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★ 朝されば 妹が手に巻く纏く 鏡なす
御津の度に 大船に 間楫抜き 韓国に
渡り行かむと 直向かふ 敏馬をめさして
潮待ちて 水脈びき行けば 沖辺には
浦廻りより 漕ぎて渡れば 吾妹子に
淡路の道は 夕されば 雲居隠れぬ
さ夜ふけて 行くへを知らに
吾が心 明石の浦に 船泊めて
浮き寝をしつつ わたつみの
沖辺を見れば 漁する
海人の少女は 小舟を渡り
つららに浮けり 暁の
潮満ちくれば 葦辺には
鶴鳴き渡る 朝凪に
船出をせむと 船人の
水手をも声呼び 鳩鳥の
なづさひ行けば 家島は
雲居に見える 吾が思へる
心和ぐやと 早く来て
見むと思ひて 大船を
漕ぎわが行けば 沖つ波
高く立ち来ぬ 外のみに
見つつ過ぎ行き 玉の浦に
船を停めて 浜びより
浦磯を見つつ 泣く児ならす
哭のみし泣かゆ 海神の
手巻き纏の玉を 家づへと
妹に遣らむと 拾ひ取り
袖には入れて 返し遣る
使なければ 持てれども
験を無みと また置きつるかも
★ あさされば いもがてにまく
かがみなす みつのはまべに
おおふねに まかぢしじぬき
からくにに わたりゆかむと
しおみちて みをびきゆけば
おきへには しらなみたかみ
うらまより こぎてわたれば
わぎもこに あはぢのしまは
ゆうされば くもいかくりぬ
さよふけて ゆくへをしらに
あがこころ あかしのうらに
ふねとめて うきねをしつつ
わたつみの おきへみれば
いさりする あまのをとめは
をぶねのり つららにうけり
あかときの しおみちくれば
あしべには たづなきわたる
あさなぎに ふなでせぬ
ふなびとの かこもこえよび
にほどりの なづさひいけば
いへしまは くもいにみえぬ
あがおもへる こころなぐやと
はやくきて みむとおもひて
おおふねを こぎわがいけば
おきつなみ たかくたちきぬ
よそのみに みつつすぎいき
たまのうらに ふねをとどめて
はまびより うらいそをみつつ
なくこなす ねのみしなきゆ
わたつみの たまきのたまを
いへづとに いもにやらむと
ひろひとり そでにはいれて
かえしやる つかひなければ
もてれども しるしをなみと
またおきつるかも
★ 朝になると妻が手に取る鏡のような御津の
海べで、大船に楫を一面に取り付け、韓国に行こうとして
真向かいの敏馬を目指し、潮具合を見ながら
水脈沿いに行く。沖のほうは白波が高いので
海岸を伝って漕いで行くと、吾妹子に淡路島は
夕暮れの雲に隠れてしまった。夜がふけて行き先が
判らないので、私の心にも、明石の海岸にも船を停める。
船上に漂いつつ、身を横たえ、大海の沖を眺めると、」
漁をする娘たちが、小さな舟に乗って、点々と浮かんでいる
暁の潮が満ちて来ると、葦のほとりにつるが鳴いて飛ぶ。
朝の凪に船出をしようとして、船に乗る人も、船頭も
声掛け合い、かいつぶりのように、浮き沈みしていくと
名も慕わしい家島が雲の方に、見えて来た。
この物思いに沈む心も柔らぐかと、早くいって見ようと
思いつつ大船を漕いでゆくと、沖からの波が高々と
押し寄せてきた。仕方なく遠めに見ながら過ぎて行き
玉の浦に船をとめて海岸からの浦の磯を見ていると
子供がなくように、さめざめと泣けてしまう。
せめて、海の神が手に巻きつという白玉を土産として
妻にやろうと思って、拾いとり、袖には入れるのだが
さて帰してやる使いのものがいないので、
持っていても使いの物もいないので、
