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★ ちちの実の 父の命
はは葉の 母の命
おほらかに 情尽くして
思ふなれやも 大夫や
空しくあるべき 梓弓
末振り起こし 投げ矢も
千尋射渡し 剣立ち
腰に取りはき あしひきの
八峰を踏み越え さし任くる
情障らず 後の世の
語り継ぐべき 名を立つべしも
★ ちちのみの ちちのみこと
ははそばの ははのみこと
おほらかに こころつくして
おもふらむ そのこなれやも
ますらをや むなしくあるべき
あづさゆみ すえふりおこし
なげやもち つるぎたち
こしにとりはき やつをふみこえ
さしまくる こころさわらず
のちのよの かたりつぐべく
なをたつべしも
★ ちちの実の父君やははのその実の母君が
通りいっぺんに心配しているような
そんな子ではどうしあろう。大夫は
空しく生きてはいけない。梓弓の末をふり立て
投矢によって遠く射遠し、剣大夫を腰に帯び
あしひきの山をいくつも越えてここに任せられた
心晴れやかに 後世に語りつがれるような
名声をたてるべきである
大伴家持
巻19-4164
はは葉の 母の命
おほらかに 情尽くして
思ふなれやも 大夫や
空しくあるべき 梓弓
末振り起こし 投げ矢も
千尋射渡し 剣立ち
腰に取りはき あしひきの
八峰を踏み越え さし任くる
情障らず 後の世の
語り継ぐべき 名を立つべしも
★ ちちのみの ちちのみこと
ははそばの ははのみこと
おほらかに こころつくして
おもふらむ そのこなれやも
ますらをや むなしくあるべき
あづさゆみ すえふりおこし
なげやもち つるぎたち
こしにとりはき やつをふみこえ
さしまくる こころさわらず
のちのよの かたりつぐべく
なをたつべしも
★ ちちの実の父君やははのその実の母君が
通りいっぺんに心配しているような
そんな子ではどうしあろう。大夫は
空しく生きてはいけない。梓弓の末をふり立て
投矢によって遠く射遠し、剣大夫を腰に帯び
あしひきの山をいくつも越えてここに任せられた
心晴れやかに 後世に語りつがれるような
名声をたてるべきである
大伴家持
巻19-4164
★天地の 遠き初めよ
世の中は 常無きものと
語り継ぎながら来たれ 天の原
ふり放け見れば 照る月も
満ち欠けしけり あしひきの
山の木末も 春されば
花咲きにほひ 秋づけば
露霜負ひて 風交じり
黄葉散りけり うつせみの
かくのみならし 紅の
色も移ろひ ぬばたまの
黒髪変はり 朝の咲み
暮変はらひ 吹く風の
見えぬが如く 逝く水の
留らぬ如く 常もなく
移ろひ見れば にはたづみ
流るる涙 止どみかねつも
★あめつちの とほきはじめよ
よのなかは つねきものと
かたりつぎながらきたれ あまのはら
ふりさけみれば てるつきも
みちかえかけしけり やまのこぬれも
はるされば はなさきにほひ あきづけば
つゆしもおひて かぜまじり
もみちちりけり うつせみの
かくのみならし くれないの いろもうつろひ
ぬばたまの くろかみかはり あさのゑみ
ゆふべかかはらひ ふくかぜの みえぶがごとく
ゆくみずの とまらぬごとく つねもなく
うつろふみれば にはたづみ ながるるなみだ
とどめかねつも
★天地の遠い昔から、世間は無常だと言われてきたことだ。
天上をふり仰いで見ても輝く月には満ち欠けがある。
あしひきの山の梢も春になると美しく花が咲き
秋になると露霜にまけて、風の中で黄葉が散ってゆく。
現実も身もこうでしかないらしい。紅の顔色もやがて
衰えぬばたまの黒髪も変はり、朝の笑顔も夕方には
変わってしまう。目に見えぬ風のように、流れゆく
水が留まらないように、世間の物が無常に移って
ゆくのを見ると、にわたずみとなって流れる涙が
とめどないことだ
大伴家持
巻19-4160
世の中は 常無きものと
語り継ぎながら来たれ 天の原
ふり放け見れば 照る月も
満ち欠けしけり あしひきの
山の木末も 春されば
花咲きにほひ 秋づけば
露霜負ひて 風交じり
黄葉散りけり うつせみの
かくのみならし 紅の
色も移ろひ ぬばたまの
黒髪変はり 朝の咲み
暮変はらひ 吹く風の
見えぬが如く 逝く水の
留らぬ如く 常もなく
移ろひ見れば にはたづみ
流るる涙 止どみかねつも
★あめつちの とほきはじめよ
よのなかは つねきものと
かたりつぎながらきたれ あまのはら
ふりさけみれば てるつきも
みちかえかけしけり やまのこぬれも
はるされば はなさきにほひ あきづけば
つゆしもおひて かぜまじり
もみちちりけり うつせみの
かくのみならし くれないの いろもうつろひ
ぬばたまの くろかみかはり あさのゑみ
ゆふべかかはらひ ふくかぜの みえぶがごとく
ゆくみずの とまらぬごとく つねもなく
うつろふみれば にはたづみ ながるるなみだ
とどめかねつも
★天地の遠い昔から、世間は無常だと言われてきたことだ。
天上をふり仰いで見ても輝く月には満ち欠けがある。
あしひきの山の梢も春になると美しく花が咲き
秋になると露霜にまけて、風の中で黄葉が散ってゆく。
現実も身もこうでしかないらしい。紅の顔色もやがて
衰えぬばたまの黒髪も変はり、朝の笑顔も夕方には
変わってしまう。目に見えぬ風のように、流れゆく
水が留まらないように、世間の物が無常に移って
ゆくのを見ると、にわたずみとなって流れる涙が
とめどないことだ
大伴家持
巻19-4160