★　高見座　天の嗣と　天の下

　　知らしめしける　皇祖の

　　神の命を　畏くも　定め給へる

　　み吉野の　　この大宮に

　　あひ通い　　見めし給し

　　物部の　　八十伴の緒も

　　己が負へる　　己が名負う負う

　　大君の任の任く任く　この川こそ

　　絶ゆることなく　　この川の

　　いやつぎつぎに　かくしこそ

　　仕へ奉らめ　　いや遠永に

★　たかみくら　　あまのひつぎと

　　あめのした　　しらしめしける

　　すめろきの　　かみのみことの

　　かしこくも　　はじめたまひて

　　たふとくも　　さだめたまへる

　　みよしのの　　このおおみやに

　　ありがよひ　　めしたまふらし

　　ものふのやそともをの　　おのがおへる

　　おのがなをおふおふ　　おおきみの

　　まけのまにまに　このかわのたゆることなく

　　かくしこそ　つかへまつられ　いやとおながに

★高見座にあって、天日も承けつぐもとして

　天下をお治めになった遠い天子が、畏れ多くも

　始めなさり　貴くもお定めになったみ吉野の

　この大宮に、わが、大君は通いつづけて

　風景を　御覧になるらしい。多くの延臣たちも

　それぞれが持つ　氏の名に　たえず背かず、

　大君の任命に応じつづけ、　この川が

　絶えることのないように、　このように

　お仕え申し上げよう

　　　　　　　　　　　　　大友家持

　　巻19－4098

　　

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