★ 山背の久邇の都は春されば花咲きをおり
秋されば 黄葉匂ひ 帯ばせる 泉の川の
上つ瀬に 打橋わたし 淀瀬には、浮橋渡し
あり通ひ 仕へまるらむ 万代までに
★ やませの くにのみやこは はるされば はなさきおり
あきされば きはにほひ おばせる いぶみのかわの
かみつせに うちはしわたし よどせには うきはしわたし
ありかよひ つかへまるらむ よろづよまでに
★ 山城の久邇の都は、春になると花が咲きさかりの秋になると
黄葉が美しく色づく。帯になさる泉川の、上流の瀬に打橋
渡し、通いつづけてお仕えしよう。万代の後までも
境部老麻呂
巻17-3907
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