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★ 大君の 任のまにまに 丈夫の
心振り越し あしひきの やまさか越えて
いくいらもあらぬに うつせみの
世の人なれば うち靡き 床に恋伏し
痛けくし 日に異に益さる たらちねの
母の命は 大船の ゆくらゆくらに下恋に
何時かも来むと 待たすらむ 情さぶしく
はしきよし 妻の命も明け暮れば 門に
寄り立ち 衣手を 折り返しつつ
夕されば 床うち払ひ ぬばたまの
黒髪敷きて 何時しかと 嘆かすらむそ
妹も背も 若き児どもは をちこちに
騒き泣くらむ 玉ほこの 道を遠みに
間使いも 遣るよしも無し 思ほしき
言伝ひてを遣らず 恋ふるにし
情は燃えぬ たまきはる 命惜しけど
為むすべを たどきもしらに
かくしてや 荒し男すらに 嘆き伏せらむ
★ おおきみの まえのまにまに ますらをの
こころふりこし あしひきの やまさかこえて
あまざかる ひなにくだりき いきだにも
いまだやすめず としつきも いくらもあらぬ
うつせみに よのひとなれば うちなびき
とこにこうふし いたけくし ひにけにまさる
たらりねの ははのみことの おおふねの
ゆくらゆくらに したこいにひ いつかもこむと
またすらむ こころさぶしく あしきよし つまのみことも
あけくればかどによりたち ころもでを
おりかえしつつ ゆふされば とこうちはらひ
ぬばたまの くろかみしきて いつしかと
なげかむすらむそ いももせも わかいこどもらは
をちこちに なげきなくらむ たまほこの
みちをたとほみ まづかひも やるよしもなし
おもほしき ことづてやらむ こふるにし
こころはもえぬ たまきはる いのちをしけど
せむすべの たどきをしらに かくしてや
あらをすらに なげきふせらむ
★ 大君の 御命令に随って、大夫の心を振りたて
あしひきの山坂越えて天遠いひなに下って来て
息さえまだ休めず、年月もいくらもたっていないのに
現実の世の人だから身を横たえて床に伏せる身となり
苦痛は日一日とまさっていく。。たらちねの母の船が大船を
揺れるように気持ちが定まらず私が恋い、早く帰ってくるこころもさびしく
愛しい妻も夜が明けると門により立って衣の袖を折り返しながら。
また床の上をきよめ、ぬばたまの黒髪を靡かせて何時おいでるかと
嘆いているいるだろうよ。妹も兄も若い子供たちはあちこちで
泣き騒いでいるだろうと、玉鉾の道が遠いので使者をやるすべもない
心の内も言い伝える事もなもできずの恋していいると、心は熱くなる。
たまきはる命は命は惜しいのだが、どのようにすべき手立てもしらず、
このようにして勇ましい男の私までも嘆きふしているのだおうか
大伴家持
巻17-3962
心振り越し あしひきの やまさか越えて
いくいらもあらぬに うつせみの
世の人なれば うち靡き 床に恋伏し
痛けくし 日に異に益さる たらちねの
母の命は 大船の ゆくらゆくらに下恋に
何時かも来むと 待たすらむ 情さぶしく
はしきよし 妻の命も明け暮れば 門に
寄り立ち 衣手を 折り返しつつ
夕されば 床うち払ひ ぬばたまの
黒髪敷きて 何時しかと 嘆かすらむそ
妹も背も 若き児どもは をちこちに
騒き泣くらむ 玉ほこの 道を遠みに
間使いも 遣るよしも無し 思ほしき
言伝ひてを遣らず 恋ふるにし
情は燃えぬ たまきはる 命惜しけど
為むすべを たどきもしらに
かくしてや 荒し男すらに 嘆き伏せらむ
★ おおきみの まえのまにまに ますらをの
こころふりこし あしひきの やまさかこえて
あまざかる ひなにくだりき いきだにも
いまだやすめず としつきも いくらもあらぬ
うつせみに よのひとなれば うちなびき
とこにこうふし いたけくし ひにけにまさる
たらりねの ははのみことの おおふねの
ゆくらゆくらに したこいにひ いつかもこむと
またすらむ こころさぶしく あしきよし つまのみことも
あけくればかどによりたち ころもでを
おりかえしつつ ゆふされば とこうちはらひ
ぬばたまの くろかみしきて いつしかと
なげかむすらむそ いももせも わかいこどもらは
をちこちに なげきなくらむ たまほこの
みちをたとほみ まづかひも やるよしもなし
おもほしき ことづてやらむ こふるにし
こころはもえぬ たまきはる いのちをしけど
せむすべの たどきをしらに かくしてや
あらをすらに なげきふせらむ
★ 大君の 御命令に随って、大夫の心を振りたて
あしひきの山坂越えて天遠いひなに下って来て
息さえまだ休めず、年月もいくらもたっていないのに
現実の世の人だから身を横たえて床に伏せる身となり
苦痛は日一日とまさっていく。。たらちねの母の船が大船を
揺れるように気持ちが定まらず私が恋い、早く帰ってくるこころもさびしく
愛しい妻も夜が明けると門により立って衣の袖を折り返しながら。
また床の上をきよめ、ぬばたまの黒髪を靡かせて何時おいでるかと
嘆いているいるだろうよ。妹も兄も若い子供たちはあちこちで
泣き騒いでいるだろうと、玉鉾の道が遠いので使者をやるすべもない
心の内も言い伝える事もなもできずの恋していいると、心は熱くなる。
たまきはる命は命は惜しいのだが、どのようにすべき手立てもしらず、
このようにして勇ましい男の私までも嘆きふしているのだおうか
大伴家持
巻17-3962