うのがあったが、

まさか、わが身に降りかかるとは・・・・・

それなりの普通の家庭で、平凡な優等生で育った私の

許容範囲には、無い出来事であった。

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