持っていても仕方がないと
また、捨てることです
巻き15-3628
御津の度に 大船に 間楫抜き 韓国に
渡り行かむと 直向かふ 敏馬をめさして
潮待ちて 水脈びき行けば 沖辺には
浦廻りより 漕ぎて渡れば 吾妹子に
淡路の道は 夕されば 雲居隠れぬ
さ夜ふけて 行くへを知らに
吾が心 明石の浦に 船泊めて
浮き寝をしつつ わたつみの
沖辺を見れば 漁する
海人の少女は 小舟を渡り
つららに浮けり 暁の
潮満ちくれば 葦辺には
鶴鳴き渡る 朝凪に
船出をせむと 船人の
水手をも声呼び 鳩鳥の
なづさひ行けば 家島は
雲居に見える 吾が思へる
心和ぐやと 早く来て
見むと思ひて 大船を
漕ぎわが行けば 沖つ波
高く立ち来ぬ 外のみに
見つつ過ぎ行き 玉の浦に
船を停めて 浜びより
浦磯を見つつ 泣く児ならす
哭のみし泣かゆ 海神の
手巻き纏の玉を 家づへと
妹に遣らむと 拾ひ取り
袖には入れて 返し遣る
使なければ 持てれども
験を無みと また置きつるかも
★ あさされば いもがてにまく
かがみなす みつのはまべに
おおふねに まかぢしじぬき
からくにに わたりゆかむと
しおみちて みをびきゆけば
おきへには しらなみたかみ
うらまより こぎてわたれば
わぎもこに あはぢのしまは
ゆうされば くもいかくりぬ
さよふけて ゆくへをしらに
あがこころ あかしのうらに
ふねとめて うきねをしつつ
わたつみの おきへみれば
いさりする あまのをとめは
をぶねのり つららにうけり
あかときの しおみちくれば
あしべには たづなきわたる
あさなぎに ふなでせぬ
ふなびとの かこもこえよび
にほどりの なづさひいけば
いへしまは くもいにみえぬ
あがおもへる こころなぐやと
はやくきて みむとおもひて
おおふねを こぎわがいけば
おきつなみ たかくたちきぬ
よそのみに みつつすぎいき
たまのうらに ふねをとどめて
はまびより うらいそをみつつ
なくこなす ねのみしなきゆ
わたつみの たまきのたまを
いへづとに いもにやらむと
ひろひとり そでにはいれて
かえしやる つかひなければ
もてれども しるしをなみと
またおきつるかも
★ 朝になると妻が手に取る鏡のような御津の
海べで、大船に楫を一面に取り付け、韓国に行こうとして
真向かいの敏馬を目指し、潮具合を見ながら
水脈沿いに行く。沖のほうは白波が高いので
海岸を伝って漕いで行くと、吾妹子に淡路島は
夕暮れの雲に隠れてしまった。夜がふけて行き先が
判らないので、私の心にも、明石の海岸にも船を停める。
船上に漂いつつ、身を横たえ、大海の沖を眺めると、」
漁をする娘たちが、小さな舟に乗って、点々と浮かんでいる
暁の潮が満ちて来ると、葦のほとりにつるが鳴いて飛ぶ。
朝の凪に船出をしようとして、船に乗る人も、船頭も
声掛け合い、かいつぶりのように、浮き沈みしていくと
名も慕わしい家島が雲の方に、見えて来た。
この物思いに沈む心も柔らぐかと、早くいって見ようと
思いつつ大船を漕いでゆくと、沖からの波が高々と
押し寄せてきた。仕方なく遠めに見ながら過ぎて行き
玉の浦に船をとめて海岸からの浦の磯を見ていると
子供がなくように、さめざめと泣けてしまう。
せめて、海の神が手に巻きつという白玉を土産として
妻にやろうと思って、拾いとり、袖には入れるのだが
さて帰してやる使いのものがいないので、
持っていても使いの物もいないので、
持っていても仕方がないと
また、捨てることです
巻き15-3628