★　わたつみの　恐き路を　安けくも

　　なく悩み来て　今だにも　裳無く行かむと

　　壱岐の海人の　上手の占を　かた灼きて

　　行かむとするに　夢の如　道の空路に

　　別れする君は


★わたつみの　　かしこきみちを　やすけくも

　なく悩み来て　今だにも　もなくいかむと

　いきのあまの　　ほってのうらへの　かたやきて

　いかむとするに　　ゆめのごと　　みちのそらぢに

　わかれするきみは

★大海の恐ろしい道のりを、一時の穏もなく　苦しみつつ

　やって来て　今からだけでも　無事に行こうと思って

　ここ壱岐の　海人の巧みな占いを　、かた灼きてに

　占いつつ行こうとしていうのに　まるで夢のように

　旅路で空で別れ行く君よ

　　　　巻15ー3694

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