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★ 鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津の その津の上に
率ひて 未通女壮士の 行き集ひ かがふ嬥歌に
人妻に 吾も交じらむ わが妻に 他も言問へ
この山に 傾く神の 昔より 禁めぬ行事ぞ
今日のみは めぐしもな見そ 言も咎むな
★ わしのすむ つくはのやまの もはきつの
そのうへに あともひて をとめをとこの
ゆきつどひ かがふかがひに ひとづまに
われもまじらむ わがつまに ひともこととへ
このやまを うしはくかみの むかしより
いさめぬわざぞ けふのみに めぐしもなお
こともとがむな
★ 鷲の住む筑波の山の裳波服津のその泉のほとりに
つれだって女や男が集まり、歌をかけ合う嬥歌で
で、わが妻に他人もことばをかけよ。この山を
お治めになる神が、昔から禁じない事です。
今日だけは監視をするな。咎め事もするな。
巻9-1759 高橋虫麻呂
率ひて 未通女壮士の 行き集ひ かがふ嬥歌に
人妻に 吾も交じらむ わが妻に 他も言問へ
この山に 傾く神の 昔より 禁めぬ行事ぞ
今日のみは めぐしもな見そ 言も咎むな
★ わしのすむ つくはのやまの もはきつの
そのうへに あともひて をとめをとこの
ゆきつどひ かがふかがひに ひとづまに
われもまじらむ わがつまに ひともこととへ
このやまを うしはくかみの むかしより
いさめぬわざぞ けふのみに めぐしもなお
こともとがむな
★ 鷲の住む筑波の山の裳波服津のその泉のほとりに
つれだって女や男が集まり、歌をかけ合う嬥歌で
で、わが妻に他人もことばをかけよ。この山を
お治めになる神が、昔から禁じない事です。
今日だけは監視をするな。咎め事もするな。
巻9-1759 高橋虫麻呂
★ 草枕 旅の憂へを 慰もる 事もあはれと
筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付くの田居に
雁がねも 寒く来鳴き 新治の 鳥羽の淡海 秋風に
白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長きけに
思ひ積み来し 憂へは息みぬ
★ くさまくら たびのうれへを なぐさもる こともあはれと
つくはねに のぼりてみれば をばなちる しつくのたゐに
かりがねも さむくきなきぬ にひばりを とばのあふみも
あきかぜに しらなみたちぬ つくばねの よけくもみれば
ながきけに おもひつみこし うれへはやみぬ
★ 草を枕の旅のつらさもなおることがあるかと筑波嶺に登って
見ると ススキの穂が散る師付の田には 雁も寒々と来ては
鳴いていた。新しく懇いた鳥羽の湖も秋風に白波が立っていた。
筑波嶺のよい眺めを見ると 長い日々を物思いの中に重ねて来た
つらさもいえたこです。
巻9-1757 高橋虫麻呂
・草枕→枕詞
筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付くの田居に
雁がねも 寒く来鳴き 新治の 鳥羽の淡海 秋風に
白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長きけに
思ひ積み来し 憂へは息みぬ
★ くさまくら たびのうれへを なぐさもる こともあはれと
つくはねに のぼりてみれば をばなちる しつくのたゐに
かりがねも さむくきなきぬ にひばりを とばのあふみも
あきかぜに しらなみたちぬ つくばねの よけくもみれば
ながきけに おもひつみこし うれへはやみぬ
★ 草を枕の旅のつらさもなおることがあるかと筑波嶺に登って
見ると ススキの穂が散る師付の田には 雁も寒々と来ては
鳴いていた。新しく懇いた鳥羽の湖も秋風に白波が立っていた。
筑波嶺のよい眺めを見ると 長い日々を物思いの中に重ねて来た
つらさもいえたこです。
巻9-1757 高橋虫麻呂
・草枕→枕詞
★ 鶯の 生卵の中に 霍公鳥 独り生まれて 己が父に
似ては鳴かず 卯の花の 咲き野辺ゆ 飛びかけり
来鳴き響もし 橘の花を居散らし 終日に 鳴けど聞くよし
幣はせむ 遠ほくな行きそ わが屋戸の 花橘に 住み渡れ
★ うぐひすの かひこのなかに ほととぎす ひとりうまれて
ながちちに にてはなかず ながははに にてはなかず
うのはなの さきたるのへゆ とびかけり きなきとよもし
たちばなの はなをゐちらし ひねもすに なけどききよし
まひはせむ とほくなゆきそ わがやどの はなたちばなに
すみわたれ
★ 鶯の中に 生卵の中にまじって、霍公鳥は一羽だけ生まれる
お前の父のはずの鶯に似ては鳴かずお前の母たる鶯に似ては鳴かず
卯の花の咲いている野べから飛びかけり来て鳴き声を響かせ、
橘の花を枝にとまっては散らし、一日中鳴くけれど聞くと快い。
贈り物をしよう。だから遠くに行くな。私の家の花橘にずっと
居つづけるよ。鳥よ。
巻9-1755 高橋虫麻呂
似ては鳴かず 卯の花の 咲き野辺ゆ 飛びかけり
来鳴き響もし 橘の花を居散らし 終日に 鳴けど聞くよし
幣はせむ 遠ほくな行きそ わが屋戸の 花橘に 住み渡れ
★ うぐひすの かひこのなかに ほととぎす ひとりうまれて
ながちちに にてはなかず ながははに にてはなかず
うのはなの さきたるのへゆ とびかけり きなきとよもし
たちばなの はなをゐちらし ひねもすに なけどききよし
まひはせむ とほくなゆきそ わがやどの はなたちばなに
すみわたれ
★ 鶯の中に 生卵の中にまじって、霍公鳥は一羽だけ生まれる
お前の父のはずの鶯に似ては鳴かずお前の母たる鶯に似ては鳴かず
卯の花の咲いている野べから飛びかけり来て鳴き声を響かせ、
橘の花を枝にとまっては散らし、一日中鳴くけれど聞くと快い。
贈り物をしよう。だから遠くに行くな。私の家の花橘にずっと
居つづけるよ。鳥よ。
巻9-1755 高橋虫麻呂