★　やすみしし　わご大君　高照らす　日の皇子の

　　聞こし食す　みけつくに　　神風の　伊勢の国の

　　国見ればしも　山見れば　高く貴し　川見れば

　　さやけく清し　　水門なす　海も広し　見渡しの

　　島も名高し　此をしも　まぐがはしみかも

　　掛けまくも　あやに恐し　山辺の　五十師の原に

　　うち日さす　　大宮仕へ　朝日なす　まぐはしも

　　夕日なす　うらぐはしも　春山のしなひ栄えて

　　秋山の　色なつかしき　　ももしきの　大宮人と

　　天地と　日月と共に　万代にもが


★　やすみしし　わごおおきみ　たかてらす　ひのみこ

　　きこしをす　みけつくに　かみかぜの　いせのくにの

　　くにみればしも　　やまみれば　たかくとふとし　かわみれば

　　さやけくきよし　　みずもなす　うみもひろし　みわたしの

　　しまもなだかし　　ここをしも　まぐがはしみかも

　　かけまくも　あやにかしこし　やまべの　いしのはらに

　　うちひさす　　おおみやつかへ　あさひなす　まぐはしも

　　ゆうひなす　　うらがはしも　はるやまのしなひさかえて

　　あきやまの　　いろなつかしき　　ももしきの　　おおみやびと

　　あめつちと　　ひつきとともに　よろづよにもが


★　八方を　お治めになるわが大君、高く照らす太陽の御子、その

　　支配なさる御食の国たる神風の伊勢の国の、国を見るとああ、

　　山を見ると高く貴く、川を見ると　高く貴く、川を見ると

　　鮮かに清らかにである。水門を作ると海も広々と、見渡される

　　島も水門を作るーこのことをおほさめになってか、口にするのも

　　ふしぎに恐れ多い。山の辺の五十師の原に、日の輝く大宮を営まれる。

　　そこに奉仕すると、大宮は、朝日の如くきらきらしいよ。

　　夕日のように心から美しいよ。春山の如くしなやかに心から美しいよ。

　　春山の如くしなやかに栄えて、秋山のように色どりの目だつ、百しきの

　　大宮人たちは、天地や日月とともに永遠にあれかし

　　　　　　　巻13－3234

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