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★ かけまくも あやに畏し 我ご大君 皇子の命 もののふの 八十伴の男を 召し集へ
率ひたまひ 朝猟りに 鹿猪踏み起こし 夕猟りに 鶉雉踏み立て 大御馬の 口抑へ止め
御心を 見し明らめし 活道山 木立の茂に 咲く花も 移ろひにけり 世間は かくのみならし
丈夫の 心振り起こし 剣太刀 腰に取り佩き 梓弓 ゆき取り負ひて 天地と いや遠長に
万代に かくしもがもと 頼めりし 皇子の御門の 五月蠅なす 騒く舎人は 白たへに
衣取り着て 常なりし 笑まひ振る舞ひ いや日異に 変はらふ見れば 悲しきろかも
★ かけまくも あやにかしこし わごおほきみ みこのみこと もののふの やそとものをを
めしつどへ あどもひたまひ あさかりに ししふみおこし ゆふかりに とりふみたて
おほみまの くちおさへとめ みこころを めしあきらめし いくぢやま こだちのしげに
さくはなも うつろひにけり よのなかは かくのみならし ますらおの こころふりおこし
つるぎたち こしにとりはき あづさゆみ ゆきとりおひて あめつちに いやとほながに
よろづよに かくしもがもと たのめりし みこのみかどの さつきばへなす さわくとねりは
しろたへに ころもとりきて つねなりし ゑまひふるまひ いやひけに かはらふみれば
かなしきろかも
巻3-478 大伴家持
★ 口にするのも畏れ多い。我が大君、皇子の命は、氏々のたくさんの男たちを召し集め、
従えて、朝は猟りにと、鹿や猪を踏みとらえ、夕べには鳥を踏み捕らえて、御乗馬の
口を引いて、留めては、風景をご覧になって御心を晴れやかになさった活道山は、
木立の茂みに咲いていた花も散ってしまい、世の中というのは、こういうものであろう。
立派な男子が心を奮い立たせて、剣や太刀を腰につけて、梓弓や弓を入れるユギを
背負って、天地と共にますます永久に万代までも、このようであって欲しいとお頼みした
皇子の御殿ににぎやかに集まっていたとねりたちは、白い喪服に身を包み、いつも
変わらなかった笑顔やしぐさが、日一日と変わっていくのを見ると、なんとも悲しい
ことであろうか・・・・