★ つぎよふ 山城道を 他の夫が馬で行くのに
わが夫は歩いて行くので、見るたびにひどく
泣かれてしまう。それを思うと心が痛い。
たらちねの 母の形見として、私の持っている
真澄鏡に蜻蛉領巾をそえて、ともに背負って
市へもっていって、馬を買えよ、わが夫よ
★ つぎよふ やましろみちを ほかのおっとが
うまでいくのに わがあるいていくので
なかれてしまう それをおもうとこころがういたい
たらちねの ははのかたみとして わたしのもっている
ますみかがみにあきづひれをそえて ともにせおって
しへもっていって、うまをかえよ わがおっとよ
[0回]