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★ 籐波は 咲くて散りにき
卯の花は 今は盛りにと
あひしひきの やまにものにも
ほととぎす 鳴きし豊めば
うち靡く 心もしのに
そこをしも うら恋しみと
思ふどち 馬うち群れて
携はり 出で立ち見れば
射水川 湊の州鳥
朝凪に 潟にあさりし
潮待てば 妻呼び交わす
羨しいき 見つつ過ぎ行く
渋たにの 荒磯の崎に
沖つ波 寄せ来る玉藻
片よりに 葛に作る
妹がため 手にまき持ちて
うらぐはし 布勢の水海
海人船に 真楫抜き
白たへの 袖折り返し
率いて わが漕ぎ行けば
平布の崎 花散りまがひ
渚には 葦鴨騒ぎ
さざれ波 立ちても居ても
漕ぎ廻り 見れども飽かず
秋さらば 黄葉のときに
春さらば 花の盛りに
かもかくの 君がまにまにと
かくしこそ 見も明らめめ
絶ゆる日らめや
★ふじなみは さきてちりいき
うのはな いそさりと
あしひきの やまにものにも
ほととぎす なきてとよめば
うちなびく こころもしのに
うらこしみと おもふどち
うまうちむれて たずさはり
いでたたちみれば いずみがは
みなとのすどり あさなぎに
かたにあさりし しほまてば
つまよびかわす ともしきに
みつつすぎいき しぶたにの
ありのさきに おきつなみ
よせくるたまも かたよりに
かづらにつくり いもがため
てにまきもちて うらぐはし
ふせのみづうみに あまふねの
まかぎかひぬき しろたへの
そでおりかへし あどもひて
わがこぎいけば をふのさきに
はなちりまぎひに なぎさには
あしがもさわぎ さざれなみ
たちてもいても こぎめぐり
めれどもあかず あきさらば
もみちのときに はるさらば
はなのさかりに かもかくも
きみがまにまにと きみがまにまと
かくしこそ みもあきらめ
たゆるひあらめや
★ 籐の花もう咲いて散ってしまった
卯の花が今こそ花盛りだと
あしひきの山にも野にも
ほどどぎすが鳴きたてので
いちずに心もしおれて
野山の様に心を引かれて
親しい仲間同士、馬を並べて
伴に野に立って見ると
射水川の河口に洲に居る鳥は
朝の凪いだ干潟に 餌をあさり
潮が満ちてくると 妻を呼んで
鳴き交わす。心をひかかれつ
見ながら行き渋たにの荒磯の崎では
沖の波が寄せてくる美しい藻を
片縒りにして かずらを作り
妻のためにと てにまいて持って行く
うるはしい布勢の水海の
漁師の船を浮かべ 両側に楫を通し
櫂をつけ 白たへの袖を風になびかせて
連れ立って漕ぎ出してゆくと
平布の崎には花が散り乱れ
渚には葦鴨が鳴き騒いでいる
さざ波が立つように 立って見ても
座って見ても、水海を
漕ぎ廻って見る景色は見飽きないことだ
秋になったら黄葉の時に
春なら花の盛りに、どのようにも
あなたの気のすむままに、このように
景色を見ては心を晴らしましょう
見飽きる日はない
大伴池主
巻17-3943
卯の花は 今は盛りにと
あひしひきの やまにものにも
ほととぎす 鳴きし豊めば
うち靡く 心もしのに
そこをしも うら恋しみと
思ふどち 馬うち群れて
携はり 出で立ち見れば
射水川 湊の州鳥
朝凪に 潟にあさりし
潮待てば 妻呼び交わす
羨しいき 見つつ過ぎ行く
渋たにの 荒磯の崎に
沖つ波 寄せ来る玉藻
片よりに 葛に作る
妹がため 手にまき持ちて
うらぐはし 布勢の水海
海人船に 真楫抜き
白たへの 袖折り返し
率いて わが漕ぎ行けば
平布の崎 花散りまがひ
渚には 葦鴨騒ぎ
さざれ波 立ちても居ても
漕ぎ廻り 見れども飽かず
秋さらば 黄葉のときに
春さらば 花の盛りに
かもかくの 君がまにまにと
かくしこそ 見も明らめめ
絶ゆる日らめや
★ふじなみは さきてちりいき
うのはな いそさりと
あしひきの やまにものにも
ほととぎす なきてとよめば
うちなびく こころもしのに
うらこしみと おもふどち
うまうちむれて たずさはり
いでたたちみれば いずみがは
みなとのすどり あさなぎに
かたにあさりし しほまてば
つまよびかわす ともしきに
みつつすぎいき しぶたにの
ありのさきに おきつなみ
よせくるたまも かたよりに
かづらにつくり いもがため
てにまきもちて うらぐはし
ふせのみづうみに あまふねの
まかぎかひぬき しろたへの
そでおりかへし あどもひて
わがこぎいけば をふのさきに
はなちりまぎひに なぎさには
あしがもさわぎ さざれなみ
たちてもいても こぎめぐり
めれどもあかず あきさらば
もみちのときに はるさらば
はなのさかりに かもかくも
きみがまにまにと きみがまにまと
かくしこそ みもあきらめ
たゆるひあらめや
★ 籐の花もう咲いて散ってしまった
卯の花が今こそ花盛りだと
あしひきの山にも野にも
ほどどぎすが鳴きたてので
いちずに心もしおれて
野山の様に心を引かれて
親しい仲間同士、馬を並べて
伴に野に立って見ると
射水川の河口に洲に居る鳥は
朝の凪いだ干潟に 餌をあさり
潮が満ちてくると 妻を呼んで
鳴き交わす。心をひかかれつ
見ながら行き渋たにの荒磯の崎では
沖の波が寄せてくる美しい藻を
片縒りにして かずらを作り
妻のためにと てにまいて持って行く
うるはしい布勢の水海の
漁師の船を浮かべ 両側に楫を通し
櫂をつけ 白たへの袖を風になびかせて
連れ立って漕ぎ出してゆくと
平布の崎には花が散り乱れ
渚には葦鴨が鳴き騒いでいる
さざ波が立つように 立って見ても
座って見ても、水海を
漕ぎ廻って見る景色は見飽きないことだ
秋になったら黄葉の時に
春なら花の盛りに、どのようにも
あなたの気のすむままに、このように
景色を見ては心を晴らしましょう
見飽きる日はない
大伴池主
巻17-3943