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万葉歌手、辻友子のブログへようこそ! http://tomoko.ciao.jp
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★  ねもころに ものを思へば 言はむすべ

   せむすべもなし 妹と我と 手携はりて

   朝には 庭に出で立ち 夕には 床うち払ひ

   白栲の 袖さし交へて さ寝し夜や 常にありける

   あしひきの 山鳥こそば 峰向かひに 妻問ひすといへ

   うつせみの 人なる我や 何すとか 一日一夜も

   離り居て 嘆き恋ふらむ ここ思へば 胸こそ痛き

   そこゆゑに 心和ぐやと 高円の 山にも野にも

   うち行きて 遊び歩けど 花のみし にほひてあれば

   見るごとに まして偲はゆ いかにして 忘れるものそ

   恋といふものを


★  ねもころに ものをおもへば いはむすべ

   せむすべもなし いもとあれと てたづさはりて

   あしたには にわにいでたち ゆふへには

   とこうちはらひ しろたへの そでさしかへて

   さねしよや つねにありける あしひきの

   やまどりこそば をむかひに つまどひすといへ

   うつせみの ひとなるわれや なにすとか

   ひとひひとよも さかりゐて なげきこふらむ

   ここもへば むねこそいたき そこゆゑに

   こころなぐやと たかまとの やまにものにも

   うちゆきて あそびあるけど はなのみし

   にほひてあれば みるごとに ましてしのはゆ

   いかにして わすれむものそ こひといふものを


★  つくづくとものを思うと、言いようもなく、なすすべも

   なく 貴女と私、手を携えて、朝は庭に出て立ち、

   夕べは、寝床を清め祓い、しろたへの衣の袖を

   交じわして寝た夜は、いつもいつもあった。

   山鳥は、峰の向かいに妻を訪ねると言う。

   この世の人である私は、どうして、一日一夜でも

   あなたと離れていて、嘆き恋うのだろうか・・・

   このことを思うと、胸が痛くなる・・・それゆえに

   こころを慰めようと、高円の野にも山にも、

   出かけていって、遊び歩くのだが、花ばかりが

   美しく咲いていて、見るほどに更に貴女への

   思いが募る。どうやって忘れたら良いのだろうか

   ・・・・・恋というものを・・・・

      巻8-1629   大伴宿禰家持

   なんて、情熱的な恋歌でしょうか・・・・

   恥ずかしげもなく、自分の思いを赤裸々に

   歌に託して・・寧ろ、男らしい気がするのは

   何故でしょう・・・

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