×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
PR
★ 天皇の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国は
敵守る 鎮への城そと 聞こし食す
四方の国には 人さはに 満ちてはあれど
鶏が鳴く 東男は 出で向かひ 顧みせずて
勇みたる 猛き軍と ねぎたまひ 任けのまにまに
たらちねの 母が目離れて 若草の 妻をも巻かず
あらたまの 月日数みつつ 葦が散る 難波の御津に
大船に 真櫂繁貫き 朝凪に 水手整へ 夕潮に
楫引き折り 率ひて 漕ぎ行く君は 波の間を
い行きさぐくみ ま幸くも 早く至りて 大君の
命のまにま ますらをの 心を持ちて あり廻り
事し終はらば 障まはず 帰り来ませと 斎瓮を
床辺に据ゑて 白栲の 袖折り返し ぬばたまの
黒髪敷きて 長き日を 待ちかも恋ひむ
愛しき妻らは
★ すめろきの とほのみかどと しらぬひ つくしのくには
あたまもる おさへのきそと きこしをす よものくにには
ひとさはに みちてはあれど とりがなく あづまをのこは
いでむかひ かへりみせずて いさみたる たけきいくさと
ねぎたまひ まけのまにまに たらちねの ははがめかれて
わかくさの つまをもまかず あらたまの つきひよみつつ
あしがちる なにはのみつに おほぶねに まかいしじぬき
あさなぎに かこととのへ ゆふしほに かぢひきおり
あどもひて こぎゆくきみは なみのまを いゆきさぐくみ まさきくも
はやくいたりて おほきみの みことのまにま ますらをの
こころをもちて ありめぐり ことしおはらば つつませず
かえりきませと いはひへを とこへにすゑて しろたへの
そでおりかえし ぬばたまの くろかみしきて ながきけを
まちかもこひむ はしきつまらは
★天皇の遠い朝廷として、しらぬひの筑紫の国は
外敵を鎮護のとりでとなさり、お治めになる
天下四方の国に、人民はいっぱい満ちているのに
鶏が鳴く東国の男子は、敵に立ち向かって、
後ろを振り返ることをせず、勇猛果敢な兵士であると
労を労わりなさり、派遣される任務のままに、
たらちねの母の目を離れ、若草のような妻の
手枕もせず、あらたまの月日を数えつつ、
葦の葉が散る難波の港で、大船に櫂を
びっしりと貫きとおして、朝凪の海に
漕ぎ手を呼び揃えて、夕潮には楫を引き、休めて
軍団を率いて漕いで行くあなたは、波間を、
行き悩みながらも、無事に早く到着して、
大君のご命令のままに、勇敢な男子として
の心を持って、任地をずっと廻り続けて
任務が終わったなら、何の支障もなく、帰って
来てください・・・と、神聖な瓶を、床のあたりに
据えて、白妙の衣の袖を折り返し、ぬばたまの
黒髪を敷き靡かせて、長い日を待ち焦がれて
いるだろうか・・・愛しい妻は・・・
巻20-4331 大伴家持
敵守る 鎮への城そと 聞こし食す
四方の国には 人さはに 満ちてはあれど
鶏が鳴く 東男は 出で向かひ 顧みせずて
勇みたる 猛き軍と ねぎたまひ 任けのまにまに
たらちねの 母が目離れて 若草の 妻をも巻かず
あらたまの 月日数みつつ 葦が散る 難波の御津に
大船に 真櫂繁貫き 朝凪に 水手整へ 夕潮に
楫引き折り 率ひて 漕ぎ行く君は 波の間を
い行きさぐくみ ま幸くも 早く至りて 大君の
命のまにま ますらをの 心を持ちて あり廻り
事し終はらば 障まはず 帰り来ませと 斎瓮を
床辺に据ゑて 白栲の 袖折り返し ぬばたまの
黒髪敷きて 長き日を 待ちかも恋ひむ
愛しき妻らは
★ すめろきの とほのみかどと しらぬひ つくしのくには
あたまもる おさへのきそと きこしをす よものくにには
ひとさはに みちてはあれど とりがなく あづまをのこは
いでむかひ かへりみせずて いさみたる たけきいくさと
ねぎたまひ まけのまにまに たらちねの ははがめかれて
わかくさの つまをもまかず あらたまの つきひよみつつ
あしがちる なにはのみつに おほぶねに まかいしじぬき
あさなぎに かこととのへ ゆふしほに かぢひきおり
あどもひて こぎゆくきみは なみのまを いゆきさぐくみ まさきくも
はやくいたりて おほきみの みことのまにま ますらをの
こころをもちて ありめぐり ことしおはらば つつませず
かえりきませと いはひへを とこへにすゑて しろたへの
そでおりかえし ぬばたまの くろかみしきて ながきけを
まちかもこひむ はしきつまらは
★天皇の遠い朝廷として、しらぬひの筑紫の国は
外敵を鎮護のとりでとなさり、お治めになる
天下四方の国に、人民はいっぱい満ちているのに
鶏が鳴く東国の男子は、敵に立ち向かって、
後ろを振り返ることをせず、勇猛果敢な兵士であると
労を労わりなさり、派遣される任務のままに、
たらちねの母の目を離れ、若草のような妻の
手枕もせず、あらたまの月日を数えつつ、
葦の葉が散る難波の港で、大船に櫂を
びっしりと貫きとおして、朝凪の海に
漕ぎ手を呼び揃えて、夕潮には楫を引き、休めて
軍団を率いて漕いで行くあなたは、波間を、
行き悩みながらも、無事に早く到着して、
大君のご命令のままに、勇敢な男子として
の心を持って、任地をずっと廻り続けて
任務が終わったなら、何の支障もなく、帰って
来てください・・・と、神聖な瓶を、床のあたりに
据えて、白妙の衣の袖を折り返し、ぬばたまの
黒髪を敷き靡かせて、長い日を待ち焦がれて
いるだろうか・・・愛しい妻は・・・
巻20-4331 大伴家持